ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

揺れる想い

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【ヘルメスの繁華街】
美人姉妹たちと別れたリキュールとヒイロ。彼らが次に向かったのは商業ギルド。これはヒイロの用事である

「おっ!ヒイロとカルーアちゃん、よく来たな。今日は2人か?」

「珍しいですね。ジュリアンさんが受け付けで業務しているなんて」

商業ギルドマスターのジュリアンが受け付けをしており、彼らを出迎えてくれた

「本当はよ、裏で踏んぞりがえっていたんだがな…お前達なら知ってるだろ?魔物の活性化。その調査にスタッフ総出になっていてな、俺も休んでられねーんだ…」

「また、カルーアお姉さんを知ってる人だ…」

カルーアは今やこの街の…いや、この世界の英雄と言われているので、カルーアの身体をコピーしたリキュールが出歩けば、どこに行っても彼女と間違えられるのは仕方ないことだった

「カルーア…お姉さん?」

職業柄、会話の中の重要そうなワードは聞き逃さないジュリアン。リキュールの言葉に違和感を感じていた

「えっと、その…まだ説明するのは難しいんですよ…もう少ししたら…」

「なるほどな、訳ありか。分かった。深くは聞かないでおこう。で、何用で脚を運んだんだ?依頼品なら昨日寄ってくれたミル君たちに渡したハズだが?」

ヒイロは街の周辺の変化を調べたかったのだが、人馴れしてないリキュールを人の多い冒険者ギルドに連れていくのを避けたかったので、情報通の彼の居る人の少ない商業ギルドの方を選んだのだ

……………………………………………

「やはり大変な事になってるんですね…まだまだ妹たちは忙しくなりそうだなぁ…」

「なんだ?三姉妹たちにクエストに行かせるのが心配になったのか?」

「えぇ、彼女たちは獣神との戦いを始め、色々なゴタゴタに巻き込まれ過ぎだと思うんです…もっと、年齢に合った楽しい日々を送らせてあげたいんです…」

ヒイロは大きな戦いに巻き込まれ過ぎている三姉妹、特にカルーアの身を案じているのが顔に出ていた

(ヒイロさんは優しい人だな。その辺がお姉さんが1番に気に掛けている理由なのだろうか?)

まだまだ人付き合いや、一般的な教養に関する知識が致命的に少ないリキュールは、色々な情報を集めようとしている
それが単なる好奇心なのか?人の可能性を追い求める超人類ゆえに起きている感情なのか?本人も分からなかった


再び繁華街に戻った2人だが、何処へ行ってもリキュールはカルーアとして見られてしまうので、彼女が望むデートの醍醐味は理解出来ていなかった

昼も回った頃、昼飯を食べに食堂に入った2人。しかし、ここでも彼女はカルーアと間違われてしまう
超人類の事はまだ一般的には秘匿されている事なので、ろくな説明も出来ず誤魔化すしかなかった


「疲れちゃったかな?」

「うん…少しね…ねぇヒイロ。あそこの2人、アレは何をしているの?」
 

食事を済ませ彼女の要望でデザートを食べていた時、彼女は離れたテーブルの若いカップルの行動に注目した

「はい、あーん」
「ありがとう、美味しいぃ!」

男が彼女らしき相手に、スプーンですくったアイスを食べさせていた。2人は周りから見ても分かるほどラブラブしていた

「あの行為は…食事が美味しくなる儀式みたいなモノなのか?」

【恋人】の付き合いなど知らないリキュールからすれば、その行為の意味など理解出来なかった

「仲の良い者同士がたまにやる…うーん、なんて言うか…信頼関係の表現のひとつ。かな?」

「ふーん…そうなの?ねぇヒイロ、私にもしてください。その気持ちを知りたいの」

「そ、そうか?分かった…はい、アーン」

「ぱくっ、もぐもぐ………」
(うーん…何だろ、別に食べ物の味自体に影響は無い……無いんだけど、何なの?この感情…少しドキドキしてる?)

若いカップルの真似をしてみたリキュール。明確な答えは分からなかったが、ひとりで食べる時とは気分的な部分に相違点がある事を認識した

「ご馳走様でした」
「ありがとうございました!またのお越しを!」

そのカップルが食事を済ませ店から出ていく。仲の良い2人は腕組みをして笑顔で退店して行った。その様子も観察しているリキュール



【帰り道】
「ねぇヒイロ…」

「今度は何かな?」

「帰るまで腕組みして!」

ヒイロとのデートとに、カルーアがどんな気持ちになっているのか知りたくて外出したリキュールだったが…ずっとカルーアと見られてしまい、その目的を果たせそうになかったのだが…
食堂で見たカップルの行動に妙に興味を惹かれたリキュールは、彼らがしていた事をトコトン自分もやりたいようだ

「さっきの2人、凄く幸せそうな笑顔をしてたわ。食べさせ合うのもそうだけど、腕を組んで歩いていく姿も眩しく見えたわ。私もアレやってみたいの♪」
 

「分かったよ。はい、じゃあ一緒にかえるぞ。背の高さが違うから少し歩きにくいと思うけど、コケたりしないように注意するんだよ」

快くリキュールの要求に応えるヒイロ。彼女は終始笑顔でアルバート家まで歩いた



【アルバート家】
夕方も近づき空が赤みを帯び出した頃に帰宅したリキュールとヒイロ

「どうした、もうおしまいか?」

「ゼハーゼハー…」
「はにゅにゅ~」

今日もヨシュアの訓練にバテて倒れている、コハラコとカナタン。2人は、まともに返事も出来ないようだ

「今日も頑張ってるな」

「おっ!帰ったのか?……ん?なんだ、腕組みなんかして…随分仲良くなってるじゃねーかよ」

リキュールの要望で、本当に家まで腕組みしていたので、それを見たヨシュアに質問されたヒイロ



【室内】
「はいヒイロ、あーん…」

「ぱくっ…恥ずかしいw」

「えへへへへ…なんか、嬉しいぞ」

帰った途端、急にヒイロにデレているリキュールの反応に驚くエルデスとミル

「なるほど~リキュールちゃんは~知りたがり屋さんでしたか~何でも楽しい時期ですね~♪」

「ぼ、ボクも今度…サーシャちゃんと…あっ…やっぱりボクにはハードル…高いよ!」

自分の立ち振る舞いが分からずに、やや無愛想な感じが目立っていたリキュールが、帰ってから上機嫌だったので皆の視線を集めていた。彼女自身もソレを嬉しく感じていた



【帰宅】
「みんなぁ、帰ったよぉ!」

「やっと帰れましたの!」
「サーシャママ!」

バテていたコハラコが大好きなサーシャの顔を見た途端、急に元気になり飛びついている

「やれやれ、相変わらず懐かれているね。ヒイロただいま、帰ったよ……えっ!?」

ようやく帰宅してホッとしたカルーアだが…目の前でリキュールから「はい、あーん」をされて照れているヒイロの姿に衝撃を受ける

「ふーん…少し留守にしてた間に…随分と仲良くなったんだねー…へぇー、そうなんだ…」
 
照れるヒイロの表情を見て喜ぶリキュールの姿は…仲良しカップルの姿にしか見えない。生命からがら生き延びての帰宅になったカルーアからすれば、帰った直後に恋人のヒイロが他の女と仲良くしているシーンを観させられたら…気分良くないに決まっている

「わたし達はヒイロの為に、危険なエルドラ山脈の山頂にまで出掛けていた。というのに、ヒイロはリキュールとヨロシクしてたんだね…ふぅーん…」
 

「いや、カルーア。これはだな…」

ようやく帰宅したカルーアだったが、家でもまた別の問題に遭遇していた。彼女の前途は、まだまだ多難のようだ



続く
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