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化け物たちとの遭遇編
吸血姫の葛藤
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【ブルージュ村】
村に戻った三姉妹達。そこで彼女達が目にしたものは…
「Boon!とぉーっ!」
「うわー!脚もはえー!」
「あはははは!」
村の子供達と追いかけっこをして、満面の笑みを浮かべて仲良く遊ぶコハラコの姿だった
「あんな楽しそうな顔してるぅ…」
「そうだね…【ヘルメスの街】に居る時は、いつも周りの視線を気にしてる感じだよね」
「たくさんの他種族構成のこの村なら、吸血姫のコハラコも伸び伸び生きられそうですの…」
三姉妹は人型の種族が多い街では、どうしても吸血姫であるコハラコへの視線は快くないモノがある事は十分理解していた
【その日の夜】
コハラコに懐かれているサーシャが、彼女と同じ部屋で眠ることにした。アリスとカルーアは、ヒイロと同じ部屋に入った
「この3人で寝るなんて珍しいな。相談したい事とか、何かあったのか?」
「お兄ちゃん、凄ぉい!何で分かったのぉ?」
「流石だねヒイロ。そうなんだ、ちょっと相談したい事があってね…」
アリスとカルーアは、ヒイロの鋭さに感心した。更にヒイロはその先を予想して話を続けた
「サーシャとコハラコが居ないって事は……ん~、コハラコの事でか?」
「うひょー!何で分かっちゃうのぉ?」
「本当にわたし達の事、よく見てくれてるんだね。ヒイロは優しいね♪」
アリスとカルーアは昼間、村の子供達と無邪気に遊んでいたコハラコの事を話した
「なるほどな…この村でならコハラコが人目を気にすること無く楽しく生きていけそうだと…」
「話があるんだ」と誘われた時に、カルーアが入れてくれたコーヒーを1口飲みカップを置く
「お前たちはどう思ってるんだ?彼女をこの村に置いて行くか?それとも恐怖の対象と見られる事も有る。と分かっていて【ヘルメスの街】に連れて帰るか?」
そう言われて2人は悩んだ
「アタシは頭悪いから…どっちが本当にコハラコちゃんの為になるのか分からないよぉ…」
「そんなのは、わたしにだって分からないさ…ヒイロはどう思うんだい?」
アリスもカルーアも結局「答えは分からない」という意見だが…
「答えは…俺にも分からんよ」
結局ソレ!?って表情を浮かべた2人の姉妹
「まぁ聞いてくれ。この村で生活しても【ヘルメスの街】で俺達と生活しても、コハラコにはメリットとデメリットの両方が付いてくる」
「何となく、わかりゅ…」
「まぁ…そうだよね」
「結局どちらを選んだとしても、数年?もしくは10数年?ソレくらい後から振り返って、ようやく答えが見えるか?どうか?ソレくらい分かりにくい答えなんだよ」
「結局は、彼女の気持ち次第なんだね…」
「何で人間は種族の違いにそんなに拘るのかなぁ?コハラコちゃん良い子なのにねぇ…」
何となく理解したアリスと、その意見に納得したカルーア。3人はヒイロを真ん中にして「川の字」の様になって眠りについた
【翌日の昼食】
村のほぼ全員が、キウの号令に従い村の広場で揃って食事をしていた。ある程度、食事が進んだところでキウが立ち上がった!
「みんな聞いてくれ!魔獣族の4人を連れ帰ったが、最初は皆と仲良くなれるか?不安ではあったが、その必要はもう無さそうだな。それに関してヒイロ君と彼女達の存在はかなり大きかったと思う」
村人もキウのその意見に素直に同意して拍手をする者、三姉妹やコハラコに感謝を述べる者も居た
「彼らアルバート1家は、この村の大きな存在となった。だが…彼らにも、彼らの街での生活がある。いつまでもこの村に留まる訳にもイカない。さて、ヒイロ君」
「有り難いお言葉、非常に嬉しく思います。この村で家族全員が楽しく過ごせました…ですが、そろそろ俺達の街に帰らないとイケナイんです。名残惜しくは有りますが…この食事が済んだら、この村を去ろうと思います!」
ヒイロの帰宅宣言に村人たちはザワついていた。それだけアルバート1家が村人に歓迎されていたからだ
「帰っちゃうの?」
「コハラコは残るの?」
「行っちゃやだぁ」
特に子供達に好かれているコハラコは、村の子供達に囲まれて質問責めにあっていた
「もう少し居たら駄目なの?」
コハラコは純粋な目でヒイロに質問した
「もう少しって、どのくらいだ?明日か?明後日か?寂しいけどな、出会いがあったら別れもあるんだよ」
「コハラコ、村のみんなとサヨナラするのは寂しいけど、そろそろ帰らないとイケナイんですの」
「う、うん…そう、だよね…」
いつか、この日が来る事は何となく分かっていたコハラコだったが、いざ目の前に突きつけられると動揺は隠せないようだ
「なぁ、コハラコ。お前はこの村に残りたいのか?住みたいのか?好きに選んで良いんだぞ」
「えっ!?それって…」
ヒイロからの質問に戸惑うコハラコ
「知ってましたのよ。コハラコがヘルメスやクラウンで【吸血姫】として時々怖がられて見られてた事」
「う、うん…」
「でも凄く他種族なこの村なら、コハラコがそんな目で見られる事は無かったよね?」
「そうなの…」
「アタシ、上手く言えないんだけど…コハラコが選ぶべきだと思うんだぁ」
「コハラコが選ばないと…イケないの?」
自分で選べ。と言われた彼女は明らかに動揺している。そんな彼女にカルーアが話し掛ける
「コハラコは【賢者の石】に産み出された生命だよね。オデュッセウスに言われたように生きて死別した後、アドルさんとどう生活してたかは知らないけど、あまりコハラコが選択する機会は無かったんじゃないかな?」
「……うん、そうなの…」
「でもね。大切な事だからこそ、今回は人の意見に従うんじゃなくて、コハラコの考えで決めて欲しいと思ってるんですの」
「コハラコの考えで…」
いくら吸血姫とはいえ、5歳の娘には難しいかも知れないが、この村が彼女にとって、あまりにも居心地の良い場所過ぎたので、敢えてコハラコの意見を尊重する事にした三姉妹
「コハラコは…コハラコは…」
彼女はヒイロや三姉妹との今までの生活と、この村に来てから出来た友達との楽しかった日々を思い出していた。果たして彼女が出す答えは?
続く
村に戻った三姉妹達。そこで彼女達が目にしたものは…
「Boon!とぉーっ!」
「うわー!脚もはえー!」
「あはははは!」
村の子供達と追いかけっこをして、満面の笑みを浮かべて仲良く遊ぶコハラコの姿だった
「あんな楽しそうな顔してるぅ…」
「そうだね…【ヘルメスの街】に居る時は、いつも周りの視線を気にしてる感じだよね」
「たくさんの他種族構成のこの村なら、吸血姫のコハラコも伸び伸び生きられそうですの…」
三姉妹は人型の種族が多い街では、どうしても吸血姫であるコハラコへの視線は快くないモノがある事は十分理解していた
【その日の夜】
コハラコに懐かれているサーシャが、彼女と同じ部屋で眠ることにした。アリスとカルーアは、ヒイロと同じ部屋に入った
「この3人で寝るなんて珍しいな。相談したい事とか、何かあったのか?」
「お兄ちゃん、凄ぉい!何で分かったのぉ?」
「流石だねヒイロ。そうなんだ、ちょっと相談したい事があってね…」
アリスとカルーアは、ヒイロの鋭さに感心した。更にヒイロはその先を予想して話を続けた
「サーシャとコハラコが居ないって事は……ん~、コハラコの事でか?」
「うひょー!何で分かっちゃうのぉ?」
「本当にわたし達の事、よく見てくれてるんだね。ヒイロは優しいね♪」
アリスとカルーアは昼間、村の子供達と無邪気に遊んでいたコハラコの事を話した
「なるほどな…この村でならコハラコが人目を気にすること無く楽しく生きていけそうだと…」
「話があるんだ」と誘われた時に、カルーアが入れてくれたコーヒーを1口飲みカップを置く
「お前たちはどう思ってるんだ?彼女をこの村に置いて行くか?それとも恐怖の対象と見られる事も有る。と分かっていて【ヘルメスの街】に連れて帰るか?」
そう言われて2人は悩んだ
「アタシは頭悪いから…どっちが本当にコハラコちゃんの為になるのか分からないよぉ…」
「そんなのは、わたしにだって分からないさ…ヒイロはどう思うんだい?」
アリスもカルーアも結局「答えは分からない」という意見だが…
「答えは…俺にも分からんよ」
結局ソレ!?って表情を浮かべた2人の姉妹
「まぁ聞いてくれ。この村で生活しても【ヘルメスの街】で俺達と生活しても、コハラコにはメリットとデメリットの両方が付いてくる」
「何となく、わかりゅ…」
「まぁ…そうだよね」
「結局どちらを選んだとしても、数年?もしくは10数年?ソレくらい後から振り返って、ようやく答えが見えるか?どうか?ソレくらい分かりにくい答えなんだよ」
「結局は、彼女の気持ち次第なんだね…」
「何で人間は種族の違いにそんなに拘るのかなぁ?コハラコちゃん良い子なのにねぇ…」
何となく理解したアリスと、その意見に納得したカルーア。3人はヒイロを真ん中にして「川の字」の様になって眠りについた
【翌日の昼食】
村のほぼ全員が、キウの号令に従い村の広場で揃って食事をしていた。ある程度、食事が進んだところでキウが立ち上がった!
「みんな聞いてくれ!魔獣族の4人を連れ帰ったが、最初は皆と仲良くなれるか?不安ではあったが、その必要はもう無さそうだな。それに関してヒイロ君と彼女達の存在はかなり大きかったと思う」
村人もキウのその意見に素直に同意して拍手をする者、三姉妹やコハラコに感謝を述べる者も居た
「彼らアルバート1家は、この村の大きな存在となった。だが…彼らにも、彼らの街での生活がある。いつまでもこの村に留まる訳にもイカない。さて、ヒイロ君」
「有り難いお言葉、非常に嬉しく思います。この村で家族全員が楽しく過ごせました…ですが、そろそろ俺達の街に帰らないとイケナイんです。名残惜しくは有りますが…この食事が済んだら、この村を去ろうと思います!」
ヒイロの帰宅宣言に村人たちはザワついていた。それだけアルバート1家が村人に歓迎されていたからだ
「帰っちゃうの?」
「コハラコは残るの?」
「行っちゃやだぁ」
特に子供達に好かれているコハラコは、村の子供達に囲まれて質問責めにあっていた
「もう少し居たら駄目なの?」
コハラコは純粋な目でヒイロに質問した
「もう少しって、どのくらいだ?明日か?明後日か?寂しいけどな、出会いがあったら別れもあるんだよ」
「コハラコ、村のみんなとサヨナラするのは寂しいけど、そろそろ帰らないとイケナイんですの」
「う、うん…そう、だよね…」
いつか、この日が来る事は何となく分かっていたコハラコだったが、いざ目の前に突きつけられると動揺は隠せないようだ
「なぁ、コハラコ。お前はこの村に残りたいのか?住みたいのか?好きに選んで良いんだぞ」
「えっ!?それって…」
ヒイロからの質問に戸惑うコハラコ
「知ってましたのよ。コハラコがヘルメスやクラウンで【吸血姫】として時々怖がられて見られてた事」
「う、うん…」
「でも凄く他種族なこの村なら、コハラコがそんな目で見られる事は無かったよね?」
「そうなの…」
「アタシ、上手く言えないんだけど…コハラコが選ぶべきだと思うんだぁ」
「コハラコが選ばないと…イケないの?」
自分で選べ。と言われた彼女は明らかに動揺している。そんな彼女にカルーアが話し掛ける
「コハラコは【賢者の石】に産み出された生命だよね。オデュッセウスに言われたように生きて死別した後、アドルさんとどう生活してたかは知らないけど、あまりコハラコが選択する機会は無かったんじゃないかな?」
「……うん、そうなの…」
「でもね。大切な事だからこそ、今回は人の意見に従うんじゃなくて、コハラコの考えで決めて欲しいと思ってるんですの」
「コハラコの考えで…」
いくら吸血姫とはいえ、5歳の娘には難しいかも知れないが、この村が彼女にとって、あまりにも居心地の良い場所過ぎたので、敢えてコハラコの意見を尊重する事にした三姉妹
「コハラコは…コハラコは…」
彼女はヒイロや三姉妹との今までの生活と、この村に来てから出来た友達との楽しかった日々を思い出していた。果たして彼女が出す答えは?
続く
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