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2-2 おねショタ魔王と激突する。

トシコさんの過去

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「マミさん、続いてネウロータチームの厨房ですが!」
「はいどうぞ!」

 トシコさんは、サザエとハマグリを炭火で焼いている。

「あ、サザエから汁がドバドバです! 旨味が零れていきますっ!」

「おっとこれは! トラブル発生かしら?」

 もったいない食べ方をするなーと、ボクは思った。

「大丈夫ですよ。今サザエから出ているこれ。実は海水なの」
「ホントですか? 濃厚な旨味が逃げちゃってるのでは?」

「確かに、皆さんが食べるときに『濃いなー』って思うでしょ? 海水を飲んでいるから、当然なの」

 惜しげもなく、トシコさんはサザエを網からあげて、シンクにひっくり返した。

「この汁気は捨てまーす」

 海水が流しにこぼれ落ちる。

 同様に、ハマグリも裏を向けた。海水が、ドボドボッとハマグリから垂れていく。

 あれが旨味なんだと、ボクも思っていた。

「後からちゃーんとダシが出ますから、安心してねー」
 小羊ちゃんに、トシコさんが手を振る。

 海水を吐き出させ、そこから出てきた汁にこそ、本来の旨味が凝縮されているんだって。知らなかった。

「見事ですね。どこかで、修行なされていたんですか?」
 羊魔王ちゃんが、トシコさんにインタビューをする。

「ここに来る前、居酒屋の厨房でバイトをしていました。学費を稼ぐために」
「学費とは?」
「イラストの専門学校です」

 人外少年が主役のマンガを書いていたらしい。
 
 
「料理は得意だったんですけど、おじさんやお年寄りの相手ばかりで、つまんなくて。お店はすぐにやめちゃいました。そこで改めて、自分が少年好きなんだなと実感しました」

「可愛いんですから、メイド喫茶という手は?」

「次の勤め先が、そこでした」

 トシコさんは、厨房スタッフとして働くことを望んだ。
 しかし、与えられた仕事は接客と、腕っ節を見込まれたボディガードの仕事ばかり。

「だからイヤだったんです。友だちに誘われてイヤイヤやっていました」と、トシコさんは心底嫌そうな顔をする。

「おまけに、そこも客層がおじさんばかりでして……」

 辞めようと思っていた日に来た客が、ネウロータくんだった。

「ネウロータくんにスカウトされて、即OKしました。食事の味付けを合わせるのに苦労しましたけど、楽しいです」

 彼と出会い、今日に至るという。



「チサ選手は、なにをしてますか?」
「カボチャの器を作ってる」

 半分に切ったカボチャをレンチンし、中身をくり抜いて、器にしてもらっている。身も、後で使う。

「マミさん! どうやらチサ選手、デザートを作っているようなんですが」
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