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2-3 いよいよ海へ。人魚姫との遭遇!?

バタ足の速度で

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「一番水着選びに手間取っていたじゃん。あんまりノリノリじゃなかったクセにさ」

 そのまま海の家で、遅め昼食に。

 チサちゃんとボク、エィハスは軽く麺類で済ませた。
 不思議そうな顔をして、チサちゃんは麺をすすっている。

「どうしたの?」
「あんまりおいしくないのに、箸が止まらない」

 だよね。海の家の料理って、クセになるんだ。

 ゼーゼマンは海に入らないというので、ホタテとエールで一杯引っかける。

「よい薬草になりそうな海鮮があれば、見つけてきて欲しいのである。育毛剤ならなおよし」
 彼はこのまま、くつろぐという。貴重品を見てくれるから、いいか。

 一番食べていたのは、新しい物好きのオンコだった。元々ドワーフな彼女は、持ち前の健啖家ップリを発揮している。店の全メニューを制覇する勢いで、デザートのかき氷まで平らげた。

「お腹壊さない?」
「平気平気。これくらいドワーフにとっては日常だよ」



 少し休んでから、本格的に海へ。



 ボクはチサちゃんを抱きしめながら、海水に浸かる。

「冷たくて気持ちいい」

 チサちゃんは楽しそうだ。

 ボクが両腕を掴んで、チサちゃんはバタ足の練習をしている。バランスを確認しながら、ゆっくりと進む。


 エィハスとオンコは競争を始めた。
 冒険者ということもあり、スピードがシャレにならない。

 うらやましそうに、チサちゃんが二人を眺めている。

「あんな風に泳いでみたい?」
「うんっ。きっと楽しい」

 力強い返答がきた。

 これから先は、海の探検もする。泳ぐスキルは必要だ。
 なにより、チサちゃんの目には憧れの色が見える。

「腕を緩めようか?」

 ボクは、手だけを握って、チサちゃんを放す。

 一瞬、チサちゃんは溺れそうになったが、海に浮くことができた。

「大丈夫?」
「わたしは平気。続きする」

「OK。バタ足をやってみて」
 バシャバシャと、チサちゃんが足で水をかく。

「スキルでも、泳ぎって習得できるんだよね?」

 冒険者カードには、水泳や潜行のスキルが追加されていた。

「『泳ぐ』という感覚をちゃんと覚えないと、身についたことにはならない」

 そうか、免許があるからといって、運転が得意とも限らないもんね。

 ボクも黒龍拳という技を持っているけど、戦闘やケンカは怖い。
 だから、自分からはふっかけなかった。
 
 それと同じかも知れない。感覚が大事なのだろう。

 未知のスキルだろうと、チサちゃんは積極的に覚えようとする。

 まず土地に馴染むところから始める辺り、エラい。

 夕方が迫る辺りには、手を放しても泳げるようになっていた。

 エィハスとオンコのように、速く泳ぐことはできないけど。


 いいんだ。ボクたちはゆっくり行こう。
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