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3-2 みんなでキャンプ ~シコーシ湖畔キャンプ場~

カレー作り

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 下山して、夕飯の火をおこしていたときである。

 ククちゃんが、ボクたちの前にやってきた。

「皆様、ほ、本日は助かりましたわ。お風呂を沸かしましたから、お入りになって」
 少し照れ気味で、ククちゃんは告げる。

「ありがとう。お風呂がいっぱいだって聞いて、どうしようと思っていたんだ」

 汗をかいたから、のんびりしたいと思っていた。
 しかし、大浴場は満席だったため、先に食事をしようとなったのである。

「ロッジの浴室にお湯をはりましたの。ちょうど六人は入れるでしょう。よろしければどうぞ」

「ククも、一緒に入る」
 チサちゃんが、ククちゃんの袖を引っ張った。

「ワ、ワタクシは、みなさんの火を見ておきますわ。あと、ワタクシにはルーティンがあって、夜に入りますの」
「交代で見ていればいい」

「そそ、そんなわけにはいきませんわ」
 少々、ククちゃんは困っている様子である。

「クク様は、お体を見られるのが恥ずかしいそうで」

 ヨアンさんの発言により、チサちゃんも思いとどまった。
 嫌がる子を無理やりハダカにするもの、ちょっとね。

「だったらしょうがないわね! ゴネるより入っちゃいましょ。ありがたくちょうだいするわね!」
 切り替えの早いマミちゃんが、服を脱ぎながらロッジへと入っていく。


 お風呂は四人が浸かって、二人が身体を流す。

 成人男性二人がいる中で、トシコさんはためらうどころか、堂々の脱ぎっぷりを見せた。
 ボクとケイスさんが照れてしまうほどに。

「チサちゃん、今日は楽しかった。キャンプってこんなにおもしろいんだね」
「またやりたい」

 チサちゃんの方も、楽しそうでよかった。

「ククさんも入れたらよかったのに」
「ほっときなよ、トシコさん。無理強いしても、しょうがないって」

 ネウロータくんとトシコさんが、代わり番こで背中を流し合う。

「でもあの子。少し様子が変だったのよ」
「変って?」
「何か隠してるような……」

 トシコさんと同じような考えは、ボクも持っている。

 ククちゃんがあんなツンとした態度をとるのは、知られたくない事情があるのではないだろうか。
 混浴を拒否しているのも、それを隠すためでは。

 トシコさんたちの次に、マミちゃんたちが。最後にボクらが洗いっこをした。



 お風呂の後は、みんなでカレー作りである。

「では、お願いします」
「おいしいカレーを作るから、待っててね」

 ボクはヨアンさんと、火の番を交代した。

 役割を分担して、調理を開始。

 マミちゃんとトシコさんが、野菜を切る。
 トシコさんは、星型にニンジンを切っていた。
 対照的に、マミちゃんはジャガイモを半分だけに切断している。
 性格が出るなぁ。

 切った野菜を、ケイスさんが炒めるのだ。

 お肉はククちゃんの好みに合わせて、牛肉である。余った豚と鶏は、明日の朝ごはんに回す。

 ボクとチサちゃんは、ゴハンを担当した。

「飯ごうでおいしく炊けるかな?」

 ボクが耳元でささやくと、チサちゃんはワクワクを抑えられない顔でボクに抱きつく。

「おまたせしましたわ」
 寝間着姿のククちゃんとヨアンさんが、調理場に。

「もっとゆっくりしてもいいんだよ」
 ボクたちはククちゃんを差し置いて、一番風呂をいただいた。一番汗をかいていた上、ロッジの所有者なのに。

「そういうわけにも、いきませんわ」
「あなたの仕事は、あたしたちをお風呂に入れた段階で終わっているわ! カレーができあがるまで休んでなさい!」

 マミちゃんが、木のイスを用意した。 
 同じように、ケイスさんもジュースをククちゃんに渡す。

「では、お言葉に甘えますわ」

 まずヨアンさんがイスに座って、ヒザの上にククちゃんを乗せる。いわゆる、玉座スタイルだ。

「ニンニクがダメなら、玉ねぎもダメとは言わないわよね?」
「お好きになさいな。ニンニクは平気ですわ」
 ククちゃんは、すぐに寝息を立てる。
 玉ねぎの焼ける匂いも平気みたいだけど。

「本当に大丈夫なのかな、ヨアンさん?」 

「ニンニクの魔除け作用なんて、迷信です」
 きっぱりと、ヨアンさんは否定した。

「魔除けにニンニクがよいとされているのは、抗菌作用があるからです。蚊などの虫除けに使われますよね。疫病を防ぐから、魔除けにも適用されるのでは、と考えられたのではないでしょうか」


 そうなんだ。勉強になったな。


「あ、そうだヨアンさん、ちょっと」
 ボクは、ヨアンさんに尋ねた。

「パーティに、ドワーフがいるんだけど、リムジンの具合を見てもらうかい?」
「そんなご足労を」
「でも、このままじゃククちゃん、また倒れちゃうよ」

 ヨアンさんは考えた末、「お願いします」と頭を下げる。

 ボクはチサちゃんに頼んで、オンコを呼んでもらった。

「来てくれるって」
 チサちゃんから朗報が。「代金はカレーでいい」なんて、冗談まで飛ばしていたらしい。


「ダイキ! お米が踊ってる!」

 火の上で、飯ごうのお米がポコポコと泡を吹く。

 フタを開けて、味見をした。

「いい感じ!」
「これは、優勝じゃないかな?」

 この上ない、最高の白ごはんができあがり。カレーに合うぞ。
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