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第三章 絶体絶命!? ライバルはDLCの三姉妹!

第24話 インテリジェンス・ウェポンの特性

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「盾が、剣に変わった?」

 私の先から伸びている金色の魔力刃を見て、メキラが驚きの顔に。

「そうです。【魔神の盾】は盾であり、武器にもなるのです」

 鉄壁の防御力を誇りつつ、『攻撃は最大の防御』というのが、ジンデル家の家訓らしい。

「シャクだね。このアタシが、ニンゲンごときにやられるなんてさ」

 腹を切り裂かれて、メキラが横たわる。身体が光の粒となって、消滅しようとしていた。

 マージョリーたんが、大幅なレベルアップをする。格上を倒したことで、大量の経験値が入ったのだ。

「妙だね。それだけの力量差がありながら、アタシを切り裂けるなんて」

「わたくしは……ぼヘえ!」

 マージョリーたんが、膝を折る。脇腹には、メキラの剣が刺さっていた。

「回復、していないだって!?」

「ええ。あなたの剣は、わたくしの脇腹を貫いていました」

 剣を腹から抜き、マージョリーたんが倒れ込む。

「マージョリーさん! 待ってて。今すぐに」

 イーデンちゃんが、マージョリーたんを回復する。

「はあ、はあ。わたくしはこの戦いで、【克己こっき】という技能を得ましたの」

 瀕死の状態であればあるほど、攻撃・防御・回避・クリティカル率がアップするものだ。

「そ、それでも! ここまで強いなんてさ!?」

「わかりませんの? あなたが感じていらしたのは、イーデンさんの力ではありません。この盾の力です」

 そう。私が本来の力を開放したことによって、メキラを倒す力を得た。

「レベル……八〇だって?」

「インテリジェンス・ウェポンの恐ろしさは、『装着者の半分の経験値で、レベルが上がること』です」

 強敵と戦い続けたことにより、私は大幅にレベルが上っていたのである。経験値は、マージョリーたんが獲得する量の半分でいい。

 メキラはそれを感じ取って、後ろへ下がったんだよね。

「全部。ブラフだったってのかい?」

「ブラフ? わたくしたちの会話をそのまま聞き取っていらしたのは、あなたでしてよ?」

 イーデンちゃんを警戒してくれてよかったよ。さっき繰り出したサイドへの攻撃は、イーデンちゃんを狙っていたからね。

 マージョリーたんは、それに合わせればよかった。

「わたくしたちの作戦は、あなたがイーデンさんを狙うように仕向けること。切り札がイーデンさんであると思わせて、本命の【魔神の盾】であなたを倒すこと。それにより、わたくしと盾のレベルを上げることでした」

「はあ!? それじゃあアタシは、通過点にすぎなかったってわけかい!?」

 当たり前じゃん。

 これから先、どれだけの敵を相手にしなきゃいけないってのさ。

「あたしは、道具に負けるのかい。たかがアイテムの分際に、ここまでコケにされるなんて。だがあいつには、ゴーマの三女・フィゼには通じないよ。あんなヤツに魔族の将来を託すなんて、シャクだけどさ」

 捨てゼリフを吐き、メキラが消滅した。

 
――ミッションをコンプリートしました。
 ゴーマ三姉妹の一体を倒したことにより、クリア特典として、『レベル限界突破』を取得します。


『ふうう。これで一段落』

「ダテさん。限界突破とは、どういう意味ですの?」

『最大レベルの上限が上がったの』

 本作の標準レベルは、七〇が上限だ。

『もうマージョリーたんは、レベルがカンストしているの』

「カンストとは?」

『上限に達して、これ以上は強くならないってこと』

 この特典は、レベルマックスの先を超えることができる。

 ゴーマ三姉妹と戦えるダウンロードコンテンツは、レベルの上限を上げるために必須になる。

『でも、安心はできないよ。メキラは倒したけど、最終ステージになったらレベル九九で復活するから』

「そうですの? これは気を引き締めなければ」

 まあ、かなり強いから安心なんだけど。

「妙ですわ、ダテさん。魔族なら、インテリジェンス・アイテムの情報をご存知だと思っていたのですが?」

『ブリーフィングとか、出ていないんだろうね』

 情報共有していないのか、他の姉妹がさせていないのか、わからないけどね。
 ともあれ、これでゴーマ三姉妹を倒せるとわかった。
 妖怪軍団も滅びたし、万事解決と思うのだが。

 とはいえ、こちらが望んでいないのに、ダウンロードコンテンツの敵が現れるなんて。

 敵も本気ということだろう。

 そう考えていた矢先、港で爆発が。あそこはヴィル姫とアマネ姫が逃亡した先だ。

『アマネ姫の元に戻ろう!』

 港に向かうと、アマネ姫とヴィル姫が、ゴーマ三姉妹のフィゼに襲われていた。
 漆黒の巨大イカが、触腕から氷の矢を飛ばす。

「こしゃくな!」

 カリスが、太ももからマキビシを放射して、氷矢を破壊した。

「貴様の相手は、ワタシだ!」

 出たよ! ローブの男が!
 カリスの二刀流を、ローブの男が受け止めた。

「ふわああ。楽」

 黒いイカの上で、フィゼはあくびを噛み殺す。だが、彼女の余裕は一瞬でかき消えた。

「これ以上の狼藉は許さん! アークサンダー!」

 突如、大地に雷撃が降り注ぎ、姫たちやカリスの窮地を救う。
 雷撃を放ったのは、赤と黒のヨロイをまとった貴公子である。

『あああああ! 忘れてたあああああ!』

 私は、思い出す。

 このゲームには、恋愛要素があることを。



 マージョリーたんにも、恋愛要素の相手がいたことも。
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