上 下
164 / 302
2-5 回転寿司屋さん完成!

I○E○のサメならぬ、【ケーノ・メサイア】

しおりを挟む
 装備が完成したというので、チサちゃんとゴマトマへ。

「お待ちしていました」
 お城の中で、ベルガが待っていてくれた。

「ベルガ、LOが出たんですって?」

「はい、ダイキさん! クラゲの怪物クラーケンが、漁船を襲っていて」

 クラーケンが海を荒らしているせいで、船を出せないらしい。


「大変だ。はやく退治しに行きましょう」

「よろしくお願いします。こちらへ」

 一直線に、ボクたちは鍛冶場へ。

「ご覧下さい、これがダイキ様に用意された、新しい鎧でございます」


 ベルガに紹介された装備を見て、ボクは呆然となる。


 ボクに用意された装備は、どうみてもサメの着ぐるみだった。
 口から頭を出すタイプの。

「ねえベルガ、これが新しい装備?」


 
 ウエットスーツの上に、サメを着る感じと言えばいいか。


「これぞまさしく、王者しか装備できないという幻のヨロイ、『ケーノ・メサイア』ですわ!」



「どう見ても【I○○Aのサメ】だよね!?」


 やけにカッコイイ名前にしてるけど!

「着てみて、ダイキ」
 ボクが呆れているのをよそに、チサちゃんは新装備を来て欲しいと催促している。

 そんなチサちゃんを無視することはできない。

 ボクは覚悟を決めて、○KE○のサメに身を包む。

 着心地いいのが、逆に腹立つなぁ。
 すごくジャストフィットじゃないか。なんの不快感もない。
 装備としては最高なのだ。見た目以外は。

「どうかな、チサちゃん?」
「かわいい」
「ありがとう。変じゃない?」
「ちっとも」

 天使のような笑顔で、チサちゃんはボクを褒めてくれる。
 
 かわいいよね。ボクが着ない方がもっと。

 こういうファッションこそさ、チサちゃんが着るべきなんだよ。

「よく似合ってるよ、ダイキ」

「間違いない。実に愛らしい」

 オンコとエィハスは、笑わないでまともに受け答えしてきた。それが逆に怖いんだけど。
 プププーとでも笑ってくれた方が、いいなぁ。
 そしたら、「やっぱりおかしいじゃん」と怒れるというのに。


「うむ。『水を得た魚』とは、まさにこのこと」
 ゼーゼマンのマジレスほど、怖いものはない。不安になってきた。

「素晴らしいです、ダイキさん。まさに二層の勇者【エレクチオン】そのもの!」


 最もボクを賞賛したのは、二層の住人であるベルガだ。
 両手を胸の前で重ねて、お祈りまでしている。
 神様なの、ボク?

「それにしても勇者エレクチオンって。スゴイ名前だね」

「伝承では、そう呼ばれています。古くはトリトン、イクティオとも呼ばれていたそうですわ」

「でも、素晴らしい装備なのは確かだよ。ありがとうベルガ、オンコも」

 ボクが言うと、ベルガが「まあ!」と、涙を流さんばかりに喜ぶ。
「お役に立てて何よりです!」

「えへへ。ビントバーとゴマトマの友好を象徴する装備を、って発注したからね!」
 得意げに、オンコも鼻を指で拭く。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

男は歪んだ計画のままに可愛がられる

BL / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:11

リーンカーネーション 小学4年に戻ったおれ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:56

呪われた第四学寮

ホラー / 完結 24h.ポイント:852pt お気に入り:0

傾国の王子

BL / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:12

二番煎じな俺を殴りたいんだが、手を貸してくれ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:184pt お気に入り:0

ここはあなたの家ではありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:37,211pt お気に入り:2,020

潰れた瞳で僕を見ろ

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:21

ある工作員の些細な失敗

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:482pt お気に入り:0

パスコリの庭

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:27

処理中です...