ポンコツ錬金術師、魔剣のレプリカを拾って魔改造したら最強に

椎名 富比路

文字の大きさ
39 / 80
第五章 魔術師のダンジョンと、伝説のガイコツ剣士

第39話 戦利品

しおりを挟む
 海底神殿で得た戦利品の確認をする前に、わたしたちは一休みすることにした。
 一日中、泥のように眠る。

 夕方になってようやく起き出して、クロスボーデヴィヒ財団主催のバーベキューパーティに呼ばれた。

「おいしい……」

 久々のお肉に、わたしはほっぺが落ちそうになる。

「魚もイケルでヤンスよ、キャル殿」

  ラム酒を片手に、リンタローが持っているものは! 
 
「ホント? うわ。お刺身だ!」

 お刺身なんて、王都じゃめったに食べられなかったもんなあ。
 あっても、干物だったもんね。しかも、現地の数倍は塩辛い。

「ああ。おいしい……」

「いい食べっぷりでヤンスね。一杯どうでヤンス?」

 リンタローが、ラム酒をすすめてきた。

「いや。わたし飲めなくて」

 一五歳になって一応、元服はしている。お酒は飲んでいいんだけど、アルコール自体がダメっぽい。
 ラム酒の匂いを嗅いだだけで、むせてしまった。

「ごめん。いいかな?」

「そうでヤンスかー。ヤトもダメなんでヤンスよねえ。あっちは辛党でヤンして」

 ヤトは、わさびをきかせたお寿司を食べている。
 にぎり寿司なんてあるんだ。ここって。

「わたしも、あっちをいただきます……」

「でヤンスか。飲めるようになったら、おっしゃってくれでヤンス」

 リンタローはラム酒の瓶を、ラッパのように傾ける。
 クレアさんの方には、行かないんだな。
 飲めないって、わかってるんだ。
 
 クレアさんの方はフワルー先輩に、お酒をすすめられている。
 だが、あちらも飲まない様子だ。
 シューくんは、まだ未成年なのでお酒はダメ。

「フワルー、ダメでヤンスよ。飲めない人に、ムリヤリすすめたら。アルハラでヤンス」

「しゃーない。ほな、アンタが飲み」

「へーい」

 フワルー先輩がリンタローのグラスに、ワインをなみなみと注ぐ。

「じゃあ、ご返杯」

「いらんわ! それ、アンタが口つけた瓶やんけ!」

 リンタローはラム酒を注ごうとして、フワルー先輩にかわされていた。 

 さて、わたしはお寿司を、と。

「あいにく、血合いしかありません」

 板前さんが、わたしに頭を下げる。

 フフフ。わたしにお魚の知識がないと見てるね。
 
「なにをおっしゃる。骨の周りなんて、一番美味しいところじゃないですか」

「おっ。わかってらっしゃいますね」

 負けたよ、といった顔になって、アラをこそぎ落とす。
 自分たちだけで一番美味しい部分を、食べようとしていたな。

 残念でした。わたしにも、ちょっぴり分けていただきますからね。


『楽しそうだな。キャル』

 仙狸のテンちゃんにくくりつけられた、レベッカちゃんのそばまで行く。

 テンちゃんはツナ、つまり、炙ったマグロを食べていた。クマかよってくらいに、モリモリ召し上がってらっしゃる。
 
「ごめんね、レベッカちゃん」

『いいってことよ。海底神殿をまるごといただいたんだ。むしろ、食あたり気味なくらいさ』

 レベッカちゃんが食あたりって。

「明日は、絶対に錬成するからね」

『頼んだよ、キャル』
 
 
 で、翌日を迎えた。


 改めて、戦利品の確認を行う。

 妖刀のかけら数点と、魔法石はわたしとレベッカちゃんで。

 神殿を支配していた魔王【カリュブディス】のドロップ品は、クレアさんが手に入れた。

 こちらは、同じように魔王を倒したヤト組も同じである。

 ただ、二人のアイテムの種類は微妙に違っていた。

「クレアさんは武器全般。ヤト組は、防具やアクセサリが中心ですね」

 カリュブディスのドロップ品を、クレアさんは一箇所にまとめる。
 
「お好きなものを、どうぞ」

 錬成に使いたい品を、分け合う。
 
「いいんでヤンスか? そちらには、デメリットばかり残るのでは?」

「構いませんわ。お二人がそんな薄情な方たちだとは、こちらも思っていませんもの」
 
 さすがクレアさんだ。相手のことを、よく見ている。

「でもソレガシたちは、お二人がセイレーンと戦っているときに、先回りしたでヤンスよ? 薄情だとは、思わないので?」

「別に。当然の判断だと思いますわ。ワタクシがリンタローさんだとしても、同じことをしていたでしょう」
 
「欲がないどころか、お人好しすぎるでヤンス」

 リンタローは戸惑ったが、ヤトは迷わず自分の欲しい物を取っていった。

「この二人は、別にお人好しじゃない。こちらが最適な武具を選ぶと、本気で信じてる」

「でヤンスね」

 リンタローも、自分の求めている品に手を出す。

 続いて、わたしたちも同様の行為をした。

「見事に、割れたでヤンスね」


 リンタローは、敏捷性が上がるブーツなど。
 ヤトは、精神耐性の上がるアクセなどを選んだ。

 脳筋クレアさんは、攻撃力の上がる腕輪だけをチョイス。さすがというべきか。

「キャルは、ヨロイ中心?」

「うん。重めのを選んでみたよ」

 このパーティなら、今後わたしはタンクを引き受けることになるだろう。

 タンクとは、ヘイトを稼いで相手の攻撃を受ける役回りだ。
 
 どうあがいても、わたしは足が遅い。
 鈍重なわたしが速度アップの装備で固めても、足手まといになりそう。
 海底神殿での戦いで、わたしは思い知った。

 レベッカちゃんに身体強化をしてもらったけど、筋力がメインである。
 これでは、ヒット・アンド・アウェイ戦法なんてできそうにない。

 ならば素早さを捨てて、相手の攻撃は全部受け切るつもりで構えていたほうがいいのではないか。
 そう、ビルド構築を考えたのだ。

「魔法石が大量にあるから、ヨロイづくりには事欠かないよ」

「そうはいっても、専門家の知恵は必要かも」

「そこは、ぬかりはないよ」


 シューくんにも、工房に入ってもらった。
 フワルー先輩も、監修役として同行している。

「キャルさんに呼ばれるなんて、光栄ですね」

「ありがとう。こっちのムチャぶりにこたえてくれて」

 さっそくビルドの構築について、相談に乗ってもらう。

「はい。魔法ヨロイですね。古い文献を調べたら、こんなものが」


 シューくんが、ヨロイの百科事典を調べる。

「ビキニアーマーやて!?」

 先輩が、目を丸くした。

「うーん。これなら際どい露出をガマンすれば、機敏にうごけるけどね」

 肌を見せびらかすこと以外は、案外防御面で不自由しなさそう。
 一応、ビキニ素材は金属みたいだし。

『たしかに、動きやすそうだね』

 レベッカちゃんも、満更でもない様子。

「アカンアカン! こんなの! シューと二人きりのときに、見せたるわ!」

 フワルー先輩が、やたら焦りだしている。

「そういえば、先輩が学校で来ていた貝殻ビキニも、いちおう『これは【ビキニアーマー】や!』って、ごまかしていましたもんね」

「せや! あんなんでよかったら、家でなんべんでも見せたるわ、シュー! せやからキャルをビキニ姿にするんは、やめとき」

「どうしてです? わたしは一向に構いませんよ」

 フワルー先輩に続き、なぜかクレアさんまで「ダメ!」と声を荒らげた。

「クレアさん?」

 なんなんだ、二人して?
 
「キャルさん! あなたはもっとご自身の身体がいかに殿方を狂わせるか、もっと自覚した方がよろしくてよ!」

「せやで。よろしくてよ!」
 
 うーん。動きやすそうでいいと思ったんだが。

「あの、お二人には申し訳ないのですが、一応ボクは『こういうアイデアもあります』と提示しただけでして、決してキャルさんのビキニが見たかったわけでは」

 シューくんが、頭をポリポリとかく。

「せやったん!? ほんならはよ言うてえな! 本気にしてもうたやん!」

 フワルー先輩が、シューくんの肩をバチンと叩いた。

「いてて。では、候補を上げますね」

 改めてシューくんが、リストをわたしに見せる。


「本命は、こっちかなと」
 
「ドレスアーマーか」
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...