ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

魔女の帰還

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【古代遺跡入り口】
今回はアリスとヨシュアのトラブルがあったし、入り口の魔装機兵(ガーディアン)の排除に成功したので、念入りに体制を立て直すために1度冒険者ギルドに帰って報告する事にした

「アリスさ~ん、ヨシュア様が~粗相をして~すみませんでしたね~」

古代遺跡から出た所でアリスは、エルデスの精霊魔法で濡らされた全身を乾かしてもらっていた

「乾いたら冒険者ギルドに戻ろうね。しかし、5階層の実験場か…強い魔物が居るんだろうな…討伐部隊の編成があるかもね」

カルーアは【超人類育成計画】の実験場となっている地下施設に脅威を感じていた

「仲間を増やすのか?…それ自体は構わねーけどよ、ヘルメスの街に俺らと釣り合う冒険者なんて居るのかよ?」

今回の5人、カルーアとヨシュアがSランクに匹敵する強さがある。それ以外の3人も、やがてSランクを狙えるAランク。といった、かなり強いパーティだ
ギルドで討伐部隊を募集するにしても、Aランク未満の冒険者を連れて行っても足でまといになる事が予想される

「確かにね。わたし達の報告を聞いてギルマスが、どう判断するか?だけどね」

「コハラコ聞いた」

2人の会話にコハラコが割って入ってきた

「下の部屋から鳴き声を聞いた。強い魔物の咆哮だと、コハラコ思うの」

5歳児とはいえ、コハラコは【賢者の石】によって産み出された吸血姫だ。見た目以上のハイスペックな戦闘能力を持っている。そんな彼女が地下から、嫌な予感がする程の魔物の雄叫びを聞いたらしい

「はい~終わりましたよ~出発しましょうか~」

「アタシの不注意で待たせてごめんねぇ」

「怪我した訳じゃないんだから良いさ。あの中では迂闊に物に触ったら駄目だよ?良いかい姉さん」

「はぁい!分かったぁ!」

とりあえず彼らは冒険者ギルドに帰還した


【アルバート工房】
「けほっ、けほっ…すみませんサーシャさん」

「良いんですの。病人は大人しく甘えて欲しいですの。助け合う絆、それが家族というものですの!」
 

サーシャに、風邪を引いているというのに無理をしている事がバレ、薬をもらいベッドで横になったミル

「サーシャさん…ボク…本当に…役に立たなくて…ごめんなさい…うぐ…」

アルバート工房の家族は、主であるヒイロを含めて実力者揃いだ

【名工ヘパイトス】に並ぶ勢いの鍛冶師のヒイロ
Aランクで獣人族のアリスは地球で、沖田流の奥義を学んで帰ってきた
ハイエルフのカルーアは、昇進試験こそ受けていないが、実力はSランクとクラウン王から認定されている
サーシャは天使族として復活してから、回復とサポート系の魔法はSランク以上かも知れない
加えて言えば、【賢者の石】に産み出されたコハラコも、真祖の吸血姫の素質を持っている

その中で、ひとり人並の能力しか持たないミルは、どうしても劣等感を感じてしまうのだった

「ゆっくり寝るんですの!」
「はい…」


サーシャはキッチンに戻った
ヒイロが紅茶をいれて待っていた

「魔法で治してやる訳にはイカンのか?」

「エリスア様も言ってらっしゃいましたの。授かった能力は絶大ですけど、何でもかんでも魔法で解決していると免疫が低下してしまって、逆に危険になってしまいますの」

「そうか。楽をしすぎるのも逆に毒になってしまうんだな」

「サーシャも、そう思いますの。ですから、自然回復出来るのなら、そうした方が良いですの」

あくまで自然の摂理に従い、魔法に頼るのは非常時に限る。というサーシャの考え方に賛同したヒイロ
彼の理解を確認したところで、サーシャが「ねぇ、お兄様ー」と甘える様に、身体を擦り寄せてきた

「お姉さま方は攻略難易度の高いクエストに向かいました。ミルもあの様にダウンしてますの。ですから…」

「な、何かな?サーシャ…」

ヒイロは今のサーシャの笑みには、見覚えがあった。ヒイロがカルーアを選ぶ前に、何度も身体を重ねてきた時の笑みだ

「お兄様なら分かってますよね?カルーアお姉様にお兄様をお譲りしはしましたが、たまにはサーシャを慰めて欲しいですの!」

「ん~…カルーアには内緒にしてくれよ。マジで!」

サーシャは姉たちに内緒にするという条件で、2人でヒイロの部屋に移動した

「お兄様!そ、そこ…凄く良いですの!」
「この甘えんぼめ!」

邪魔する者が居ないこの期に、サーシャはヒイロとの営みを楽しんだ



【冒険者ギルド】
「古代文明の魔装兵器(ガーディアン)を2体も撃破してきたのか?アルバート1家、流石だな…」

危険度Sランクに認定されている魔装兵器(ガーディアン)を半日で、2体も撃破してきた報告に驚愕するギルマス

「5階層の地下施設には【超人類育成計画】とやらで産み出された、ヤバい魔物どもが沢山居るはずだぜ!」

「ヨシュア君だったか…キミの親であるキウさんの、武闘会での大活躍は聞いている。私は見てはいないが、キミと付き添いのエルフ、エルデスちゃんの実力も凄いのだろうな」

先日のファルバァスの活動の余波で、突然湧き上がった【古代遺跡】の地下施設の調査が、かなりヤバいヤマになると理解したギルマスは、どうしたものか?と頭を悩ませていた

「それはさておきだ。先程、クラウン城から連絡が届いた。どうやら【消去の魔女】と【異世界勇者】がファルバァスを撃破して、異世界から帰還したそうだ」

「やれやれ…」

「カルーア、どうかしたノ?」

「いや。あくまで予想だけど…ポンコツ勇者は役に立たず【消去の魔女】がひとりで撃破してきたんだろうと思ってさ。どんだけ強いんだ!って呆れたのさ(笑)」
  

コハラコの問いに乾いた笑いで、返事をしたカルーア

「本当だよな。ファルバァスって、魔法が効かない体質なんだろ?ソイツを【消去の魔女】がどうやって撃破したのか?理解に苦しむな」

「全くね…規格外過ぎるんだよ!彼女はさ…」

「それと…悪い報せも届いている」

2人の会話に区切りがついたのを確認して、ギルマスが話を加えた

「悪い報せだと?」

ヨシュアの目付きが鋭くなった

「なんでも【消去の魔女】は【異世界勇者】を引き連れて、魔族側に身を寄せに行ったらしい…」

「そうなんだ…」

やはり徳川有栖は、クラウン城の人間側には付かなかった。カルーアはある程度予想していた事だが…

「なんだ。それのどこが悪い報せなんだよ。俺からしたら、当然の話だぜ!」

元魔王の息子であるヨシュアからしてみれば、【消去の魔女】が魔族側に帰還したのは当然と言える

まだまだ様々な問題を残したまま、古代遺跡の調査は第1段階を終了した



続く
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