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2-3 いよいよ海へ。人魚姫との遭遇!?

日焼け

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 お風呂の湯船に浸かると、チサちゃんが軽く悲鳴を上げた。

「どうしたの、チサちゃん?」
「背中と足が、なんか痛い。ダイキ見て」

 チサちゃんの背中に白い横のラインができている。
 他は小麦色に焼けていた。
 足も色が変わってしまっている。

「あー、日に焼けちゃったのか」

 今日はぬるめのシャワーだけで済ます。
 ここで無理をすると、肌が荒れてしまう。

 その後、冷やしたタオルで患部を優しく包んだ。

「これでよし、と」
「ありがと、ダイキ。物知り」
「いやいや。ママさんになった友だちから聞いたことを、マネしてみただけだよ」

 チサちゃんにはキレイでいて欲しい。

「そのうち、皮がむけるようになるよ」
「わたし、爬虫類じゃない」
「脱皮とは違うよ。気持ち悪いからって無理して剥がすと、お肌に悪いからね」
「分かった。ガマンする」
「じゃあ、出ようか」

 眠る前に、チサちゃんは何かノートを広げて、クレヨンで絵を描いていた。

「何をしてるの?」
「絵日記」

 ネウロータくんのお家に遊びに行った様子や、海で遊んだことを、書いているようだ。

 ボク、ネウロータくんと戦ったときは、グッタリしてすぐに寝ちゃっただよね。こんなの描いていたんだ。知らなかったな。

 イラストが本格的である。クレヨンだけで表現したとは思えない。

「すごいね。ボク、絵が苦手だったよ。マンガのキャラクターもろくに描けないよ」
「こういうのはマインド。わたしだって得意じゃない」

 チサちゃんが謙遜する。

「コレも課題?」
「自由課題。別に義務じゃない。思い出に残しているだけ」

 クレヨンを走らせるチサちゃんの様子は、実に楽しげだった。

 ボクは毎回、チサちゃんに驚かされる。

 子どもっぽい一面もありつつ、大人びた発言を、チサちゃんはしてくるのだ。子ども目線でありながら、世界を大局的に見ている節がある。かと思えば、無邪気に絵日記なんて書いちゃって。

 今だと、スマホでパシャっとすれば済んでしまう。プリントアウトして貼り付けた方が楽鴨知れない。

 セイさんが持っているから、ここにもスマホや携帯端末らしきモノはある。魔王さえあれば何でもできるはずだ。

 けど、チサちゃんはアナログにこだわっている。時代に逆らっているわけじゃない。モノを大事にしているだけだ。

 チサちゃんは、自分の目で見て確かめたモノを書き記している。

 その姿はボクに、世界を背負うリーダーの器を思わせた。
 チサちゃんは、きっといい魔王になる。


 ボクは、チサちゃんの玉座になれて、幸せだ。
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