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第六章 最後の闘いです!
第80話 我々は、運命に引き寄せられていたらしい
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街の中を結構歩いたが、リッコは頭を抱えるばかり。
「赤ん坊だったので。うーん」
ますます、彼女が何者か分からなくなってきた。リッコはコジモと顔も似ていないし、病弱でもない。キエフの誰とも面識がないそうだ。
「すいません。大きなことを言っておいて」
「構わん。どうせキミがいなければ、封印は解けなかったんだ。感謝しているよ」
「そう言ってもらえると、ありがたいです」
日和った自分の尻を叩いてくれた恩もある。
「ボクも、リッコさんがなぜ秘宝のカギを手渡されていたのか、気になっています。盗んだ様子もないですし」
「はい。わたしの師匠がショーナ・ドッコイというのですが、何か王族の関係者なのでしょうか?」
「ショーナ・ドッコイ様の! それなら謎が解けました」
ドッコイの名を聞いて、王子が天啓を得たかのように語り出した。
シングニアによる魔族襲撃に備えて、王家は秘宝のカギを分けて、一つは王子に、もう一つを優秀な配下に渡していたという。
「その方は東洋のお生まれだったそうで」
彼とドッコイは親友だった。彼からドッコイに手渡された可能性が高い。
「師匠の親友が、わたしの父親だったんですね? でも、どうして師匠は、父の話をしてくれなかったのでしょう?」
ソランジュは首を振る。だが、引っかかる部分はあった。
「リッコ、どうして活動拠点をワーンスにしたんだ?」
ワーンスとリッコの故郷は、ほぼ裏側だ。
そんな遠いところまで行く必要なんて。
「秘宝が目当てだったのではないですか?」
話に割って入ってきたのは、ワーンスを故郷に持つジョーイだ。
「違うね。それならクテイに直接行くだろう」
ソランジュは即座に否定する。
リッコは秘宝のコトなんて、何も知らなかった。自分が鍵だとも分からず。
「師匠からは、『目的を見失ったら、ワーンスに住む魔女を頼れ』とだけ。でも、わたしは生活に困ってなくて。人見知りだし、直接会う機会がなかったので」
依頼があったから、ソランジュの元へ来たのか。
「なるほど、何も知らせなかったのは、最初から私と引き合わせる予定だったのかも」
少なくとも、ドッコイがリッコを最強の聖騎士に育てたのは、秘宝の鍵を守らせるためであった可能性がある。
「どのみち、ソランジュさんとは会う運命にあったんですね」
「そのようだ。それにしても、ドッコイも人が悪いね。冒険者脳というべきか」
ソランジュは呆れた。
何も教えなかったのは、その方が「楽しいから」とでも考えたのだろう。
あのバカが思いつきそうな話だ。
「すまないね。知り合いがイタズラ好きで」
「いいんですよ。別に責めるつもりはないです。師匠はわたしをここまで育ててくれた恩人です。説明しないからって恨むなんて、できません」
「彼女もきっと喜んでくれるさ。今は秘宝のことを考えよう」
「赤ん坊だったので。うーん」
ますます、彼女が何者か分からなくなってきた。リッコはコジモと顔も似ていないし、病弱でもない。キエフの誰とも面識がないそうだ。
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「構わん。どうせキミがいなければ、封印は解けなかったんだ。感謝しているよ」
「そう言ってもらえると、ありがたいです」
日和った自分の尻を叩いてくれた恩もある。
「ボクも、リッコさんがなぜ秘宝のカギを手渡されていたのか、気になっています。盗んだ様子もないですし」
「はい。わたしの師匠がショーナ・ドッコイというのですが、何か王族の関係者なのでしょうか?」
「ショーナ・ドッコイ様の! それなら謎が解けました」
ドッコイの名を聞いて、王子が天啓を得たかのように語り出した。
シングニアによる魔族襲撃に備えて、王家は秘宝のカギを分けて、一つは王子に、もう一つを優秀な配下に渡していたという。
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ソランジュは首を振る。だが、引っかかる部分はあった。
「リッコ、どうして活動拠点をワーンスにしたんだ?」
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そんな遠いところまで行く必要なんて。
「秘宝が目当てだったのではないですか?」
話に割って入ってきたのは、ワーンスを故郷に持つジョーイだ。
「違うね。それならクテイに直接行くだろう」
ソランジュは即座に否定する。
リッコは秘宝のコトなんて、何も知らなかった。自分が鍵だとも分からず。
「師匠からは、『目的を見失ったら、ワーンスに住む魔女を頼れ』とだけ。でも、わたしは生活に困ってなくて。人見知りだし、直接会う機会がなかったので」
依頼があったから、ソランジュの元へ来たのか。
「なるほど、何も知らせなかったのは、最初から私と引き合わせる予定だったのかも」
少なくとも、ドッコイがリッコを最強の聖騎士に育てたのは、秘宝の鍵を守らせるためであった可能性がある。
「どのみち、ソランジュさんとは会う運命にあったんですね」
「そのようだ。それにしても、ドッコイも人が悪いね。冒険者脳というべきか」
ソランジュは呆れた。
何も教えなかったのは、その方が「楽しいから」とでも考えたのだろう。
あのバカが思いつきそうな話だ。
「すまないね。知り合いがイタズラ好きで」
「いいんですよ。別に責めるつもりはないです。師匠はわたしをここまで育ててくれた恩人です。説明しないからって恨むなんて、できません」
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