ポンコツ錬金術師、魔剣のレプリカを拾って魔改造したら最強に

椎名 富比路

文字の大きさ
22 / 80
第三章 炎VS氷! 魔剣同士の激突

第22話 クロスボーデヴィヒ財団

しおりを挟む
「後ろにいるゴーレムも、あなたの発明品でしょうか? 改めさせていただきますよ!」

 門番さんが、ウッドゴーレムたちの確認をしようとした。

 これはまいったな。店を改造して、歩けるようにしただけなんだけど。内装以外、すべてゴーレムにしてしまっている。アイテムボックスに、しまえないのだ。

「すいません。お待ちください。書状はちゃんとこちらに」

 行商人さんが、門番さんに書状を渡す。

「この方たちの無害は、我々行商団が保証いたします」

「失礼しました。あなたがそこまでおっしゃるなら、お通りください」

 財団のご子息より、行商人さんの方が信頼されているとか。

 それより、この行商人さんが偉い人だとか?

「商業ギルドの前に、財団の方へごあいさつへ行きましょうか。シューさんを送らなければ」

 行商人さんが先頭になって、街の中へ。

 商業ギルドの承諾を得るまで、ゴーレムたちには街の外にある森にでも隠れてもらうことにした。木を隠すなら森ってね。

 道の対角にあるのが、商人ギルドみたいである。

「あれが、財団ですかね? 行きましょう」

 わたしは、石畳を歩こうとした。

「待って、キャルさん。お気をつけください」

 行商人さんが、手をスッと前に出す。わたしたちの進行を、妨げた。なんだろう?

「うわ!」

 黒い塊が、わたしたちの横を通り過ぎていった。

「あれは?」

 幌のない黒い馬車が、馬もなしに走っていったけど?

「自動車です。魔力で動いているんですよ」

 馬車の代わりに、大きな魔法石を動力にしているのだとか。人が魔力を送り込むことによって、発進、進行、停止を行う。

 すごいな。扱ってみたい。魔剣の参考になりそう。

「あっちは、なんだろう? 板の上に、人が乗ってますよ?」

 若い青年が、盾のような細長い板に乗って、地面スレスレを低空飛行している。郵便物を配っているみたいだが。
 板切れの先には、杖のような一メートルほどの棒が垂直に取り付けられている。あれを傾けることで、進行方向を操作しているようだ。

「あちらは、出前ですわ」

 ミニスカメイド姿の女性が、商業ギルドへコーヒーとサンドウィッチを配っている。あちらも、同じような板に乗っていた。

「あれは、【マナボード】です。あれも、魔法石を使って動いているんです」

 杖の先端とマナボードの下部に、小さい魔法石が取り付けられている。あれで魔力をコントロールして、動かすそうだ。


 この付近は島が多く、あのボードで海を渡ることもあるとか。

「すごい。新しいものがいっぱいだ」

『魔剣の参考になりそうじゃないか。頭が冴えわたってきたよ!』

 レベッカちゃんも、テンションを上げる。脳内会話だけど。

「父があのような【馬を必要としない移動手段】を開発し、我が社は発展を遂げました。といっても、この街自体をインフラ整備して、ようやくまともに稼働しているのですが」

 道に魔力石を埋め込んで、進みやすくするように整地しているのだとか。

 車もほとんどが貴族用で、一般には普及していないらしい。ただ馬車よりも早く走れるため、相当な需要があるという。

「お車でしたら、わたくしの父も、一台所有しておりますわ」

「クレアさんのお家も、貴族様なんですね?」

「……ええ。まあ。そんなところですわ」

 アンタッチャブルな話題をシューくんから振られ、クレアさんが言葉を濁す。「王族です」とは、言えないよなあ。

 わたしたちは、財団の本部へ。

「ただいま。おかあさま」

「また、あんたはこんなに汚して! すいませんねえ。送ってくださって」

 人間族の中年女性が、シューくんを叱り飛ばす。

「もう。一四にもなって、ガキなんだから。お客様の前ですよ。着替えてらっしゃい」

「はあーい」

 シューくんが、廊下をトタトタと走っていった。

 ふんわりエプロンドレスを着たメイドさんが数名、シューくんの後を追いかける。

 シューくんは、わたしの一つ下なんだね。見た目から、もっと下かなと思っていたけど。

「ごめんなさいね。お茶とお菓子を用意するから、あちらでお待ちになって」

「ありがとうございます」

 シューくんが着替えている間に、わたしたちはお庭でお茶をいただくことにした。

 行商人さんは、席を外している。財団の責任者と、話し合いをするらしい。

「お待たせしました」

 シューくんが、真新しい服に着替えて現れた。白いシャツと、サスペンダー付きのショートパンツスタイルである。

「ごめんなさい。なまじ一三歳で地元の大学を出たもんだから、調子乗りで」

「一三で大学卒業!?」

 どんだけ、飛び級だっての。 

「研究に熱心なのはいいけど、ポンコツばかり作っても仕方ないでしょう?」

「だからいいんですよ。可能性はどんな些細なことでも、検証しなければ。錬金術を学んだキャルさんやフワルーさんなら、ご理解いただけますか?」

 それは、わたしも同感である。

「せやね。命に関わること以外なら、なんぼ失敗してもええ。せやけどホンマは、うまくいったときのほうがヤバイ。成功に味をしめてしもうて、それ以上の研究を怠ってしまう。ほんで、取り返しのつかん失敗につながるんや」

 だから、さらなるチェックが必要なんだ。

 これは、フワルー先輩に叩き込まれた。

「ウチの先輩は、そのせいで片腕になってしもうたからな」

「そんなことが、あったんですね?」

「せやねん。だからウチは、適当はできへん。他人が使う、商品やからな」

 フワルー先輩の言葉に、シューくんは感銘を受けたようである。

「素敵です。あなたなら、ボクの考えをわかっていただけると思っていました」

「さ、さよか」

 手を握られて、フワルー先輩はカチコチになっていた。ガチで、タイプなんだな。

 本人が犬獣人だから、犬っぽい子に惹かれるのだろうか。

 で、本題に入る。

「……わかりました。商業ギルドを通して、こちらにお店を出すことを許可いたします。あのおばあさまからの、頼みですもの」

 案外あっさりと、店舗設立の承諾はおりた。

「そのかわりと言ってはなんですが、フワルーさん。うちの子のガラクタも、収納していただけませんこと?」

「はあ」

「研究する場所を、設けたいと思っていたところなのよ。でも、大っぴらに土地を買うわけにもいかないわ。地下室でいいから、彼がのびのびできる場所を作っていただけると、助かるんだけど」

「も、もちろんですわ。任しといてください」

 わたしに向かって、奥様が誰にも知られないようにウインクをした。

 おおーう。お膳立てをなさった、ってわけだね。さすが、母親ってか。

 あとは、わたし個人の問題を。

「差支えなければいいんですが、工房を見せていただけますか?」

 今のところ、クレアさんに向けた魔剣作りは、行き詰まっていた。

 ただ強い剣を打って魔法石と錬成すれば、おそらくそれなりの魔剣は完成する。手持ちの材料だって、質は高い。きっと、すごい魔剣が作れるはず。

 しかしそんな代物、はたしてクレアさんにふさわしい武器と呼べるだろうか?

「すごい武器には違いありませんわ」

「ダメなんです、クレアさん。わたしの武器は、単にクレアさんの格闘技術に助けられているだけです」

 それでは、武器を持っている意味がない。クレアさんを助ける、武器でなければ。

 シューくんの発明センスを借りて、なんとか突破口を掴みたい。

「なるほど。そういう事情がありましたか。わかりました。知恵をお貸しします」

「いいんですか? 大したお礼もできそうにないのに」

「お礼なんて! たしかに我が財団は、困った事情を抱えていますが……」

 どうも海から来た魔物たちが、財団の技術力を狙っているそうなのだ。

「その魔物たちを退治すれば、いいのですかね?」

「可能であれば。ですが、危険です。それにこれは、財団の問題。あなた方を巻き込むわけには」

 シューくんは、わたしたちを気遣ってくれている。

 冒険者なんだから、ドンと頼みたまえよ。

「なんですって!?」

 庭からも聞こえるような声で、行商人さんが叫んだ。

 何事だろう?

「あなた、どうなさったの?」

 奥様が、ノーム族の男性に声をかける。

 シューくんをナイスミドルに成長させたような顔立ちの男性が、シューくんの父親か。で、財団の責任者と。

「さっき通信があってな。車を載せた輸送船が、襲われた」

 おっ。さっそくわたしたちの出番じゃないですか。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...