ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

袋小路のカルーア

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【過去のエルドラド王国】
メイジリッチーに連れられ、カルーアの居る世界に向かっているサーシャ

「……と、言うことは、カルーアお姉さまは今、過去のエルドラド王国に居ると言うことですの?」

「はい、そうなりま~す。ミオランダは400年前エルドラドの騎士隊長をしていました。ある日、どこからともなく獣神が現れエルドラドを襲いま~した」

「えっ!?獣神って…あのマルバァスとかファルバァスとかですの?」

【獣神】という単語に過去の恐怖を思い出すサーシャ。メイジリッチーの話に拠れば…その別の個体が過去のエルドラド王国を滅亡に追い込んだ。そういう話らしいのだが…

「ミオ隊長は、その獣神をエルドラドに呼び寄せた張本人だったのです!それが判明し彼女を抹殺しようとしたのですが…
12体の超人類の協力をもってしても、魔獣と彼女には力及ばず…なんとか彼女をその時代に封印する事に成功しました。ですが、徐々にチカラを取り戻しているのでしょう。この地を訪れたハイエルフさんに気づいてしまったようです」

「12体の超人類さんが居ましたの!?…それでも相打ちしましたの…そうなんですのね…んーと…で、でも…その騎士隊長さんが何故カルーアお姉さまを襲っているのですの?」

ミオランダがエルドラド王国を裏切り、獣神を呼び寄せ滅亡に導いたから封印されたことは理解したサーシャ
しかし、何故ミオランダにカルーアが狙われているのか?は、分からない。メイジリッチーもソコは知らないようだ

「彼女の位置を捉えま~した!向かいますよ~、心の準備は宜しいですか?正直、ワシ様も真正面から挑んでは~彼女に勝つのは不可能ですからね」



【カルーア VS ミオランダ】
(良し、追い詰めた!アイツは私の衝撃波を飛行魔法で回避する気だろうが…)

カルーアを袋小路に追い込んだミオランダは、次で決着を付ける気のようだ

(マズイね…左右と背後は壁…飛行魔法で真上に飛んだら…狙い撃ちされるんだろうなー…逃げたら負ける…かな!?)

カルーアは今できる最善手を模索していた

「くくく、観念したのか?…貴様ら超人類どもにはいつも手をやかされる。が、いよいよ、お別れの時だ。行くぞっ!」
 

カルーアに十分な時間を与えてくれるハズもなく、ミオランダは衝撃波を放つ構えに入った。衝撃波をかわした方向に突進し、一瞬で間を詰めて直接斬るつもりでいる

「【雷光柱(ジャムルエッヂ)】!」

先に攻撃したのはカルーアだった
ただ直線に飛ぶだけの雷撃が、ミオランダの顔面を狙って放たれた

(雷撃系の下級魔法?まさかな、そんなハズはナイ!本命は別だろうな、何か仕掛けがあるハズだ!)

彼女の読み通りカルーアの放った雷撃は、七色の光を放っていた

(別の属性の魔力も混ぜて威力を上げて撃ったのか?…だが!)
「せやあぁぁぁ!!」

7つの属性を混ぜて威力を上げた雷撃も、彼女の剣に弾かれ斜め後方の上空へと飛ばされた
……………………………………………

「居ないだとっ!?」

雷撃を弾いたあと、再び前方を見た時には…既にカルーアは姿を消していた

「どこだ!?……認識阻害(ハードゥーン)とかいう魔法か?…しかし、この短時間で可能なのかっ?」

ミオランダの予想は正しい
攻撃系や防御系に比べて作用系の魔法は基本、発動までに時間が掛かるものなのだ。ソレを悟られずに行えるだけの時間は無かっただろう
キョロキョロと周囲を探すミオランダ…その時、予想外の方向からカルーアの声がしてきた

「悪いね、上を取らせてもらったよ。世界を彩る七精霊よ…立ち塞がる強敵を倒す光となれ!」
 

「馬鹿なっ!上だとっ!?」

先ほど放った【雷光柱(ジャムルエッヂ)】に魔法のロープを自分と結んでいたカルーアは、高速で彼女を飛び越え頭上を取っていた
7つの属性の要素を混ぜ合わせたのは、ただ単に威力アップだけでなく、輝く光で自分の姿を隠す目的もあったようだ。カルーアはその魔法のロープを解除し、ミオランダに照準を合わせる!

「喰らえっ!【七精守護霊(ハーロウィーン)】!!」

予想外の数メートル真上から、超極大魔法を撃たれたミオランダ。もはや回避も間に合わない

「舐めるなあっ!!」

彼女は剣に闘気を流し込むと、剣は黒い光を纏い彼女を護る盾代わりとなった

(やっぱりだ!彼女の剣もエリエスさんのと同じで、普通の剣じゃないんだ!…だけどっ!)

カルーアの妖精の指輪が光を放ち、彼女の魔法の威力を底上げする

「がああぁぁっ!!」

突然ミオランダは獣のような咆哮をあげた!カルーアは彼女の全身から獣神が纏うような強い闇の波動を感じた

「アレは!獣神たちの波動!?なぜ彼女がっ!?」

頭上からの超極大魔法を防ぐのは、余程の力量差がなければ難しいだろう……しかし!カルーアの【七精守護霊(ハーロウィーン)】が、徐々に押し返され始めていた

「そんなっ!?エリエスさんでも、この状況からは押し返せるハズないよ!…何だいコイツのこのパワーは!…まるで獣神を相手にしているみたいだ……!?まさか!」
 

超極大魔法の押し潰さんとする程の攻撃を、下から押し返してくるミオランダのパワー
そんな芸当は、いかなる猛者でも不可能に思われる。人ならざる者でなければ不可能だろう…

「がああぁぁぁぁ!!お前はこの場で!必ず殺すっ!……ぐぼっ!?」

カルーアの魔法を押し返そうとしていたミオランダが、別の方向に派手に吹き飛ばされて行った!

「お姉さまっ!」
「サーシャっ!」

ミオランダの側面から放った、サーシャの鉄球が彼女のボディに直撃した!
警戒してなかった方向からの攻撃を受け、ミオランダは数十メートルほど派手に吹き飛んだ

「えっ!?昨日のメイジリッチーまで!どういう事だい!?」

「時間がありません!早くこのGATEの中へお入りなさ~い!」

メイジリッチーは時空のGATEに、カルーアとサーシャを押し込むと急いでGATEを塞ぎ始めた

「リッチーさんはどうしますの?」

「まぁ…むかし二人三脚で王国を盛り上げた仲ですし…彼女が再び貴女に悪戯出来ないように、可能な限り封じておきますよ。さようならです、少女たち~」

カルーアとサーシャを飲み込んだGATEは、その口を閉じた

「帰りましょう、お姉さま」
「はぁはぁ…本当に助かったよサーシャ…」

2人の周囲の時間は動き出し、もと居た世界の時間へと帰って行った



続く
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