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1-3 ボクの知っている砂遊びと違う!

第38話 スキルを振ろう

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「これがあったら、もしチサちゃんが危険な目に遭っても、守ってあげられるね」

 とはいえ、一気に二〇ポイントも割り振る必要がある。

 この先、これ以上に役立つスキルを身につけられるなら、ポイントは残しておきたかった。
 
 また、スキルを振ってやり直しができるか分からない。
 試して中途半端な威力だったら。 

「ギルドに相談すれば、リスキル、つまり『スキルの振り直し』もできますから、悩まなくても結構ですよ」

「そうなんですね。じゃあ、遠慮なく」


 だったら、ためらう必要はないか。
 ボクは【黒龍拳】にポイントを振った。

 途端、ボクの背中が急に熱くなる。
 まるで、焼き印でも入れられたかのように。
 身体も、みるみる引き締まっていく。
 武芸の知識が、頭に流れ込んでくる。

「うわ!」

 ボクの背中に、黒い龍の顔をした刺青が入っていた。
 痛みは引いている。

「温泉は入れるかな?」
 タトゥー禁止の施設があったりしたら。

「心配ない。冒険者ダイキにしか見えない」
 なら安心だね。

 黒龍拳の内容を確かめる。
 高速攻撃可能なマッハパンチとか、リーチを伸ばす遠当て、瞑想による負傷・疲労回復が可能らしい。
 対象の体力をを回復させる練気は、ツボを突いて状態異常まで回復させるのか。

「他のスキルは、どうしようかな?」

 ボクが振ろうとすると、マミちゃんが横槍を入れてくる。

「もうめんどくさいから、黒龍拳に全振りしなさい!」

「待ってまだ振ってないから待って!」
 ボクは抵抗する。

「うるさいわね! レベル四〇の黒龍拳なんて、めっちゃ強いんだから!」
 だが、マミちゃんはボクからカードをひったくろうとした。


 マミちゃんがボクのスキル表に手を出そうとするのを、チサちゃんが羽交い締めに。

「ダイキの好きなように振って」

「わーわーっ!」

 他は思いつかなかったので、【農作業の知識】【薬草の知識】【料理の知識】に一ポイントずつ振った。

 あとは今後のために残しておくことに。
【黒龍拳】を試したいという頭もある。

「日和ったわね。生産職にも割り振るなんて」
 ボクのスキル振りなのに、マミちゃんがプリプリと怒った。

「いつか戦うかもしれないじゃない。強くないと面白くないわ!」
「ダイキは優しい。子どもに手をあげられない」
「ケイスが相手なら、手を抜かないでくれるかしら?」

 ボクと、ケイスさんが戦う、か。イメージできないな。

 ケイスさんは強い。
 チサちゃんが持つ最強の手駒すら退けた。
 ボクは、壁役にすらなれないかも。

「もし、マミちゃんやケイスさんが、チサちゃんと敵対するのなら」

 その可能性だってゼロではない。
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