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4-4 運命の戦い! それぞれの世界線!

勇者 ネウロータ

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 ボクたちは、次の階層にたどり着いた。
 そこは、赤い海が波打つ海岸だ。
 海水の勢いは凄まじく、岩を削っている。

 待ち受けていたのは、いつぞやの勇者だった。ネウロータくんの領域を侵食しに来た、あの勇者である。たしか名前は、【エレクチオン】だったっけ。

「……違う!」

 ボクはチサちゃんを抱き上げて、跳躍した。

 さっきまでボクらがいた地点に、矢が突き刺さる。勇者の側に仕える、魔獣が放ったのだ。

 この矢は……それに、あの勇者の姿は!

「ネウロータくんに、トシコさんだ!」

 かつての勇者エレクチオンと同じように、ネウロータくんが不気味な笑みを携えている。

 勇者が長剣を、チサちゃんへ振るう。

 ボクも、スコップで対抗する。

 コドモとは思えないほど、勇者のパワーが強い。
 至近距離から、勇者はアッパー気味の切り払いへ。そのまま袈裟斬りへと移行してくる。

「アークサンダー」

 チサちゃんが、ボクのスコップを撫でた。ボクの武器に、チサちゃんの電撃魔法が行き渡る。

「いっけーッ!」

 ボクは、電撃を帯びたスコップを打ち下ろす。

 そのタイミングで、巨大な矢が飛んできた。大きさは、まるで丸太のようだ。勇者に、攻撃のスキを与えるつもりで放ったのだろう。

 ボクは矢を撃ち落とすも、懐に飛び込まれた。このままではチサちゃんの身体がガラ空きに。

「まずい、チサちゃん!」
「問題ない」

 すでにチサちゃんは、次の攻撃を用意していた。僕おお腹にいたまま、身体を旋回させる。

「マミの、旋風脚!」

 足に炎の魔法をかけて、チサちゃんはボクの足を踏みしめる。勇者の顔面へ、回し蹴りを浴びせた。

 しかし、大したダメージは与えられない。勇者はインパクトの瞬間、大きく身体を反らしていた。そのままバク転を繰り返して、玉座の元に。

 そのバックには、キュラちゃん……じゃない。
 トシコさんが、人魚の姿になっていた。
 人魚というには身体が大きく、下半身もクジラの背びれである。怪物化したキュラちゃんより、一回りも大きい。
 ヤリのような大型の弓矢を構えていた。イシユミとか、バリスタとか形容したほうがいいかもしれない。

 もし、ネウロータくんが魔王クラスに成長したら、ああなっていたのか。

「人間の玉座まで、モンスターにしてしまうなんて」
「あの姿は、白鯨イド」

【白鯨 イド】って、ネウロータくんの父親だって言っていたっけ。魔王に従う四代聖獣の一体だよね。

「ダイキ、あれもネウロータじゃない。本気で戦わないと」
「うん。そうだね」

 破城槌のような大きさの矢を、トシコさんが構えた。大きく身体を反らしながら、力をためている。

 白鯨イドの矢に、勇者が飛び乗った。

 そのまま、イドは矢を放つ。

 勇者を乗せた矢が、猛烈な速度で迫った。

「ダイキ、カウンター」
「おう!」

 ためらってはダメだ。


「うおおおおお!」


 そう、あんなふうに……って!?


 勇者の横っ面に、ネウロータくんの飛び蹴りがめり込んだ。
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