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第四章 王都で、相棒そっくりの女性と出会う
第47話 報酬は、新婚旅行
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ドーナツを食いながら、王子はことの経緯を述べる。
なんでも、あのヴリトラとかいう黒騎士は、何度も王都を襲ってきたという。
それを助けたのが、モモコそっくりのクノイチだったらしい。
「あなたは、隣の国のお姫様と婚約中だろ? 浮気なんていいのか?」
「側室として、ロザ・ドラッヘを迎えたいと思っているのだ。しかし、それも無理そうだなぁ」
「少なくても、モモコは無理だな。たとえ王子の命令だとしても、従えない」
夫だからとか、最低限の義務とかじゃない。
「私も、慕っているのはクニミツ。あなたじゃない。戦争になると言われても、この気持は揺るがない」
江戸時代だと、各地域の大名は嫁さんまで献上させられていたらしいが。
モモコにここまで言われたら、守るだろ。
「よい。人のものを取ってまで、自分の欲求を満たしたいとは思わぬ。ただ、ひとつお願いしたい。彼女を、ロザ・ドラッヘを我がもとへ連れてきて欲しい」
「それは、命令か?」
「いや依頼だ。褒美はなにがよい?」
なにがほしいかって言われても。
「どうするモモコ、レアアイテムとか、欲しいか?」
「世界の裏側を攻略したほうが、いいものが掘れそうじゃない?」
オレも同意見だ。つくづく、夫婦揃ってゲーム脳だな。
「だったら、新婚旅行?」
「いいね。式も挙げてないし。旅行のホテル代とか全部出してもらおう」
王子ほどの財産持ちなら、旅費とか手軽に賄えるはずだ。
「あいわかった。約束しよう」
「やったね。ありがとう王子」
「よい。迷惑料ゆえに」
この王子、押しは強いが退くときは退くんだな。さすが一国を担う器と言える。ただのバカ王子ヅラは、相手国を欺くフェイクなのかもしれない。
「となると、やっこさんの正体が気になるわけだが」
「やっぱ、私たちの子ども?」
「ありえるんだよなぁ。マルチバースとかめっちゃ流行っるだろ?」
違う世界線の敵や味方が攻めてくる系の話を、マルチバースという。
「ねえねえ、最悪の想像をしたんだけど、話してもいいかしら?」
ピエラが、手を上げた。
「どうぞ、ピエラ」
オレはピエラに、意見を許可する。
「敵がモモコに化けている、って可能性は?」
その場が、一瞬で凍りつく。
「お前、ガチで怖いことを言うなあ」
オレを含め、モモコも身震いした。
「なんかさ、出来すぎてないかしら、と思ったのよ。彼女の動きがね、王都にモモコが来ることを最初から想定していたみたいな」
「なるほどな」
「それにね、あれだけ強いなら、ヴリなんとかっていう騎士も楽勝だと思うのよ。なのに、あのニンジャは彼らを逃した」
モモコのそっくりさんは、今のところは王子の信頼を得ている。
「どうも、味方だと思わせたいだけみたいなのよね。行動が」
「て、ことは? まさか」
「そう。どこかで王都を裏切って、一気に王子の信用を落とそうとしてるのかもしれないわ」
ふむ。オレなら、モモコが王子と側室になってしまった瞬間を狙うかなぁ。
「ヤツが敵だったとなると、オレたちはあっけなく王都の兵士たちに捕らえられる。魔王側は、魔王の復活に力を注げるようになるわけだ」
ただでさえ、王都は隣国と結婚問題で揉めている。王都が危険な目に遭っても、隣国は介入しないだろう。
「危ないのは、モモコね。そっくりさんと入れ替わっても問題ないように、合言葉的な合図は考えていた方がいいわ」
「だな。それでいいか」
モモコはうなずいたが、納得はしていない様子。
「私は、そんなヘマはしないけど」
「ポカをやらかすのは、オレの方だといいたいのか」
「可能性の話」
「おいおい、そんな言い方はないぜ」
で、次にどこへ行くか相談をする。
「王子の婚約者がいる、隣国でしょ」
「ドルリー国か?」と、王子がモモコに聞いた。
「うん。王子が失脚をして、一番喜ぶ相手だし。もし味方だった場合、一番困るのも隣国」
隣国ドルリーの印象を、王子に聞いてみる。
「ドルリーの国王様はいい人なんだが、姫がちょっと」
やっぱり、姫は問題がある人か。
「会えばわかる」
なんでも、あのヴリトラとかいう黒騎士は、何度も王都を襲ってきたという。
それを助けたのが、モモコそっくりのクノイチだったらしい。
「あなたは、隣の国のお姫様と婚約中だろ? 浮気なんていいのか?」
「側室として、ロザ・ドラッヘを迎えたいと思っているのだ。しかし、それも無理そうだなぁ」
「少なくても、モモコは無理だな。たとえ王子の命令だとしても、従えない」
夫だからとか、最低限の義務とかじゃない。
「私も、慕っているのはクニミツ。あなたじゃない。戦争になると言われても、この気持は揺るがない」
江戸時代だと、各地域の大名は嫁さんまで献上させられていたらしいが。
モモコにここまで言われたら、守るだろ。
「よい。人のものを取ってまで、自分の欲求を満たしたいとは思わぬ。ただ、ひとつお願いしたい。彼女を、ロザ・ドラッヘを我がもとへ連れてきて欲しい」
「それは、命令か?」
「いや依頼だ。褒美はなにがよい?」
なにがほしいかって言われても。
「どうするモモコ、レアアイテムとか、欲しいか?」
「世界の裏側を攻略したほうが、いいものが掘れそうじゃない?」
オレも同意見だ。つくづく、夫婦揃ってゲーム脳だな。
「だったら、新婚旅行?」
「いいね。式も挙げてないし。旅行のホテル代とか全部出してもらおう」
王子ほどの財産持ちなら、旅費とか手軽に賄えるはずだ。
「あいわかった。約束しよう」
「やったね。ありがとう王子」
「よい。迷惑料ゆえに」
この王子、押しは強いが退くときは退くんだな。さすが一国を担う器と言える。ただのバカ王子ヅラは、相手国を欺くフェイクなのかもしれない。
「となると、やっこさんの正体が気になるわけだが」
「やっぱ、私たちの子ども?」
「ありえるんだよなぁ。マルチバースとかめっちゃ流行っるだろ?」
違う世界線の敵や味方が攻めてくる系の話を、マルチバースという。
「ねえねえ、最悪の想像をしたんだけど、話してもいいかしら?」
ピエラが、手を上げた。
「どうぞ、ピエラ」
オレはピエラに、意見を許可する。
「敵がモモコに化けている、って可能性は?」
その場が、一瞬で凍りつく。
「お前、ガチで怖いことを言うなあ」
オレを含め、モモコも身震いした。
「なんかさ、出来すぎてないかしら、と思ったのよ。彼女の動きがね、王都にモモコが来ることを最初から想定していたみたいな」
「なるほどな」
「それにね、あれだけ強いなら、ヴリなんとかっていう騎士も楽勝だと思うのよ。なのに、あのニンジャは彼らを逃した」
モモコのそっくりさんは、今のところは王子の信頼を得ている。
「どうも、味方だと思わせたいだけみたいなのよね。行動が」
「て、ことは? まさか」
「そう。どこかで王都を裏切って、一気に王子の信用を落とそうとしてるのかもしれないわ」
ふむ。オレなら、モモコが王子と側室になってしまった瞬間を狙うかなぁ。
「ヤツが敵だったとなると、オレたちはあっけなく王都の兵士たちに捕らえられる。魔王側は、魔王の復活に力を注げるようになるわけだ」
ただでさえ、王都は隣国と結婚問題で揉めている。王都が危険な目に遭っても、隣国は介入しないだろう。
「危ないのは、モモコね。そっくりさんと入れ替わっても問題ないように、合言葉的な合図は考えていた方がいいわ」
「だな。それでいいか」
モモコはうなずいたが、納得はしていない様子。
「私は、そんなヘマはしないけど」
「ポカをやらかすのは、オレの方だといいたいのか」
「可能性の話」
「おいおい、そんな言い方はないぜ」
で、次にどこへ行くか相談をする。
「王子の婚約者がいる、隣国でしょ」
「ドルリー国か?」と、王子がモモコに聞いた。
「うん。王子が失脚をして、一番喜ぶ相手だし。もし味方だった場合、一番困るのも隣国」
隣国ドルリーの印象を、王子に聞いてみる。
「ドルリーの国王様はいい人なんだが、姫がちょっと」
やっぱり、姫は問題がある人か。
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