ポンコツ錬金術師、魔剣のレプリカを拾って魔改造したら最強に

椎名 富比路

文字の大きさ
25 / 80
第三章 炎VS氷! 魔剣同士の激突

第25話 リンタローの戦慄

しおりを挟む
 レベッカちゃんと融合して、わたしの髪が、オレンジ色に変わった。

『またせたね、キャル』

 わたしの身体を借りたレベッカちゃんが、足元の氷を溶かす。

「あぶなかったよ」

 もし数秒遅れていたら、わたしの首は飛んでいたかも。

「くっ!」

 ヤトが、鎌の形をした釣り針を再度放った。

 レベッカちゃんは、釣り針を軽く魔剣でいなす。

 釣り糸型の水氷を動かして、釣り針の軌道を変えた。これが厄介なんだよ。

 どれだけ相手の武器が無軌道に動いても、レベッカちゃんはあっさり受け流す。どこに目がついているのかと。

 曲がる氷の鋭さも、かわすのが難しい。釣り針ばかりに目が行くと、糸型の水氷に足を取られてしまう。こっちがメイン武器なんじゃないかって、思うほどだ。

 しかし、属性無効の性能を持つ【原始の炎】を体中にまとったレベッカちゃんは、相手の氷属性をものともしない。魔剣を旋回させて、相手の切込みを阻止する。

「これほどまでとは。軽く腕試し程度だったのに」

 さすがのヤトも、攻めきれないみたいだ。

『感謝するよ。クールタイム明けを狙ってくれていたんだろ?』

「本気のレーヴァテインを見なければ、分析ができない」

 やっぱり、手を抜かれていた。

 その気になれば、ヤトはわたしを拉致して、実験台にすることだってできただろう。

 過激な手法を取らなかった理由は、フェアプレー精神ではない。効率的に、相手を見極めるためだろう。 

『どらあ!』

 レベッカちゃんが、ヤトに切りかかった。

「――っ!? 【フリーズウォール】!」

 ヤトが眼の前に、氷の壁を作り出す。

 しかし、レベッカちゃんは壁を一刀両断した。

 この壁って多分、炎属性を完全に遮断する魔法だよね?

 それをあっさり、一太刀でぶった斬るって。レベッカちゃんがいかに強いかが、うかがえる。

「ヤトー。もうここまでにするでヤンス」

 リンタローがわたしたちの間に割って入ってくる。戦闘を強制的に終了した。

「どいてリンちゃん。まだ勝負はついていない」

「ソレガシたちには、まだやることがあるでヤンス」

 なぜかリンタローが、海の向こうに視線を送る。

「今日はおさらばでヤンスよ! 機会があれば、また相まみえることもあるでヤンしょう!」

 両手の鉄扇を一振りして、リンタローが竜巻を起こした。

「次は、勝つ」

 二人は竜巻に乗り込んで、街とは反対方向へ去っていく。

 どこへ向かうんだろうか?

「クレアさん、追いかけますか?」

「いいえ。これでは」

 クレアさんが、マナボードを持ち上げる。

 さっきの戦闘で、ボードはボロボロになっていた。

 わたしのボードも、同じ感じに。最後に、サハギンから攻撃を受けたせいだろう。

 かろうじて移動は可能だが、これだと戦闘まではできない。

「もっと頑丈なボードが、必要ですわね」

 というわけで、わたしたちも帰ることにした。



                                        *


 ヤトとリンタローは、小島にある小さい宿に到着する。
 
「どうして止めたの? まだやれたのに」

 ふくれっ面のヤトが、リンタローを責めた。

「あー。もうあの場にいたくなかったでヤンス」

 鉄扇を着物に変えて、リンタローが着込む。汗をかきつつ、身震いしていた。

「魔剣使いの相棒を務める金髪の冒険者、あれは、ただもんじゃないでヤンス」

「あなたが怖がるくらい、あの冒険者って強いの?」

「おそらくは。ソレガシと互角以上かと」

 東洋諸国内で結成された魔剣調査隊の中でも、リンタローは若手最強と言われている。天狗イーストエルフという種族のポテンシャルを差し引いても、彼女の右に出る者はいない。

 歴戦の天狗でさえ、リンタローには一目置いていた。

「なんというでヤンスか。戦闘特化型の鍛え方をしているでヤンス」

 それでいて、王族か貴族のような気品も感じたと、リンタローは語る。

「ほとんど丸腰だった」

「あー。あんたはそういう人でヤンした。武器にしか、興味がないでヤンスからね。敵の強さの分析も、武器基準でヤンスよね」

 呆れたように、リンタローは肩をすくめた。

「飛び出しナイフを、服の下に内蔵していたでヤンスが。まあ、だいたい武器を持っていなかったのが幸いでヤンス」

 もし、魔剣なり聖剣を持った状態で挑まれたら、勝てたかどうか。

 リンタローは、それくらいあの金髪冒険者を警戒していた。

「よく、ガマンした」

「ええ。ゾクゾクしていたでヤンス。戦いたくて、ウズウズしてヤンした」

 普段はひょうひょうとしているが、リンタローは戦闘マニアである。戦いたい衝動を、なるべく隠しているのだ。

「けど、あそこでヘタに消耗はできないでヤンスよ。我々には、もう一つの目的があるでヤンスから」

 ヤトたち調査隊は、自分たちの国から依頼を受けている。

 海底神殿にある、マジックアイテムの調査だ。



                                        *



「ありがとう。助かったよ」

 帰還後、シューくんのお父さんと面会する。財団の会長さんだ。偉い人なのに、わざわざ出迎えてくれるとは。

「キミらが一番サハギンと戦ってくれたと、冒険者からは聞いているよ。船を救ってくれて、ありがとう」

「いえ。みなさんが、がんばってらしたからですよ」

「そうか。もっと誇っていいんだよ。欲がないとフワルーくんから聞いていたが、本当だね」

 会長がいうと、フワルー先輩は「せやねんよ」と返す。

「もう、ええコすぎて涙が出るくらいや」

「アハハ。そうだね。屋敷の部屋は開いているから、好きなだけ使ってくれたまえよ」

 そう会長に言ってもらえたが、わたしたちは遠慮する。

「じゃあ、せめて夕飯ぐらいはごちそうさせてもらえないかな?」

 うわあ。なにからなにまでありがたい。

 けど、店のこともあるし……というわたしの考えに反して、おなかの虫が鳴り出す。

「アハハ。遠慮することはない。用意させるから、待っていてくれ」

 冷えるからと、オフロまで用意してくれた。たしかに、潮水で顔じゅうベタベタである。オフロに入れるのは、うれしい。

 入浴後、食事をする。緊張で、どんな味かも覚えていない。

「本当に、強いんですね」

「せやで。うちの後輩やからな」

 フワルー先輩もシューくんも、会議に同席している。二人とも無事でよかった。

 わたしたちの強さを見込んで、魔物を撃退する会議を行うらしい。

「なるほど。海底神殿ですか」

「そうなんだ。ここ最近、ファッパ近海がモンスターで溢れている。ヤツらモンスターたちは、海底神殿からやってきているようなんだ」

 財団の会長が、地図を広げてとある地点を指す。

「ファッパの街が栄える遥か以前、この地域には巨大都市があった」

 だが、そこはモンスターが建造したらしい。当時の人々は、魔物に怯えながら暮らしていたとか。

「時の勇者がその魔物を撃退し、都市も海へ沈んだ」

 未だ、その神殿は力を残しているという。

「その神殿の力を抑え込むために建造された都市こそ、ファッパだったという」

 しかし今や、土地の誰もその伝説を知らないそうだ。

「わかっているのは、魔物が使っていたというマジックアイテムの存在のみだ」

 財団の会長は、マジックアイテムの調査を、わたしたちに依頼してきた。

 海底神殿は、ここから近い離れ小島の側にあるという。

「今現場には、我ら財団が派遣した冒険者及びスタッフが向かっている。彼らと合流したまえ」

「わかりました。ですが、時間をください。武器や装備品のチェックがしたいので」

「構わんよ」

 とはいえ、フワルー先輩の店は、まだ改装中だとか。ゴーレムを入れる許可をもらい、手頃な土地も手に入った。しかし、内装の準備が整っていないらしい。

「朝イチでやってまうさかい、アンタらはシューくんの工房を見せてもろうとき。なんか、ヒントも得られるやろ」

 そうさせてもらうか。

 今日は、疲れている。

 お屋敷の一室を借りて、クレアさんと泥のように寝た。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...