失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第三章 元暗黒騎士、副業する

第21話 副業、順調なのに難航

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 天井までは二キロもあるが、俺の足なら秒で到達できる。

「これだな」

 アンテナが一部、砕けていた。雷にやられたか。

「しかし、これなら直せそうだ」

 俺は、アンテナに電流を流し込む。

 一瞬だけアンテナが溶けて、金属片が繋がっていった。

「これでよし」

 再び、テレビ少年の部屋へ。

「映ったよ!」

 テレビでは、野球中継が流れている。球場で、試合をやっているのか。

 食堂の客が、テレビに釘付けになっている。

「ありがとう。おにーちゃん!」

「あーでも、ウチの長男坊が打ったところは、間に合わなかったか?」

「兄貴が打つのは、今からだよ。出てきたぞ、見なよ!」

 店主によく似た選手が、バッターボックスに。

「一点取ったよっ! 兄貴!」

「おお打ったぜ! さすが、オレの息子だ!」

 自分の功績のように、店主が大きく手を叩く。 

「ありがとうな、あんちゃん。またぶっ壊れたら、頼むよ」

 お礼として、店主からルーローハンをもらう。

「お前さん、名前は?」

「モン・バンだ。この塔の番人として雇われた。今後は世話になる」

 分厚いバラ肉を、白飯といただく。

「ここを見つけた上に、ヒナお嬢さんに気に入られるとは。若いのに、大したもんだ」

 いや。俺は魔族だから、見た目よりはかなり歳を取っているのだが。
 俺、いくつだったっけな。年齢なんて魔界に関係ないから、数えてない。

「このルーローハン、うまいな」

「うちの自慢なんだ。あんたならいつでもタダでいいから、寄ってきな」

「ありがたい」

 とはいえ、修理屋の仕事なんてすぐに終わってしまったな。

 次の仕事を探すか。

「焦らずに、探しましょう」

「そうだな」

 ヒナ王女が、今度は俺を畑に連れて行った。

「王女様、ありがとうございます。雨量が少なくて、畑が干上がっちまってたんだよ」
 
 野菜の種を植えていたオバサンが、ヒナにお礼を言う。

「私に、畑の事情はわかりません。お役に立てたのなら、それだけで十分です」

 ヒナ王女は、謙遜した。

「耕せばいいのか。やってみよう」

 俺は【チェイン・ライトニング・スピア】による高速移動を、農耕に利用してみた。クワを持って、スキルを発動する。片手にクワ、片手に黒雷というスタイルで、土を耕していく。

「はれまあ。あっという間に、立派な畑さ、できてぇ」

 オバサンも、唖然としていた。

 他の畑も手伝う。

「ありがとうねえ、お兄さん。これは持っていきな」

 お礼として、デカいかぼちゃをもらった。

「すごいですね、モン」

「だが、また仕事がなくなってしまった」

 別の仕事を、探さないと。
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