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4-4 運命の戦い! それぞれの世界線!

ネウロータの本気

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 現れたのは、正真正銘のネウロータくんだった。

「ぼくの出番だな!」

 地面へと着地して、ネウロータくんが勇者を睨む。

「うふふ。私たちの名を語って、無事で済むと思わないことね」

 トシコさんも、ニコニコ顔で弓を構えた。笑顔が怖い。

「なにより、我が父【白鯨イド】を穢した罪は重いぜ!」

 ネウロータくんが突撃した背後で、トシコさんが三本同時に矢を放つ。

 矢はネウロータくんの身体をちょうど死角にして、白鯨イドに突き刺さる。

 どうやって矢をつかんでいるんだ? 指の間に複数矢じりを挟んで、逆手持ちにして撃っているのか。

 しかし、白鯨イドには効いていないようだ。突き刺さっている矢を、気合だけで弾き飛ばす。

 反撃とばかりに、白鯨イドがシッポで衝撃波を飛ばしてきた。

「うわあ!」

 衝撃波は広範囲に届き、ボクたちにまで襲いかかってくる。

 チサちゃんがバリアを張って、衝撃波を弾き返す。

「やっぱり、フルパワーでないと倒せないか。トシコ、合体するぞ!」

 マミちゃんに続き、ネウロータくんにも変形モードがあるのか。

「OKよ。融合!」

 ネウロータくんの後ろから、トシコさんが抱きついた。

「この変身バンク、恥ずいんだよなぁ」

 やや、ネウロータくんは赤面しているように見える。

 二人は、光に包まれた。
 シルエットを見るに、二人共ハダカになったようである。

「チサ、見ててくれよ。ネウロータ、ここにありってところをさ!」

 ネウロータくんの姿が、バイキングっぽい衣装へと変わった。
 手には、モリのようなライフルを構えている。

 トシコさんも、人魚の姿になった。まるで、ボクの仲間であるベルガのようだ。ただ、ベルガと違って巨乳なので、貝殻ビキニは弾け飛びそうである。

「この衣装、心もとないわね」

 さすがにトシコさんも気にしているようだ。

「ダイキくん、ここは私たちに任せてね」
「うん。トシコさんもがんばって」
「うふふ。じゃあ、見守っていて。ネウロータくん」

 トシコさんが、身体を低くする。その背中に、ネウロータくんが乗っかった。

「重くない、トシコ?」
「平気よ。私は、あなたの玉座なんですもの」
「頼もしいな。行くぞ!」

 バイキングとなったネウロータくんが、勇者とイドに立ち向かう。

 海に潜るかのように、トシコさんはゆうゆうとフィールドを泳ぐ。

 体格差は、一〇倍以上はある。なのに、ちっとも負ける気がしない。

「白鯨イドは、言っていた。『体がデカいことが、強さの象徴ではない。大切なのは、心のデカさだ』ってな!」

 ネウロータくんが叫び、トシコさんが速度を上げる。
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