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第二章 銃と仲間をゲット! なのに相方が聖剣・魔剣に夢中で草

第17話 乱れ撃ち

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 オレたちは、敵が落としたアイテムを回収する。

 手甲は使えそうだ。これは、オレがもらっておく。

「今のは、なんだ? 弓か? 小石サイズのファイアーボールか?」

 銃撃を見たことがないのだろう。ルイが真っ青な顔になっている。

「あれは銃という武器だモジャ。オイラも初めて見たときは、鳥肌モジャ」

 猫型精霊が、身を震わせた。

「弱い魔力石の指輪しか、出なかった」

 モモコが、ドロップ品に不満を漏らす。

「そうそう。オイラには【アイテム掘り】のスキルがあるモジャ。

 ウニボーが、敵の死体をモシャモシャと食べ始めた。血液などは出ない、レイティングに配慮した上品な食い方である。

「出たモジャ」
「おお、ちょっといい感じの魔剣が手に入ったぞ」

 龍の巻き付いた、両刃のナイフだ。修学旅行の土産屋などで見かけるキーホルダーの、実用品版といえるか。

「短剣じゃんっ。武器レベルも低っく。ああでもっ、このフォルムはそそるかも?」

 オレが手甲、モモコは迷った挙げ句、結局魔剣を手に取った。まあ、今後使う武具の素材にはなるだろう。

 新武装を手に、先へ急ぐ。

「あんたの装備は、それでいいか?」
「大丈夫だ」

 新しくなったプレートメイルを、ルイは着込んでいた。オレたちが自分たちの装備品とにらめっこを続けていたのは、ルイの着替えを待っていたからである。

 ルイは、身長がオレと同じくらい高い。一七九はあるのではないか。バスケ部の女子くらいはタッパがある。エルフのドリスさんほどスラリと尖っておらず、体型がムチッとしていてラインが丸っこい。全体的に、グラマラスである。こんな人が魔物に捕まったら、『くっころ』必至だ。

 とにかく、先へ進む。

「ゾンビが山盛りで出てきた!」

 百匹はいるだろうゾンビが、襲いかかってきた。顔が人間ではないから、グールかもしれない。

「撃ち尽くせ! 【乱れ撃ち】!」

 正面の敵集団に、集中砲火を続けた。

 面白いくらいに、ゾンビたちが溶けていく。

「リロード!」

 尖った岩に隠れて、モモコがマガジンを交換した。

「こっちもだ!」

 リボルバーなので、オレのほうが弾切れが早い。ザコ相手なら、モモコの方が早いか。

「【オーラ・スマッシュ】!」

 ルイが、前方のゾンビに向かって、剣を横方向へ凪ぐ。

 オレンジ色に光る衝撃波が、ゾンビの胴体を焼き払った。

「うわ、すご」

 あっという間にゾンビが全滅し、道が拓ける。

「この聖剣【ナイトメア・スレイヤー】に、セットされている技だ。遠隔攻撃は、キミたちだけの技ではない」

 悪夢を断つ剣か。

「くう、私も銃に二つ名が欲しい。クロス・ストリングス、デュアルヘッド・シャーク、う~ん」

 対抗しているが、モモコも武器に名前をつけ始める。ろくな名前が出ないようだ。モモコよ、勝負するとことはそこじゃない。

 両側に崖を挟んだ、細い道を通る。崖の下は霧が立ち込めていて、底が見えない。水の音がするから川のような気がするが。

 カーブを抜けて襲ってくるオーガどもを、銃で撃った。

 撃たれた反動で、オーガの一体が崖の下へ落ちていく。

「しまった。アイテムが」
「大丈夫モジャ。倒した地点にドロップするモジャ」

 とはいえ、落としたのは金だけ。アイテムはゲットできなかった。死体がなくなったため、ウニボーに追加で探してもらうこともできない。

「ここは地上とは違う世界モジャ。崖の下に落ちたら、どこへ行くかわからないモジャ」

 なら、落ちないほうがいいな。

「アイテムが、あまりいいものを落とさなくなった」

 ある程度装備品が完成し、ほかは換金するものしか出なくなっていた。

「じゃあ、【アイテム制御】をするモジャ」

 レア以下のアイテムを、表示しなくできるらしい。落ちたアイテムはスキルの効果により、勝手に金か素材、ポーション系に変わるという。

 崖を抜けると、広い陸地に着く。

 五二体のオーガ、一〇匹のデカいクモ、二〇〇体のゾンビ、七〇体のグールが集まってきた。

「魔術師タイプが出たよ! あいつだけ、レベル一〇だって!」

 魔物の大群の後ろに、ツインテールのような角を持った魔女がいる。
 洋ゲーの敵みたいな造形で、女性キャラなのに萌えない。

 このバタ臭さも、オレはキライじゃないぜ。

 まあ、倒すけどな!
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