【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴

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「普通さー、こーいうのって行事のあとじゃねーの?意味わかんねーんだけど!」

「そのとーり!!ってかそもそもテストとかいらないし!!」

「うるさい。図書室で騒ぐな」

「そうですよ。そんな暇があったら一問でも進めたらどうですか?」

「そもそもテストが先なのは君らみたいのがいるからだと思うけど」

「で、ですが……今回は範囲も少なめですし」

ブーブーと不満を声高に告げる脳筋兄弟に対し、呆れた目を返す俺ら。
唯一、リーゼロッテ様だけがフォローめいた言葉をかける。

学生お馴染みの恒例行事、その名もテスト。

勉強嫌いなカイルとアレンは騒いでいるが、レイヴァンの言葉通りそんな暇あったら勉強しろし。

「ラファエルっ!今回の山どこ?!つか俺、数学と英語ノートとってねぇ!」

……お前寝てたもんな。

「ほら、この辺。ノートもここらは出そうだからちゃんと写して。これ一年の時のテストです。リーゼロッテ様が仰ったように今回は範囲が少ないし、代わりに突っ込んだ問題とかも出やすいですよ。アレンは最低限この辺」

「「神っ!!!」」

ははっー!!って拝まんでいいから勉強しろ。

そんな風に賑やかに騒ぎつつ、俺自身も参考書に目を通す。
ノートや教科書、参考書にはマーカーや書き込みがちらほら。

いつもならさほどテスト勉強に力は入れないのだが……今回はちょっぴり気を入れている。

ほら、いまさらになって進路を迷い中だからね。

どの道を選ぶにしろ、いい成績を取ってて悪いことはねーし。
まぁ、元々成績はそれなりにいいし、わりと品行方正にやってるから問題はなさそうではあるけど。


ぐでーと机に突っ伏する緑頭が二つ。

「お待たせしました」

トレイからドリンクとケーキを配る。

「ほら、二人も」

お礼を言われつつ、屍と化しているカイルとアレンの前にも並べれば二人はのろのろと顔をあげた。
見事にげっそりしている。

激しい訓練や模擬戦でもピンピンしてる癖に、真面目に勉強を数時間の方がよっぽど消耗するようだ。

テスト期間で午後は授業なしだったためわりとガッツリとテスト勉強を行い、帰る前にと食堂に寄ることになった。
同じような理由でか、放課後にも関わらず意外と生徒の数が多い。

「あー早くテスト終わんねぇかな」

でっかい口で豪快にハンバーガーにかぶりつきつつカイルがグチる。
ケーキはとうに食べ終え、これだけじゃ足りねぇとばかりにバーガーを2セット追加。

「でも赤点とったら補習だし。学園祭前に補習とかムリ」

同じくバーガー片手にポテトをつまみ、アレンがでっかい溜息を吐いた。

テストの一カ月後には学園祭がある。
文化祭と体育祭を合わせたようなそれは外部からも人を招き結構な大規模だ。

一日目が模擬店や演劇、オーケストラなどの出し物。
二日目は闘技場で行われるトーナメント式の試合、それから魔獣を召喚した闘いなど。
三日目は締めくくりのパーティー。

さて、ここまで聞けばお分かりだろう。

脳筋兄弟のお楽しみは当然ながら二日目。

しかも学園創立25周年を記念する今年は……。

「ゲストとしてクラウ・ソラスまで来るとかマジで楽しみっ!!絶っ対に補習は回避する!!」

「訓練の時間なくなるとかマジないっ!!」

なら、最初っから真面目に勉強しろよ。

ワクテカする二人に俺らの心の声がハモった。
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