202 / 302
3-2 みんなでキャンプ ~シコーシ湖畔キャンプ場~
カレー作り
しおりを挟む
下山して、夕飯の火をおこしていたときである。
ククちゃんが、ボクたちの前にやってきた。
「皆様、ほ、本日は助かりましたわ。お風呂を沸かしましたから、お入りになって」
少し照れ気味で、ククちゃんは告げる。
「ありがとう。お風呂がいっぱいだって聞いて、どうしようと思っていたんだ」
汗をかいたから、のんびりしたいと思っていた。
しかし、大浴場は満席だったため、先に食事をしようとなったのである。
「ロッジの浴室にお湯をはりましたの。ちょうど六人は入れるでしょう。よろしければどうぞ」
「ククも、一緒に入る」
チサちゃんが、ククちゃんの袖を引っ張った。
「ワ、ワタクシは、みなさんの火を見ておきますわ。あと、ワタクシにはルーティンがあって、夜に入りますの」
「交代で見ていればいい」
「そそ、そんなわけにはいきませんわ」
少々、ククちゃんは困っている様子である。
「クク様は、お体を見られるのが恥ずかしいそうで」
ヨアンさんの発言により、チサちゃんも思いとどまった。
嫌がる子を無理やりハダカにするもの、ちょっとね。
「だったらしょうがないわね! ゴネるより入っちゃいましょ。ありがたくちょうだいするわね!」
切り替えの早いマミちゃんが、服を脱ぎながらロッジへと入っていく。
お風呂は四人が浸かって、二人が身体を流す。
成人男性二人がいる中で、トシコさんはためらうどころか、堂々の脱ぎっぷりを見せた。
ボクとケイスさんが照れてしまうほどに。
「チサちゃん、今日は楽しかった。キャンプってこんなにおもしろいんだね」
「またやりたい」
チサちゃんの方も、楽しそうでよかった。
「ククさんも入れたらよかったのに」
「ほっときなよ、トシコさん。無理強いしても、しょうがないって」
ネウロータくんとトシコさんが、代わり番こで背中を流し合う。
「でもあの子。少し様子が変だったのよ」
「変って?」
「何か隠してるような……」
トシコさんと同じような考えは、ボクも持っている。
ククちゃんがあんなツンとした態度をとるのは、知られたくない事情があるのではないだろうか。
混浴を拒否しているのも、それを隠すためでは。
トシコさんたちの次に、マミちゃんたちが。最後にボクらが洗いっこをした。
お風呂の後は、みんなでカレー作りである。
「では、お願いします」
「おいしいカレーを作るから、待っててね」
ボクはヨアンさんと、火の番を交代した。
役割を分担して、調理を開始。
マミちゃんとトシコさんが、野菜を切る。
トシコさんは、星型にニンジンを切っていた。
対照的に、マミちゃんはジャガイモを半分だけに切断している。
性格が出るなぁ。
切った野菜を、ケイスさんが炒めるのだ。
お肉はククちゃんの好みに合わせて、牛肉である。余った豚と鶏は、明日の朝ごはんに回す。
ボクとチサちゃんは、ゴハンを担当した。
「飯ごうでおいしく炊けるかな?」
ボクが耳元でささやくと、チサちゃんはワクワクを抑えられない顔でボクに抱きつく。
「おまたせしましたわ」
寝間着姿のククちゃんとヨアンさんが、調理場に。
「もっとゆっくりしてもいいんだよ」
ボクたちはククちゃんを差し置いて、一番風呂をいただいた。一番汗をかいていた上、ロッジの所有者なのに。
「そういうわけにも、いきませんわ」
「あなたの仕事は、あたしたちをお風呂に入れた段階で終わっているわ! カレーができあがるまで休んでなさい!」
マミちゃんが、木のイスを用意した。
同じように、ケイスさんもジュースをククちゃんに渡す。
「では、お言葉に甘えますわ」
まずヨアンさんがイスに座って、ヒザの上にククちゃんを乗せる。いわゆる、玉座スタイルだ。
「ニンニクがダメなら、玉ねぎもダメとは言わないわよね?」
「お好きになさいな。ニンニクは平気ですわ」
ククちゃんは、すぐに寝息を立てる。
玉ねぎの焼ける匂いも平気みたいだけど。
「本当に大丈夫なのかな、ヨアンさん?」
「ニンニクの魔除け作用なんて、迷信です」
きっぱりと、ヨアンさんは否定した。
「魔除けにニンニクがよいとされているのは、抗菌作用があるからです。蚊などの虫除けに使われますよね。疫病を防ぐから、魔除けにも適用されるのでは、と考えられたのではないでしょうか」
そうなんだ。勉強になったな。
「あ、そうだヨアンさん、ちょっと」
ボクは、ヨアンさんに尋ねた。
「パーティに、ドワーフがいるんだけど、リムジンの具合を見てもらうかい?」
「そんなご足労を」
「でも、このままじゃククちゃん、また倒れちゃうよ」
ヨアンさんは考えた末、「お願いします」と頭を下げる。
ボクはチサちゃんに頼んで、オンコを呼んでもらった。
「来てくれるって」
チサちゃんから朗報が。「代金はカレーでいい」なんて、冗談まで飛ばしていたらしい。
「ダイキ! お米が踊ってる!」
火の上で、飯ごうのお米がポコポコと泡を吹く。
フタを開けて、味見をした。
「いい感じ!」
「これは、優勝じゃないかな?」
この上ない、最高の白ごはんができあがり。カレーに合うぞ。
ククちゃんが、ボクたちの前にやってきた。
「皆様、ほ、本日は助かりましたわ。お風呂を沸かしましたから、お入りになって」
少し照れ気味で、ククちゃんは告げる。
「ありがとう。お風呂がいっぱいだって聞いて、どうしようと思っていたんだ」
汗をかいたから、のんびりしたいと思っていた。
しかし、大浴場は満席だったため、先に食事をしようとなったのである。
「ロッジの浴室にお湯をはりましたの。ちょうど六人は入れるでしょう。よろしければどうぞ」
「ククも、一緒に入る」
チサちゃんが、ククちゃんの袖を引っ張った。
「ワ、ワタクシは、みなさんの火を見ておきますわ。あと、ワタクシにはルーティンがあって、夜に入りますの」
「交代で見ていればいい」
「そそ、そんなわけにはいきませんわ」
少々、ククちゃんは困っている様子である。
「クク様は、お体を見られるのが恥ずかしいそうで」
ヨアンさんの発言により、チサちゃんも思いとどまった。
嫌がる子を無理やりハダカにするもの、ちょっとね。
「だったらしょうがないわね! ゴネるより入っちゃいましょ。ありがたくちょうだいするわね!」
切り替えの早いマミちゃんが、服を脱ぎながらロッジへと入っていく。
お風呂は四人が浸かって、二人が身体を流す。
成人男性二人がいる中で、トシコさんはためらうどころか、堂々の脱ぎっぷりを見せた。
ボクとケイスさんが照れてしまうほどに。
「チサちゃん、今日は楽しかった。キャンプってこんなにおもしろいんだね」
「またやりたい」
チサちゃんの方も、楽しそうでよかった。
「ククさんも入れたらよかったのに」
「ほっときなよ、トシコさん。無理強いしても、しょうがないって」
ネウロータくんとトシコさんが、代わり番こで背中を流し合う。
「でもあの子。少し様子が変だったのよ」
「変って?」
「何か隠してるような……」
トシコさんと同じような考えは、ボクも持っている。
ククちゃんがあんなツンとした態度をとるのは、知られたくない事情があるのではないだろうか。
混浴を拒否しているのも、それを隠すためでは。
トシコさんたちの次に、マミちゃんたちが。最後にボクらが洗いっこをした。
お風呂の後は、みんなでカレー作りである。
「では、お願いします」
「おいしいカレーを作るから、待っててね」
ボクはヨアンさんと、火の番を交代した。
役割を分担して、調理を開始。
マミちゃんとトシコさんが、野菜を切る。
トシコさんは、星型にニンジンを切っていた。
対照的に、マミちゃんはジャガイモを半分だけに切断している。
性格が出るなぁ。
切った野菜を、ケイスさんが炒めるのだ。
お肉はククちゃんの好みに合わせて、牛肉である。余った豚と鶏は、明日の朝ごはんに回す。
ボクとチサちゃんは、ゴハンを担当した。
「飯ごうでおいしく炊けるかな?」
ボクが耳元でささやくと、チサちゃんはワクワクを抑えられない顔でボクに抱きつく。
「おまたせしましたわ」
寝間着姿のククちゃんとヨアンさんが、調理場に。
「もっとゆっくりしてもいいんだよ」
ボクたちはククちゃんを差し置いて、一番風呂をいただいた。一番汗をかいていた上、ロッジの所有者なのに。
「そういうわけにも、いきませんわ」
「あなたの仕事は、あたしたちをお風呂に入れた段階で終わっているわ! カレーができあがるまで休んでなさい!」
マミちゃんが、木のイスを用意した。
同じように、ケイスさんもジュースをククちゃんに渡す。
「では、お言葉に甘えますわ」
まずヨアンさんがイスに座って、ヒザの上にククちゃんを乗せる。いわゆる、玉座スタイルだ。
「ニンニクがダメなら、玉ねぎもダメとは言わないわよね?」
「お好きになさいな。ニンニクは平気ですわ」
ククちゃんは、すぐに寝息を立てる。
玉ねぎの焼ける匂いも平気みたいだけど。
「本当に大丈夫なのかな、ヨアンさん?」
「ニンニクの魔除け作用なんて、迷信です」
きっぱりと、ヨアンさんは否定した。
「魔除けにニンニクがよいとされているのは、抗菌作用があるからです。蚊などの虫除けに使われますよね。疫病を防ぐから、魔除けにも適用されるのでは、と考えられたのではないでしょうか」
そうなんだ。勉強になったな。
「あ、そうだヨアンさん、ちょっと」
ボクは、ヨアンさんに尋ねた。
「パーティに、ドワーフがいるんだけど、リムジンの具合を見てもらうかい?」
「そんなご足労を」
「でも、このままじゃククちゃん、また倒れちゃうよ」
ヨアンさんは考えた末、「お願いします」と頭を下げる。
ボクはチサちゃんに頼んで、オンコを呼んでもらった。
「来てくれるって」
チサちゃんから朗報が。「代金はカレーでいい」なんて、冗談まで飛ばしていたらしい。
「ダイキ! お米が踊ってる!」
火の上で、飯ごうのお米がポコポコと泡を吹く。
フタを開けて、味見をした。
「いい感じ!」
「これは、優勝じゃないかな?」
この上ない、最高の白ごはんができあがり。カレーに合うぞ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
98
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる