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第三章 絶体絶命!? ライバルはDLCの三姉妹!

第25話 マージョリーたんの婚約者

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「ゴットフリート王子!」

 マージョリーたんが、赤黒ヨロイの男性の名を呼ぶ。

「姫殿下、ご無事で!」

 呼びかけに対し、ゴットフリートもマージョリーたんをみて安心したような顔に。

「ここはお任せを! 【アークサンダー】ッ!」

 ゴットフリートがロングソードを掲げて、大地の精霊に呼びかける。
 精霊たちが悪しき心を感じ取って、地面から放電した。雷撃は天を貫くほどに長大化し、辺りの魔物たちを蹴散らす。

「ぐっ! 来たか、ゴットフリートッ!」

「黒騎士ゲミュース! これ以上の冒涜は許さん!」

 暗黒騎士ゲミュースと、ゴットフリートが剣を交えた。
 相手はこのゲームの黒幕で、とてもじゃないがゴットフリートが対抗できるような相手ではない。

「くう、本調子ではないか!」

 しかし、暗黒騎士はどういうわけか押されていた。まだ、顔見せ程度のイベント戦闘か?

「フィゼ、あとは貴様がやれ」

 ローブの男が、捨てぜりふを吐いて逃げていく。

「は? 命令すんな。パワハラだし」

 ゴーマ三姉妹の三女フィゼも、攻撃してこない模様だ。

「めんどくさい。ジャマイカン、こっちも逃げる」

 フィゼは魔物たちの逃げ場を作りつつ、撤退する。
 こちらも戦力が安定していないため、深追いはしない。
 本格的な戦闘は、後日になるだろう。

「逃さん!」

「いえ、ゴットフリート。あのまま逃がすのが、いいでしょう」

 私が伝えようとしたことを、マージョリーたんが代弁してくれた。

 今の勢力は、いわゆる『無限湧き』である。あのまま連戦を続ければ、港が壊滅していた。

「敵が逃げていった先も、わかります。ここは泳がせてもよいかと」

「マージョリー殿下がおっしゃるなら」

 ゴットフリートは、剣を収める。

「アマネ王女、実は折り入って、お話がございますの。一度、リシュパンまでいらしてくださらないでしょうか?」

「そちらの方のご提案ですか?」

 気づかれていたか。

『あのー。ダテといいます。今後の作戦などをお話したいので、インテリジェンスアイテムの身分ながら、ご提案を』

「はい。喜んで」

 アマネ王女は、気兼ねなしに応答してくれた。

「ゴットフリート様は、お時間がございまして?」

「お供いたします。自国の事態が一段落したので。それに、意思疎通ができるインテリジェンス・アイテムですか。興味深いですな」

 こうして、ゴットフリートも交えて帰国することに。
 


 リシュパン王国に戻ると、あちこちでわずかに煙がのぼっていた。かなり激しい戦闘だったようだが、城はどうにか防衛できたようである。みんなも無事で何よりだ。

「いやあ! とんでもねえことになったな!」

 エルフの剣士ビリーが、ゴットフリートとアマネ王女の登場に舌を巻く。

「ごぶさたしております。王子。アマネ王女」

 ゴドウィンからのあいさつに、ふたりとも笑顔で返事をした。

「ゴットフリート。ご無事で」

「いえ。シンシア王妃こそ」

 エルフの魔術師であるシノさんと、ゴットフリートが、握手を交わす。

「あの、ダテさん? さっきゴットフリート様が、シノさんを王妃って」

 なにも知らないイーデンちゃんが、質問をしてきた。

『あーっ。あんまり面識ないもんね。シノさんって、二〇〇歳を軽く超えてんのね。子持ちなの』

「そうではなく!」

『シノさんの本名はシンシア・エルデン・ゲイティス。エルフの国の王妃なの』

「ホントですか? エルフの王妃なんて高貴な方が、どうして戦闘なんて」

 話が聞こえたのか、シノさんがイーデンちゃんに近づく。

「ワタシは王妃である前に戦士。それゆえに、ワタシに政治的価値はない。ある程度の自由は、主人から勝ち取った」

『ヒマだったんですね』

「そうともいう」

 シノさんはただのヒマつぶしで、魔族を丸焦げにしてしまう王妃様なのだ。

「王子。危ないところを、ありがとうございました」

 アマネ王女が、みんなを代表して礼を言う。

「あの、あちらのお方は、どなたですか? 王子と呼ばれていらっしゃいます」

 イーデンちゃんが、すっかり萎縮してしまった。お礼を言うべきかどうか、迷っているらしい。

『彼はゴットフリート・グレーデン。マージョリーたんの婚約者だよ』

「うわ、婚約者様!」

 大声を上げたイーデンちゃんに、ゴットフリートが気づく。

「キミは? 民間人だな。ケガはないか?」

「おおおお気遣いなく。ありがとうございます」

 ペコペコと、イーデンちゃんは何度も頭を下げた。

「いいのよ、イーデンちゃん。こんなヤツにお辞儀なんてしなくても」

「ええ? 随分な言いぐさじゃないか、ヴィルジニー・リシュパン」

「まあねーっ」

 ジョークだとわかっているためか、ゴットフリートもヴィル王女と笑い合う。

「けど、よかったの?」

 さっきまでおどけていたヴィル王女が、真剣な顔になる。

「なにがだい? 真顔なんて、いつものキミらしくないじゃないか」

「アンタんトコ、ヤバいんでしょ? 応援に行こうと思っていたんだけど?」

「ある程度、カタはついた。あのゲミュースと、交戦していたんだよ」

 ゲミュースがこちらに戦場を移動したため、ここで戦うことになったという。

「えっと、失礼ですが王女、グレーデン王国がヤバい、とは?」

「内乱よ」

 ゴットフリートを追い出そうと、国が動いているのだ。



(第三章 完)
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