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アリス IN 異世界地球
上空に咲く獣神(前)
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【王都クラウン】
コロシアムの遥か上空に咲いて浮かぶファルバァス。ソレは王都クラウンに居る人々に恐怖と絶望をもたらしていた
王宮騎士2番隊
その隊長のドーガとスターも出張っていて、国民を守ろうとしているが…降り襲うツタを剣で切る事しか出来ない。しかも、切ったツタはファルバァスの高い再生能力でスグに回復していく
とは言え、魔法は全てファルバァスに吸収されてしまうのでは打つ手が無い
逃げ惑う人々。助けようとする騎士。その騎士も突然上空から降り襲うファルバァスのツタに飲み込まれていた
「降りて来やがれ!俺様の攻撃が届かねーんだよっ!今回も俺たちは役に立たねーのかよ!」
「魔法も一切効かないんじゃ、打つ手が…」
吠える臥龍族のドレイクと顔色の悪いその妹。2人は前回の【マル・バァス】と戦った時の、にがく苦しい経験を思い出していた
「ミンク!お前はまだ完全には治ってねーんだ。城の中に居ろっ!」
「嫌っ!ミンクはいつもドレイクの傍に!それに…魔力は残ってるし、城の中も安全とは言えないよ!」
ミンクの言う通りで、王都クラウンのどこに居ても安全と言える場所は今や、どこにも有りはしなかった
「クソがっ!どうすりゃ良いんだよっ!勝つ術がねーじゃねーか!」
やり切れない苛立ちのドレイクに、カルーアとヒイロが近付いてきた
「ドレイクさん、ここに居ましたか…」
「ヒイロだったか?俺様に何の用だ?」
「諦めたら駄目…だよ!ドレイクさんはチカラ自慢でしょ?だったらさ…あの太くてデカい柱を、へし折ってもらえないかな?」
コロシアムは古代ローマの様な様式美で作られていて、入場門の左右には立派で大きな柱が10数本使われている。カルーア達には何やら策が有るようだ
【魔力砲】
ドレイクは柱の上部と下部を剣で切り、腕を回して掴んで引っこ抜いた
その柱をヒイロとドレイクの2人で水平に持ち、柱の先端をファルバァスへと向けた
前の方をヒイロが持つ
後方の太い方をドレイクが持った。そして、カルーアはドレイクのやや後方で詠唱を始めた
「まさか、カルーア…」
「世界を彩る七精霊よ!獣神を刺し貫くチカラと成れ!【七精守護霊(ハーロウィーン)】!!」
「バシュンッ!」
太い方の底面にカルーアの超極大魔法が激突した!推進力を得た柱は、とんでもない速度でファルバァス目掛けて飛んで行く。ソレを回避しようとするファルバァスに向けて、ミンクが進行方向を魔法で調整した
「ゴボオッ!!」極大魔法で打ち出された柱は、ファルバァスに深く突き刺さった!
「ギシエェェェ!」
たまらずファルバァスも苦悶の表情を浮かべた
「やりぃっ!大当たりだよっ!」
「カルーアってば、とんでもない事を思い付くわねw」
狙い通りにファルバァスに柱が突き刺さり、カルーアはガッツポーズで飛び跳ねた。その時、後方から声が響いてきた
「【拡張音域(ワードヴォィス)】…余はキングス王子なり!聞こえるか、クラウンの騎士たちよ!今のを見たか!?戦士と魔法使いで組んで、何でも良いから打ち飛ばして獣神にぶっ刺すのだ!」
「オオォォォ(゚ロ゚*)(゚ロ゚*)」
「誰か強い魔法使いは居ないか?」
「あの槍を飛ばせないか?」
反撃の方法を知った騎士達は魔法使いと組み近くにある物を何とか飛ばして、ファルバァスに対し抵抗を始めた
「よっしゃカルーア、2本目を持って来たぜ!…ん、どうした?」
「うっ…はぁはぁ…くうっ…」
「魔力を使い過ぎたのか?」
武闘会が終わった直後なので、カルーアに限らず大会に参加した者たちは疲労が濃く、全力でチカラを出せるのはほとんど居ない
「アンナローザとか言う魔女め、コレが狙いで大会直後を狙ったのか!」
「まんまとあの女の狙い通りになっちまった。って訳かよ…クソがっ!」
ヒイロ達は【最悪の魔女】に、まんまと嵌められた事を理解し悔しさに震えている
「カルーア。私はまだ魔力に余裕があるから…貴女に注いであげるわ」
【七精守護霊(ハーロウィーン)】は七種類の極大魔法を全て操る超極大魔法だ。総魔力量で圧倒するミンクだが、その魔法は使えないのでカルーアの魔力回復に自分の魔力を流し込んだ
【地下牢】
「アンナ!あの獣神を何とかする方法は無いのっ?教えなさい!」
「くくく…どうせ私はもう…助からないわ…なら、アンタ達だけ助かる手助けを…はぁはぁ…する筈が無いじゃない…」
有栖は悩んだ。この魔女は目先の事で目的を変える女ではない事は良く知っているからだ…
「……知り合いに天使族の娘が居るわ。その娘に頼んで貴女の傷を完治する様に頼んであげる。それで教えなさいよ!」
「くくく…見くびられたものね…この私が目的を投げ捨ててまで、命乞いをするとでも?…馬鹿が!」
「くっ!…なら何よ!ファルバァスを何とかする方法を聞くには、何を聞いてあげたらアンタは話してくれるのよ!?」
有栖も魔族の将に仕える魔女とは言え、元々は人間。こうしている間にも地上では大勢の者が獣神のエサとなり死んでいっている。その為、有栖も珍しく焦っていた
「くはは…ようやく【消去の魔女】の取り乱す姿が見れたわ…愉快ね!…けど!私の1番の望みは別…」
「その1番の望みって…何よ?」
「ソレは!…【消去の魔女】お前に勝って【最強の魔女】の称号を得ることよっ!」
アンナローザがいやらしい笑みを浮かべ、有栖を凝視した
「そんな、くだらない事?」
「くだらない?…そうか、アンタにとってはくだらないか?…しかしだな、私は人々からそう呼ばれる事を100年以上も夢見ていたのさ…1VS1の勝負でお前に勝ちたいのさ。徳川有栖…」
古代13獣神のひとつを召喚し、王都クラウンを絶望と混乱の真っ只中に陥れた【最悪の魔女】アンナローザが望むのは【最強の称号】だった
地上で必死の抵抗が行われるなか、地下では2人の魔女が最後の決着を付けようとしていた
続く
コロシアムの遥か上空に咲いて浮かぶファルバァス。ソレは王都クラウンに居る人々に恐怖と絶望をもたらしていた
王宮騎士2番隊
その隊長のドーガとスターも出張っていて、国民を守ろうとしているが…降り襲うツタを剣で切る事しか出来ない。しかも、切ったツタはファルバァスの高い再生能力でスグに回復していく
とは言え、魔法は全てファルバァスに吸収されてしまうのでは打つ手が無い
逃げ惑う人々。助けようとする騎士。その騎士も突然上空から降り襲うファルバァスのツタに飲み込まれていた
「降りて来やがれ!俺様の攻撃が届かねーんだよっ!今回も俺たちは役に立たねーのかよ!」
「魔法も一切効かないんじゃ、打つ手が…」
吠える臥龍族のドレイクと顔色の悪いその妹。2人は前回の【マル・バァス】と戦った時の、にがく苦しい経験を思い出していた
「ミンク!お前はまだ完全には治ってねーんだ。城の中に居ろっ!」
「嫌っ!ミンクはいつもドレイクの傍に!それに…魔力は残ってるし、城の中も安全とは言えないよ!」
ミンクの言う通りで、王都クラウンのどこに居ても安全と言える場所は今や、どこにも有りはしなかった
「クソがっ!どうすりゃ良いんだよっ!勝つ術がねーじゃねーか!」
やり切れない苛立ちのドレイクに、カルーアとヒイロが近付いてきた
「ドレイクさん、ここに居ましたか…」
「ヒイロだったか?俺様に何の用だ?」
「諦めたら駄目…だよ!ドレイクさんはチカラ自慢でしょ?だったらさ…あの太くてデカい柱を、へし折ってもらえないかな?」
コロシアムは古代ローマの様な様式美で作られていて、入場門の左右には立派で大きな柱が10数本使われている。カルーア達には何やら策が有るようだ
【魔力砲】
ドレイクは柱の上部と下部を剣で切り、腕を回して掴んで引っこ抜いた
その柱をヒイロとドレイクの2人で水平に持ち、柱の先端をファルバァスへと向けた
前の方をヒイロが持つ
後方の太い方をドレイクが持った。そして、カルーアはドレイクのやや後方で詠唱を始めた
「まさか、カルーア…」
「世界を彩る七精霊よ!獣神を刺し貫くチカラと成れ!【七精守護霊(ハーロウィーン)】!!」
「バシュンッ!」
太い方の底面にカルーアの超極大魔法が激突した!推進力を得た柱は、とんでもない速度でファルバァス目掛けて飛んで行く。ソレを回避しようとするファルバァスに向けて、ミンクが進行方向を魔法で調整した
「ゴボオッ!!」極大魔法で打ち出された柱は、ファルバァスに深く突き刺さった!
「ギシエェェェ!」
たまらずファルバァスも苦悶の表情を浮かべた
「やりぃっ!大当たりだよっ!」
「カルーアってば、とんでもない事を思い付くわねw」
狙い通りにファルバァスに柱が突き刺さり、カルーアはガッツポーズで飛び跳ねた。その時、後方から声が響いてきた
「【拡張音域(ワードヴォィス)】…余はキングス王子なり!聞こえるか、クラウンの騎士たちよ!今のを見たか!?戦士と魔法使いで組んで、何でも良いから打ち飛ばして獣神にぶっ刺すのだ!」
「オオォォォ(゚ロ゚*)(゚ロ゚*)」
「誰か強い魔法使いは居ないか?」
「あの槍を飛ばせないか?」
反撃の方法を知った騎士達は魔法使いと組み近くにある物を何とか飛ばして、ファルバァスに対し抵抗を始めた
「よっしゃカルーア、2本目を持って来たぜ!…ん、どうした?」
「うっ…はぁはぁ…くうっ…」
「魔力を使い過ぎたのか?」
武闘会が終わった直後なので、カルーアに限らず大会に参加した者たちは疲労が濃く、全力でチカラを出せるのはほとんど居ない
「アンナローザとか言う魔女め、コレが狙いで大会直後を狙ったのか!」
「まんまとあの女の狙い通りになっちまった。って訳かよ…クソがっ!」
ヒイロ達は【最悪の魔女】に、まんまと嵌められた事を理解し悔しさに震えている
「カルーア。私はまだ魔力に余裕があるから…貴女に注いであげるわ」
【七精守護霊(ハーロウィーン)】は七種類の極大魔法を全て操る超極大魔法だ。総魔力量で圧倒するミンクだが、その魔法は使えないのでカルーアの魔力回復に自分の魔力を流し込んだ
【地下牢】
「アンナ!あの獣神を何とかする方法は無いのっ?教えなさい!」
「くくく…どうせ私はもう…助からないわ…なら、アンタ達だけ助かる手助けを…はぁはぁ…する筈が無いじゃない…」
有栖は悩んだ。この魔女は目先の事で目的を変える女ではない事は良く知っているからだ…
「……知り合いに天使族の娘が居るわ。その娘に頼んで貴女の傷を完治する様に頼んであげる。それで教えなさいよ!」
「くくく…見くびられたものね…この私が目的を投げ捨ててまで、命乞いをするとでも?…馬鹿が!」
「くっ!…なら何よ!ファルバァスを何とかする方法を聞くには、何を聞いてあげたらアンタは話してくれるのよ!?」
有栖も魔族の将に仕える魔女とは言え、元々は人間。こうしている間にも地上では大勢の者が獣神のエサとなり死んでいっている。その為、有栖も珍しく焦っていた
「くはは…ようやく【消去の魔女】の取り乱す姿が見れたわ…愉快ね!…けど!私の1番の望みは別…」
「その1番の望みって…何よ?」
「ソレは!…【消去の魔女】お前に勝って【最強の魔女】の称号を得ることよっ!」
アンナローザがいやらしい笑みを浮かべ、有栖を凝視した
「そんな、くだらない事?」
「くだらない?…そうか、アンタにとってはくだらないか?…しかしだな、私は人々からそう呼ばれる事を100年以上も夢見ていたのさ…1VS1の勝負でお前に勝ちたいのさ。徳川有栖…」
古代13獣神のひとつを召喚し、王都クラウンを絶望と混乱の真っ只中に陥れた【最悪の魔女】アンナローザが望むのは【最強の称号】だった
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