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化け物たちとの遭遇編
有栖の帰還と結婚指輪
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【クラウン城コロシアム跡】
獣神ファルバァスの襲撃を受けたクラウン城と、その城下町は1週間経った今でも復旧作業が行われている
「ふぅー、散らばった残骸の片付けと地面の整地だけで1週間もかかっちまったな」
「レイド頑張ってるよ!もちろんキッチュもだけどね!」
「みんなご苦労様だ。この短時間でここまで再生出来た事に、国王として感無量だ」
クラウン城の王ロードの実の弟レイドを中心に、城に務める物と城下町に住む者達が一丸となって復旧作業にあたっていた
「皆さんお疲れ様です。毎日ご苦労様です!」
「この辺でひと息付きませんか?飲み物と甘いお菓子をご用意しましたよ」
「ご用意しました!」
ロード王の娘ケイトスと、厨房で働いているミランダとミラルの母娘が、10時の休憩タイムにと飲み物とお菓子を用意した
「父上、城下町の復旧作業の方に人員を多く割り当てていますが宜しいのですか?」
「当然だ!国民の生活なくしては王族の存在など意味は無い。まずは民の生活を元通りにしなくてはな」
キングス王子も頭では解っているが、自分たちの住処(すみか)である城の復旧にほとんど手を付けない父に少し心配していた
「ふっははは!キングスよ、流石のお前でも不安になったか?これが俺の兄のロード王だ。俺が異を唱えた気持ちも少しは分かるだろ?」
レイドは場を和ませる為、敢えて冗談ぽく言うと周りの者達も作業の疲れが吹き飛ぶような笑顔がこぼれた
「それにしても今日は良い天気だな。大雨が降るまでに出来る限りの復旧を進めたい……ん!?」
運の良い事にファルバァスが現れた日以降、1度も雨が降っていないのも復旧作業の助けになっていたのだが…そんな良好だった天候が怪しく変化している
「何だ!?急に雲がかき集められる様に群がって…」
「ビシャーン!!」
短い時間で分厚い雲が形成されたかと思ったら、その真ん中辺りを突き抜けるように、まばゆいばかりの光の柱が天から降り注いだ
「ふふ、ようやく帰って来たわね」
「本当に戻れた!良かったー!」
光の柱が消えていくと…その中心には【消去の魔女】徳川有栖と【ポンコツ勇者】一条優輝が立っていた
「優輝ー!!」
「ありゃ、生きて戻れましたか」
民と一緒に作業をしていたミントスとミクイが、優輝たちの姿を目撃した
「無事に帰って良かった!」
人生を救ってくれた優輝の帰還を喜び、飛び付くように抱きしめるミントス
「帰って早々済まないが、ファルバァスは討伐出来たのだな?」
「もちろんよ!私を誰だと思ってるの?泣く子も笑う【消去の魔女】ですからね!」
ロード王の問い掛けに、得意げな顔で獣神討伐の報告をする有栖
「……あれ!?キウ様とミアナは?」
「その2人なら【ブルージュ村】に帰りましたよ。キウさんが体調を崩されたので、村に戻って療養すると言われて…」
「あー、なるほど。そういう事か。なら仕方が無いわね」
ケイトスの短い説明でも、キウの特殊な事情を知っている有栖は十分に理解をしていた
「優輝はポンコツだけど、粘り強くて死なないのは立派!」
「ちょっと、それ褒めてんのか?」
相変わらず優輝をからかうミクイだが、今日はその後にとびっきりの笑顔を彼に向けた
「まーね、俺も場数は踏んだからな。そろそろ【ポンコツ勇者】の不名誉なレッテルも…」
「あ、あぁーっ!?優輝!何よ、この指輪は!?」
話している途中の優輝の指に輝く、シルバーの指輪に気が付いたミントスが大声を上げた!
地球で言うところの銀は、この世界では【クレリア】と呼ばれる大変貴重な鉱石。効果の高い魔法を付与する場合か?結婚指輪の為に作られるか?の2択が常識である。優輝はチート能力以外では、剣で戦う戦士系で魔法は使えない。と言うことは…
「優輝!コレって結婚指輪よね?だ、誰と結婚したのよ!ま、まさかとは思うけど…」
ミントスは密かに想い慕っている優輝の指輪を見て、完全に動揺している
「あっ!これは、その…ぐえっ!」
ハッキリ言わない優輝にイラついた有栖が、彼の腹に膝蹴りを入れた
「この状況で聞くこと!?出発前に付けてなくて、2人で戻ったら付いてる。って事は…結婚相手は私しか居ないでしょーが!
優輝も【結婚指輪】だってハッキリ言いなさいよね。横に居てイライラするじゃないのよ!」
「なぁにぃ!?」
「嘘だろぉ!?」
「どういう事よ!?」
地球に行ってる間にファルバァスを倒しただけでなく、結婚してしまった2人。【消去の魔女】と【ポンコツ勇者】の結婚に周囲の人達は多いに驚愕した
【フェルニゲス遺跡前】
徳川有栖と一条優輝の帰還を察知したアリス達
「これでひとつ心配事が無くなったね。あの強い獣神を彼女ひとりに任せた事は、わたしも申し訳なく思ってたんだよね」
「んっ!?聞いた話だと…2人が転移して行った。と聞いていたが?」
キウからは2人が転移して行った。と聞かされていたヨシュア
「獣神相手なんだよ?【消去の魔女】ならいざ知らず【ポンコツ勇者】が戦力になる訳ないじゃないか!聞くまでもないけど、徳川有栖がひとりで討伐してきたと思うよ」
「なるほどな。そういう事か…有栖(アイツ)ならヤリかねねーか…」
優輝の実力を知らなかったヨシュアは、その説明で理解した様だ
「さぁ!アリス達も遺跡調査を頑張ろうねぇ!」
「WAON!」
同じ名の有栖の活躍に触発されたアリスは、遺跡調査のクエストに俄然ヤル気が出た様だ。横を歩く狼のハイラも同じらしい
ただ…この遺跡で思わぬ出会いと、カルーアにとって驚愕の事実を知らされる事を、この時の彼らはまだ知る由もなかった
続く
獣神ファルバァスの襲撃を受けたクラウン城と、その城下町は1週間経った今でも復旧作業が行われている
「ふぅー、散らばった残骸の片付けと地面の整地だけで1週間もかかっちまったな」
「レイド頑張ってるよ!もちろんキッチュもだけどね!」
「みんなご苦労様だ。この短時間でここまで再生出来た事に、国王として感無量だ」
クラウン城の王ロードの実の弟レイドを中心に、城に務める物と城下町に住む者達が一丸となって復旧作業にあたっていた
「皆さんお疲れ様です。毎日ご苦労様です!」
「この辺でひと息付きませんか?飲み物と甘いお菓子をご用意しましたよ」
「ご用意しました!」
ロード王の娘ケイトスと、厨房で働いているミランダとミラルの母娘が、10時の休憩タイムにと飲み物とお菓子を用意した
「父上、城下町の復旧作業の方に人員を多く割り当てていますが宜しいのですか?」
「当然だ!国民の生活なくしては王族の存在など意味は無い。まずは民の生活を元通りにしなくてはな」
キングス王子も頭では解っているが、自分たちの住処(すみか)である城の復旧にほとんど手を付けない父に少し心配していた
「ふっははは!キングスよ、流石のお前でも不安になったか?これが俺の兄のロード王だ。俺が異を唱えた気持ちも少しは分かるだろ?」
レイドは場を和ませる為、敢えて冗談ぽく言うと周りの者達も作業の疲れが吹き飛ぶような笑顔がこぼれた
「それにしても今日は良い天気だな。大雨が降るまでに出来る限りの復旧を進めたい……ん!?」
運の良い事にファルバァスが現れた日以降、1度も雨が降っていないのも復旧作業の助けになっていたのだが…そんな良好だった天候が怪しく変化している
「何だ!?急に雲がかき集められる様に群がって…」
「ビシャーン!!」
短い時間で分厚い雲が形成されたかと思ったら、その真ん中辺りを突き抜けるように、まばゆいばかりの光の柱が天から降り注いだ
「ふふ、ようやく帰って来たわね」
「本当に戻れた!良かったー!」
光の柱が消えていくと…その中心には【消去の魔女】徳川有栖と【ポンコツ勇者】一条優輝が立っていた
「優輝ー!!」
「ありゃ、生きて戻れましたか」
民と一緒に作業をしていたミントスとミクイが、優輝たちの姿を目撃した
「無事に帰って良かった!」
人生を救ってくれた優輝の帰還を喜び、飛び付くように抱きしめるミントス
「帰って早々済まないが、ファルバァスは討伐出来たのだな?」
「もちろんよ!私を誰だと思ってるの?泣く子も笑う【消去の魔女】ですからね!」
ロード王の問い掛けに、得意げな顔で獣神討伐の報告をする有栖
「……あれ!?キウ様とミアナは?」
「その2人なら【ブルージュ村】に帰りましたよ。キウさんが体調を崩されたので、村に戻って療養すると言われて…」
「あー、なるほど。そういう事か。なら仕方が無いわね」
ケイトスの短い説明でも、キウの特殊な事情を知っている有栖は十分に理解をしていた
「優輝はポンコツだけど、粘り強くて死なないのは立派!」
「ちょっと、それ褒めてんのか?」
相変わらず優輝をからかうミクイだが、今日はその後にとびっきりの笑顔を彼に向けた
「まーね、俺も場数は踏んだからな。そろそろ【ポンコツ勇者】の不名誉なレッテルも…」
「あ、あぁーっ!?優輝!何よ、この指輪は!?」
話している途中の優輝の指に輝く、シルバーの指輪に気が付いたミントスが大声を上げた!
地球で言うところの銀は、この世界では【クレリア】と呼ばれる大変貴重な鉱石。効果の高い魔法を付与する場合か?結婚指輪の為に作られるか?の2択が常識である。優輝はチート能力以外では、剣で戦う戦士系で魔法は使えない。と言うことは…
「優輝!コレって結婚指輪よね?だ、誰と結婚したのよ!ま、まさかとは思うけど…」
ミントスは密かに想い慕っている優輝の指輪を見て、完全に動揺している
「あっ!これは、その…ぐえっ!」
ハッキリ言わない優輝にイラついた有栖が、彼の腹に膝蹴りを入れた
「この状況で聞くこと!?出発前に付けてなくて、2人で戻ったら付いてる。って事は…結婚相手は私しか居ないでしょーが!
優輝も【結婚指輪】だってハッキリ言いなさいよね。横に居てイライラするじゃないのよ!」
「なぁにぃ!?」
「嘘だろぉ!?」
「どういう事よ!?」
地球に行ってる間にファルバァスを倒しただけでなく、結婚してしまった2人。【消去の魔女】と【ポンコツ勇者】の結婚に周囲の人達は多いに驚愕した
【フェルニゲス遺跡前】
徳川有栖と一条優輝の帰還を察知したアリス達
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「んっ!?聞いた話だと…2人が転移して行った。と聞いていたが?」
キウからは2人が転移して行った。と聞かされていたヨシュア
「獣神相手なんだよ?【消去の魔女】ならいざ知らず【ポンコツ勇者】が戦力になる訳ないじゃないか!聞くまでもないけど、徳川有栖がひとりで討伐してきたと思うよ」
「なるほどな。そういう事か…有栖(アイツ)ならヤリかねねーか…」
優輝の実力を知らなかったヨシュアは、その説明で理解した様だ
「さぁ!アリス達も遺跡調査を頑張ろうねぇ!」
「WAON!」
同じ名の有栖の活躍に触発されたアリスは、遺跡調査のクエストに俄然ヤル気が出た様だ。横を歩く狼のハイラも同じらしい
ただ…この遺跡で思わぬ出会いと、カルーアにとって驚愕の事実を知らされる事を、この時の彼らはまだ知る由もなかった
続く
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