ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

魔王の息子とアリス

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【癒しの刻の下部屋】
「済まなかったな、大丈夫か?」

「けほ、けほ…あ!魔王さん…はぁはぁ…酷いよ、流石に激し過ぎだってば…壊されちゃうかと思ったよ…」

カルーアは部屋の中央に敷かれているカーペットの上にあるベッドに寝かされていた。元魔王(ザッド)は部屋の隅にあるタンスを開き何やら取り出していた

「着替えとタオルだ。後ろを向いているから着替えてくれ。それと体力回復の木の実を置いておく。少し甘いが楽になるぞ…一応、村の特産品でな、少し高価な物らしいぞ」

「はむ、あむ…ふぁ!本当だ。凄い勢いで身体が楽になっていくよ…じゃあ、着替えさせてもらうよ…シュル…」

カルーアは言葉で言い表せない複雑な気持ちだった。同じ部屋の中に元魔王と2人きり。元魔王は女の身体で生活しているがれっきとした男性だった
それは先程、自分(カルーア)の体内で奥さんを激しく求めていた行為から理解できる。そんな元魔王(ザッド)とカルーアしか居ない状況で、濡れた服を脱ぎ提供された服と下着に着替えているのだから…

「もう良いよ。どうかな…似合っているかい?可愛く見えるかな?」
 

「すまんな…安易な褒め言葉を言うのは嫌いな性分でな。それに、嫁の身体を借りて生きているが俺は男だ。女の服の好みはよく分からん…しかし、似合ってはいると思うぞ」

「うん。それで良いよ、ありがとう…」

「まだ疲労は抜け切らんだろ?背中を貸してやる。遠慮なく乗れ」

「そんな悪いよ……ま、いいか。借りるよ」

それほど親しいと言えない元魔王(ザッド)におんぶされる事に抵抗を感じたカルーアだが、自分がこれだけ疲労したのは元魔王(ザッド)を助ける為だったと気が付いたので、遠慮なくおんぶされる事にした
元魔王(ザッド)は、着替えを終えたカルーアを背中に抱っこして部屋を出た


「ピュユュー」

外に出ると角を生やした馬と、エルデスが待っていた

「カルーアさん~癒しの儀式お疲れ様でした~……この馬(こ)ですか~ユニコーンの【青雷(セイライ)】ちゃんですよ~」

「俺の愛馬だ。名付け親は有栖だ。彼女の故郷の言葉で青い雷という意味らしい。コイツは珍しく角が青くてな、ソレが名前の元らしいぞ」

「へー、わたしもユニコーンは初めて見たよ。帰村した主(あるじ)を出迎えに来たのかい?」

「そんなとこだろうな。ちょっと触るぞ」

「うひゃ!?」

キウ(魔王)はカルーアを掴むと、自分と向かい合わせで抱きつかせたままユニコーンに乗った。そして、同じく乗り込んだエルデスを背中に抱きつかせた

「良し、行くぞ!」

元魔王(ザッド)は馬の腹を軽く蹴って合図する。とかは一切しなかったのだが、青雷は元魔王(ザッド)の言葉を理解しているのか?言葉だけで村の中心部へ走り出した

「うひゃ!?この馬(こ)、早いね!」

「まぁな、有栖が雷と命名するくらいだからな」

「振り落とさないで~くださいね~」

凄まじい速さで走る青雷だが、馬上の3人は速度の割に大して揺れてはいなかった。ユニコーンならではなのか?半分宙に舞いながら走っているような感じだった



【村長キウの館】
カルーアと元魔王(ザッド)が癒しの部屋から出てくる10数分前

「1軒だけ、やたらデカいな。おそらくココがキウさんの家なんだろうな」

「そうだねぇ、お兄ちゃん。エルデスさんがキウさんの家で歓迎会をするって言ってたよねぇ」

ブルージュ村で唯一の平原地帯に30軒程の家が密集する様に建っているが、その中央にやたらとデカい家が建っている

「キウ様のお客様でしょうか?」

その館に近付くと玄関前に20歳前くらいの女性が立っていて、ヒイロとアリスに気が付いて声を掛けてきた

「ヘルメスの街から来た鍛冶師をしていますヒイロです。クラウン城で開催された武闘会に参加した時にキウさん、ミアナさんと知り合いました。そして、この娘が義理の三姉妹の長女の…」

「アリスですっ!今日はお世話になります。宜しくお願いしますねぇ!」

「これはご丁寧に。わたくしクレアと申します。おもてなしの準備は間もなく終わります。中に入って皆が揃うまで、おくつろぎくださいませ」

「ガチャ」ヒイロとアリスの自己紹介を聞いたクレアは、ドアに手を触れるとドアに魔法陣が浮かび上がり自動的にドアは開かれた

「この家は、家自体に精霊が宿っていまして、契約した者しかドアの開け閉めが出来ない様になっています。外出したくなった際には、お声掛けしてくださいね」

「ほへぇ…何か凄いねぇ、ね、お兄ちゃん!」

「ただ立派な建物。ってだけじゃないんだな!村長の家だから…って言うには厳重だな」

ヒイロとアリスは、クレアに案内され中に入った。1階は完全に開かれた1部屋だけの造りになっていた。正面の奥で別の女性が料理をしていた

「おっ!ようやっとお客さんが来たみてーだな。後ちぃっとばかし待っててくれよ。アタシの超得意料理を振舞ってやっからよ!」

「モニカお姉さん。お客様にそんな口の口の利き方はハシタナイですよ」

「堅いこと言うんじゃねーって。料理は形じゃねーんだ。心で美味しくなるんだからよ!」

クレアより若干、背が高い料理をしている女性も20歳前くらいに見える。背は少しモニカの方が高い感じだ

「お世話になります」
「宜しくねぇ!」

顔はかなり似ている姉妹なのだが、口調や振る舞いが真逆の様な2人だ


「バタンっ!」その時、2階の1部屋のドアがけたたましく音を立てて開かれた!

「言ってた客か!?ようやく来たのかよ!待ちくたびれたぜ!」

2階から1人の少年が凄まじい勢いで降りて来た。アリスとほぼ同じ身長だ。ヒイロ達を見付けると近付いてきた

「ヘルメスの街から来た鍛冶師のヒイロだ。宜しくね」
「同じく、お兄ちゃんの妹のアリスだよ。宜しくねぇ」

「ヘルメスの街の鍛冶師!?あのクラウンでずば抜けた職人とかいう有名な奴なのか?」

ヘルメスの鍛冶師と聞いた途端、待ちくたびれて少し不機嫌そうだった少年の顔が、一気に明るくなった

「くおぅら、ヨシュア!お客さんが名乗ってくれたんだ!質問の前に自分の名前を言うのが礼儀ってもんだろうがよ!」

「うっせえなモニカはよ。あー、何だ。ヨシュアだ。キウの息子だ。これで良いだろ?それよりも、お前。宮廷鍛冶師ってやつなのか?」

ヨシュアと言う少年は大概、口の利き方がなっていない様だが、おそらくモニカの影響だろうと容易に想像出来てしまった

「いや、それはヘパイトスさんの事だろうね。俺は一般冒険者の武具の方をメインにしているよ」

「なんだよ、凄い人かと期待して損したぜ。兄さんよー、安い冒険者相手に仕事してたら腕が馬鹿になっちまうぜ!」

どうもヨシュアと言う少年は、遠慮なくズケズケと物を言うようだ

「馬鹿って何よおっ!お兄ちゃんは凄いんだからねぇ!」
 

ヒイロの事を馬鹿呼ばわりされたと思ったアリスは、強い口調でヨシュアに言い返した

「お前バカか!?頭が悪いって意味じゃねーよ!腕が悪くなる!って事だよ。そんくらい分かんねーのかよ、バーカ!」

「何よぉ!馬鹿って言う方が馬鹿なんだからぁ!」

このヨシュアという子は、人と衝突しがちな性格のようだ。しかも、アリスとは相性が良くなさそうだ
キウ達やミアナ達の帰宅を待っている間に、キウの館内で新しく問題が発生していた



続く
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