失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第三章 元暗黒騎士、副業する

第23話 TVの歴史

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 この世界における革命的は文化の発達は、TVテレビの誕生が原因と言っていいだろう。

 テレビが現れたことにより、情報伝達が驚くほど激化した。

 ラジオだけでは伝わらなかった、映像的な視覚情報は、我々に多くの刺激を与えたのである。

「そのTVを普及させたのが、ヒナ・エイジア王女だ」

 この塔がまだ廃墟砦だった頃、最初に手に入れた文明だという。

「次元の裂け目から現れた異界からの侵略者を撃退して、エルフのウィローさんから買い取りました」
  
 まだ開発から半年足らずで、普及率は五%しかない。公共の場や、大衆食堂で見られる程度だ。一般家庭には、普及していない。

「どうして、そんなすごい文化を、放逐したんだ?」

「情報伝達装置ですからね。私たちだけで独占しても、意味がありません。周りの情報を手に入れてこそ、意味があります」

 情報が目で見えるという画期的な文化は、俺たち庶民に多大なる影響を与えている。

 なにより、「勇者と魔王の対決」を報じたのがすごい。

 当初、TVの開発は、気象予報が目的だった。陸運や海洋にとって、天気予報は大事な情報である。

 その情報をもっとも欲していたのが、勇者一行だった。

 勇者はTV取材班を、わざわざ同行させたのだ。自身が魔王を倒したという事実を、世間に伝えようとしたのである。

 結果は大成功。勇者の魔王討伐は全世界に報道された。誰も彼の功績を疑うことは、ないはずである。

 勇者自身の最期も、報じられてしまったが。

 魔王討伐の次に世界が報じたのが、勇者の葬儀という皮肉な結果に。

「モンはテレビ中継に、興味ありませんか?」

「いや、ぜひやらせてくれ」

 情報を制するものが、戦いを制するからな。

「でもいいのか? この街の秘密を発信してしまって」

「構いませんよ。我々の生活や、思想を知ってもらうのが目的です」
 
「自分たちの秘密を、敵国にさらすようなものだ」

「隠していては、いつまで経っても国家間の溝が深まるばかり。傾向報道などされたら、たまったものではありません」

 ヘタに隠蔽するより、ある程度は放出して、無害だと主張するわけか。

「ちょうど、【二秒に一個売れるモナカ】が商品化できます。それをアピールして、国家外からでも買えるようにしましょう」

「通信販売か」

「ええ。スタッフも充実していますからね」

 TV普及によって進歩したのは、やはり通信販売だよなあ。
 
「でも、そんな売れるか? 宣伝する人が必要だ」

「私が、アピールしましょう」

 ヒナ王女が、宣伝マンになるという。
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