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1-2 新しいお友達ができました

第22話 玉座の特性

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「どうなさいました?」

「なんで、薬草採りの依頼でレベルが四〇も上がってるの? 不正をしてませんか?」
 ヘナヘナと、受付嬢がへたり込む。

「これが『ジョブ:玉座』の怖さだ」
「あっという間に、レベルが一気に上がるのか」
「魔王サマの手伝いをしただけだってのに」
「でも、どのステータスが上がるかは謎だからな」
「オレもチサ様を抱っこしたい」
 事情を知る冒険者たちが、口々にボクをウワサした。
 一人、欲望丸出しの奴がいるが。

「彼は玉座。彼のマナを使って、土地を一部だけ開発した」
「そういう事情でしたか。承知しました。では正当な理由ですね」

 ボクの把握が追いつかないところで、話がドンドンと進んでいく。 

 依頼料を得て、チサちゃんは「用事があるから」と、服飾店へ向かった。
 自分へのご褒美に、服を買うのかな。

「おまたせ。今日はこれで終わり」


 村へ帰ろうとしたとき、一人の農民がギルド詰め所に転がり込んだ。


 今度はなんだろう?


「イノシシが出た! カボチャを食おうとしている!」

 また、チサちゃんが飛び出す。

 今度は、ボクも慌てない。
 追いつけるようにチサちゃんの背を追う。


 村に戻ると、大きなイノシシがカボチャ畑に突っ込もうとしていた。

「離れて、ダイキ!」
 ボクの身を案じてか、チサちゃんが自分でなんとかしようとしている。

 いくらなんでも、こんな小さな子にイノシシと戦わせられない。


 ボクに力があれば。


「いや、チサちゃんはみんなを安全な所へ」
 武器を取りに行っている暇もない。
 ボクは丸腰で、イノシシに立ち向かう。


「来い!」


 イノシシ相手に、ボクの柔道がどこまで通用するか。


 けど、ボクは負ける気がしなかった。

 イノシシのステータスが見えたからだ。
 レベルは二、分類は野生動物である。

 対して、ボクのレベルは四〇だ。

「ってええええ!」

 結果、ボクは低空タックルからの裸締めで、イノシシを倒してしまった。

「はあ、はあ!」

 疲労感はない。興奮で、息が上がっている。
 イノシシから身体を離されるまで、自分が勝ったと分からなかった。

 村人たちの歓声によって、我に返る。

「何度も助けていただいて、ありがとうございます」

「い、いえ」
 息を整えることで精一杯で、村人の感謝にうまく反応できない。

「すぐに解体します! 持って帰ってください」

「ありがとうございます。でも、村のみんなで分けてください」
 頭を下げて、ボクはその場を離れた。

 チサちゃんが、手を差し伸べてくれる。

「ありがとうチサちゃん、帰ろう」
「うん、ありがと」

 ボクはチサちゃんの手を引き、家路に向かう。
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