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1-5 自由研究は生産職スキルで乗り切れ!

第70話 魔王の気遣い

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「いやいや戦闘しづらいでしょ」

 こんなカッコウでスコップを振り回したら、危なくて仕方ない。

「そもそも、ダイキは戦闘要員じゃない」

 ボクの役割は保護役であると、チサちゃんは主張する。
 前面に立って戦闘するのはエィハスたちに任せればいいと。

「まさか、移動用だよね?」
「今のところは」

 だと思った。
 こんなカッコウで街を歩いていたら、呼び止められてしまう!

「折り畳み式なので、未使用時は鉄板となります」

 使い方を教わる。
 座席は持ち上げただけで、装甲板へと早変わり。シートが裏返るので、チサちゃんと接着する面へのダメージもない。

「そうしていただけると、助かります」

 何より目立つしね!

「これ、チサちゃんのリクエストなの?」
「そう。これで、ダイキと一緒に冒険できる」

 困惑するボクに対し、チサちゃんはウキウキ気味だ。
 よほどうれしいらしい。

「前に森を冒険したとき、離ればなれになりかけた。これなら、いつでも一緒にいられる」
「そんなに、ボクの側にいたかったの?」
「うん。ダイキはわたしの玉座だから」

 そこまで言われると、断れないな。

「迷惑だった?」
 チサちゃんが、悲しい顔をした。

「迷惑だとか、そういうワケじゃないんだ。ただ、ボクってやっぱり戦闘では役に立たないのかなって」

「本音を言えば、戦闘に出て欲しくない。危ないから」

 冒険者たちの活躍を見たが、みんな命がけだ。
 探索職のオンコだって、やるときは必死に戦っている。

 ボクも追いつきたい。
 チサちゃんが危ない目に遭うのは辛いから。

「チサちゃんが戦ってくれっていうなら、ボクは命がけでチサちゃんを守るよ」

 返答するも、チサちゃんの表情は曇ったまま。

「そういう所が、怖い」


「え?」


「ダイキは本当に身の危険が迫ったときの最終防衛ライン。うかつに死なせられない。でも、自分から危険に飛び込むというなら、止めづらい」


 なんとなく、チサちゃんが懸念している理由が分かった。
 ボクが本当に、命を投げ出すと思っているんだろう。

「怖かった。ずっと。いつかダイキが、自分の身を犠牲にしてしまうんじゃないか、って」

「ボ、ボクだって死ぬのは怖いから! チサちゃんが張り切らなくていいって言うなら、ボクも出しゃばらないよ」

 臆病者を演じ、チサちゃんを落ち着かせる。

 分かったよ。長生きするなら、多少弱虫なのがちょうどいいよね。

 自分でグイグイ行くより、後方から戦況を見守って、流れが変わるまでは壁役に徹する。

 うん。それがボクらしい生き方だ。

「遅くなっちゃったね。冒険者は翌日、ということで」

 明日、改めてパーティを組んで挑もうという話に落ち着く。
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