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第五章 魔術師のダンジョンと、伝説のガイコツ剣士
第42話 発動、【呪い焼き】
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『キャル、まずはドワーフのじじいを、どけるよ』
「うん。でもジジイって……」
まずは、スパルトイ軍団を召喚する。
で、ドワーフのおじいさんを回収した。
「離せい。ワシはまだ、戦えるワイ!」
味方なのに、ドワーフさんはスパルトイたちを腕で払い除ける。
『黙って言うことを聞きな、ジジイ! 邪魔だってんだ!』
最終的に、レベッカちゃんがわたしを使って、おじいさんを足蹴にした。
「そこまでしなくても」
『ああいうのは、わかりやすくやった方がいいんだよ』
それより注目は、目下の敵だ。
スパルトイが寄り集まって剣士に斬りかかる。
だが、ガイコツ剣士はスパルトイを歯牙にもかけない。斬ろうともせず、ただ払うのみ。
とはいえ相手からの気合だけで、スパルトイたちは腰を抜かし、退散してしまう。
「だったら、ゴーレムを召喚して」
『あいよ。来な、ゴーレム!』
感情を持たないストーンゴーレムなら、止められるか?
しかし、結果は同じだった。
剣士の圧倒的な魔力の前に、ゴーレムが硬直してしまう。
「召喚士のいうことより、あちらの気迫に負けるなんて」
『どうも、違うみたいだね。雷属性のせいさ』
電撃を地面に走らせて、ゴーレムの可動部を制御してしまったようだ。
『とんでもないやつだよ!』
「うん。でもさ」
わたしは、魔剣の心臓部に注目する。
『呪いだね。手練の剣士が、呪いでムリヤリ動かされているんだよ、きっと』
「わたしも、同じ意見だよ」
あんな使い方が、呪いにはあるのか。
『魔剣の持ち主は、相当に性格が悪いよ!』
「だろうね。まずは、あの剣士をなんとかしないと」
ガイコツ剣士を、呪いから解放してあげよう。
「まずは、相手の動きを止めて!」
『よっしゃあ。おらああ!』
グレートソードほどの大剣同士が、ぶつかり合う。
相手もこちらも、同じように片手で振り回していた。
こちらは剣を逆手に持って、蹴りも攻撃方法に加える。
ガイコツ剣士の持つ魔剣に足を乗せて、レベッカちゃんはローリングソバットを繰り出した。
剣士は魔剣を地面に突き刺し、キック攻撃をこらえる。
ムチャな体勢から、こちらにアッパー気味に斬撃を見舞った。
『なあ!?』
あの状態から、持ちこたえるか。
しかし、相手には脳がない。
脳しんとうを起こさない相手に、こめかみへの攻撃は無意味だったか。
あくまでも肉弾戦は、肉を持った相手を想定した攻撃法だ。
まして、骨格を砕くという方法も、効果は薄いようだ。
骨だけの相手なら、脳も血管もない。
竜巻のような剣士の動きに、レベッカちゃんも翻弄されている。
レベッカちゃんの剣術にさえ、追いつける腕前とは。
そりゃあ、リンタローやクレアさんが苦戦していたくらいだし。
『うおっと! 【ファイアボール】!』
けん制のため、火球を打ち出す。
だが火球は、ガイコツ剣士を覆う雷のフィールドによって阻まれた。
こちらが突き攻撃をしても、身体をすり抜けて逆にカウンターをしてくる。しかも、かなりスレスレに。
雷撃のエンチャントもかかっており、攻撃の度に速度も増している。
だんだんと、こちらのスピードを凌駕しつつあった。
『肉を切らせて骨を断つっていうけど、肉を切る手順を無視してやがる!』
手強い!
「だからこそ、私がいる」
ガイコツ剣士が、踏み込もうとしたときだ。
剣士の足元が、凍りついている。
死神の鎌が、ガイコツ剣士から近い地面に突き刺さっていた。
「【フロスト・ノヴァ】」
直接攻撃ではなく、氷結魔法で足場を凍らせただけ。
とはいえヤトは氷魔法によって、ガイコツ剣士を捉えた。
【原始の氷】の効果である。
ガイコツ剣士はあらゆる属性効果を、魔剣の雷属性で防いでいた。
しかし【原始の氷】は、属性を貫通する効果がある。
どんな相手をも、凍らせるのだ。
こちらに注意が向きすぎて、ヤトの存在に気づかなかったか。
チャンスだ。
「エンチャント。【呪い焼き】!」
わたしは、レベッカちゃんに呪いを破壊するエンチャントをかける。
【第三の腕】を発動し、盾を前に固定した。
続いて、レベッカちゃんを地面に突き刺し、柄頭の上に自分の腕を固定する。
呪い焼きの効果が、盾に流れていく。
『……からのぉ! ディス・レイ!』
盾が、真っ二つに開く。
中央の魔法石が、青白い色を放った。
直線状の閃光が、剣士に向かって射出される。
シールドは、カリュブディスから手に入れた【抹消砲】を錬成してあった。
これが、わたしの秘密兵器だ。
わたしが放った抹消砲を、ガイコツ剣士は正面から受け止める。
「それでいいよ!」
ガイコツ剣士が異変に気づいたようだが、もう遅い。
魔剣に、ヒビが。
魔王カリュブディスの遺品である【抹消砲】は、無属性魔法を込めた杖である。
さらに【原始の炎】によって、あらゆる属性を貫通するのだ。
相手がどんな属性であっても、関係なく火炎属性ダメージを与える。
たとえ、敵が無属性だとしても。
『そのまま呪ごと、ぶっ壊れちまいな! 魔剣!』
呪い焼きスキルの効果で、魔剣が粉々に砕け散った。
ガイコツ剣士が、吹っ飛んでいく。
『やったようだね!』
「うん。でも、魔剣が」
貴重な魔剣は失ってしまった。今は、黒い塊になっている。
鑑定してみたけど、鉄くずとしての価値もない。
ただのモンスターとして、処理されたみたいだ。
つっても、呪いのアイテムなんてこっちから願い下げである。
呪いは、焼くに限るね。
「トドメじゃ、この!」
倒れたガイコツ剣士に、ドワーフおじいさんが斧で殴りかかろうとする。
「よすでヤンス」
リンタローが、ドワーフおじいさんを止めた。
「止めるでない、天狗め!」
羽交い締めにされて、ドワーフおじいさんがジタバタする。
リンタローが、地味に強いな。
力が強そうなドワーフさんを抑え込めるなんて。
ああ、召喚クマが加勢しているからか。
「待たれよでヤンス、ドワーフ殿。敵の情報を聞き出すまで、攻撃は控えるでヤンス!」
「むむう。口をきく相手とは思えんが?」
「まあ、見ているでヤンス」
なにやら意味深な発言を、リンタローは言う。
「う、ここは!」
ガイコツ剣士が、額に手を当てながら立ち上がる。
手に得物を持っておらず、混乱しているようだ。
「我は、いったい……」
「おめえさんは、魔法使いに操られていたでヤンス」
「おお。そうであったか。ダンジョンで手持ちの剣を失い、魔剣に触れたあたりまでは、覚えておるのだが」
剣士は力なく、あぐらをかいた。
「わたしはキャル。あなた、お名前は?」
剣士の前にしゃがんで、わたしは相手の名を聞く。
「我が名は、フルーレンツという。フルーレンツ・コーラッセン」
「フルーレンツ・コーラッセンじゃと!?」
ドワーフのおじいさんが、カブトを落とす勢いでガイコツに駆け寄った。
「まさか、本当にフルーレンツ王子殿か!?」
「王子、か。かつて、そう呼ばれていたな」
「ば、ばかな。ありえんわい。あなたのいた王国は、このとおり滅びたと言うに」
否定しないフルーレンツに対し、ドワーフさんが腰を落とす。
「国が、そうか。そなたは、我を知っておるのか?」
「ワシを覚えてらっしゃらぬか。騎士団長イーシドロールの息子、ヘルムースでありますぞ!」
「おお、ヘルムースよ。そなた、こんなに大きくなったのか」
「覚えておらぬか。まあ、ムリもあるまい。こんな老いぼれに、なってしまっていてはのう」
ドワーフのヘルムースさんが、ドヨンとした顔に。
「我が国は滅びたと言うが、我の働きは、無意味だったわけだな」
「残念ながら」
剣士とドワーフの、二人だけで会話をしている。
そろそろ、事態を把握しておきたいんだけど。
「あのー。お知り合いでヤンスか?」
「この方は、ワシがガキの頃に栄えて追った国の、王子様じゃ!」
「うん。でもジジイって……」
まずは、スパルトイ軍団を召喚する。
で、ドワーフのおじいさんを回収した。
「離せい。ワシはまだ、戦えるワイ!」
味方なのに、ドワーフさんはスパルトイたちを腕で払い除ける。
『黙って言うことを聞きな、ジジイ! 邪魔だってんだ!』
最終的に、レベッカちゃんがわたしを使って、おじいさんを足蹴にした。
「そこまでしなくても」
『ああいうのは、わかりやすくやった方がいいんだよ』
それより注目は、目下の敵だ。
スパルトイが寄り集まって剣士に斬りかかる。
だが、ガイコツ剣士はスパルトイを歯牙にもかけない。斬ろうともせず、ただ払うのみ。
とはいえ相手からの気合だけで、スパルトイたちは腰を抜かし、退散してしまう。
「だったら、ゴーレムを召喚して」
『あいよ。来な、ゴーレム!』
感情を持たないストーンゴーレムなら、止められるか?
しかし、結果は同じだった。
剣士の圧倒的な魔力の前に、ゴーレムが硬直してしまう。
「召喚士のいうことより、あちらの気迫に負けるなんて」
『どうも、違うみたいだね。雷属性のせいさ』
電撃を地面に走らせて、ゴーレムの可動部を制御してしまったようだ。
『とんでもないやつだよ!』
「うん。でもさ」
わたしは、魔剣の心臓部に注目する。
『呪いだね。手練の剣士が、呪いでムリヤリ動かされているんだよ、きっと』
「わたしも、同じ意見だよ」
あんな使い方が、呪いにはあるのか。
『魔剣の持ち主は、相当に性格が悪いよ!』
「だろうね。まずは、あの剣士をなんとかしないと」
ガイコツ剣士を、呪いから解放してあげよう。
「まずは、相手の動きを止めて!」
『よっしゃあ。おらああ!』
グレートソードほどの大剣同士が、ぶつかり合う。
相手もこちらも、同じように片手で振り回していた。
こちらは剣を逆手に持って、蹴りも攻撃方法に加える。
ガイコツ剣士の持つ魔剣に足を乗せて、レベッカちゃんはローリングソバットを繰り出した。
剣士は魔剣を地面に突き刺し、キック攻撃をこらえる。
ムチャな体勢から、こちらにアッパー気味に斬撃を見舞った。
『なあ!?』
あの状態から、持ちこたえるか。
しかし、相手には脳がない。
脳しんとうを起こさない相手に、こめかみへの攻撃は無意味だったか。
あくまでも肉弾戦は、肉を持った相手を想定した攻撃法だ。
まして、骨格を砕くという方法も、効果は薄いようだ。
骨だけの相手なら、脳も血管もない。
竜巻のような剣士の動きに、レベッカちゃんも翻弄されている。
レベッカちゃんの剣術にさえ、追いつける腕前とは。
そりゃあ、リンタローやクレアさんが苦戦していたくらいだし。
『うおっと! 【ファイアボール】!』
けん制のため、火球を打ち出す。
だが火球は、ガイコツ剣士を覆う雷のフィールドによって阻まれた。
こちらが突き攻撃をしても、身体をすり抜けて逆にカウンターをしてくる。しかも、かなりスレスレに。
雷撃のエンチャントもかかっており、攻撃の度に速度も増している。
だんだんと、こちらのスピードを凌駕しつつあった。
『肉を切らせて骨を断つっていうけど、肉を切る手順を無視してやがる!』
手強い!
「だからこそ、私がいる」
ガイコツ剣士が、踏み込もうとしたときだ。
剣士の足元が、凍りついている。
死神の鎌が、ガイコツ剣士から近い地面に突き刺さっていた。
「【フロスト・ノヴァ】」
直接攻撃ではなく、氷結魔法で足場を凍らせただけ。
とはいえヤトは氷魔法によって、ガイコツ剣士を捉えた。
【原始の氷】の効果である。
ガイコツ剣士はあらゆる属性効果を、魔剣の雷属性で防いでいた。
しかし【原始の氷】は、属性を貫通する効果がある。
どんな相手をも、凍らせるのだ。
こちらに注意が向きすぎて、ヤトの存在に気づかなかったか。
チャンスだ。
「エンチャント。【呪い焼き】!」
わたしは、レベッカちゃんに呪いを破壊するエンチャントをかける。
【第三の腕】を発動し、盾を前に固定した。
続いて、レベッカちゃんを地面に突き刺し、柄頭の上に自分の腕を固定する。
呪い焼きの効果が、盾に流れていく。
『……からのぉ! ディス・レイ!』
盾が、真っ二つに開く。
中央の魔法石が、青白い色を放った。
直線状の閃光が、剣士に向かって射出される。
シールドは、カリュブディスから手に入れた【抹消砲】を錬成してあった。
これが、わたしの秘密兵器だ。
わたしが放った抹消砲を、ガイコツ剣士は正面から受け止める。
「それでいいよ!」
ガイコツ剣士が異変に気づいたようだが、もう遅い。
魔剣に、ヒビが。
魔王カリュブディスの遺品である【抹消砲】は、無属性魔法を込めた杖である。
さらに【原始の炎】によって、あらゆる属性を貫通するのだ。
相手がどんな属性であっても、関係なく火炎属性ダメージを与える。
たとえ、敵が無属性だとしても。
『そのまま呪ごと、ぶっ壊れちまいな! 魔剣!』
呪い焼きスキルの効果で、魔剣が粉々に砕け散った。
ガイコツ剣士が、吹っ飛んでいく。
『やったようだね!』
「うん。でも、魔剣が」
貴重な魔剣は失ってしまった。今は、黒い塊になっている。
鑑定してみたけど、鉄くずとしての価値もない。
ただのモンスターとして、処理されたみたいだ。
つっても、呪いのアイテムなんてこっちから願い下げである。
呪いは、焼くに限るね。
「トドメじゃ、この!」
倒れたガイコツ剣士に、ドワーフおじいさんが斧で殴りかかろうとする。
「よすでヤンス」
リンタローが、ドワーフおじいさんを止めた。
「止めるでない、天狗め!」
羽交い締めにされて、ドワーフおじいさんがジタバタする。
リンタローが、地味に強いな。
力が強そうなドワーフさんを抑え込めるなんて。
ああ、召喚クマが加勢しているからか。
「待たれよでヤンス、ドワーフ殿。敵の情報を聞き出すまで、攻撃は控えるでヤンス!」
「むむう。口をきく相手とは思えんが?」
「まあ、見ているでヤンス」
なにやら意味深な発言を、リンタローは言う。
「う、ここは!」
ガイコツ剣士が、額に手を当てながら立ち上がる。
手に得物を持っておらず、混乱しているようだ。
「我は、いったい……」
「おめえさんは、魔法使いに操られていたでヤンス」
「おお。そうであったか。ダンジョンで手持ちの剣を失い、魔剣に触れたあたりまでは、覚えておるのだが」
剣士は力なく、あぐらをかいた。
「わたしはキャル。あなた、お名前は?」
剣士の前にしゃがんで、わたしは相手の名を聞く。
「我が名は、フルーレンツという。フルーレンツ・コーラッセン」
「フルーレンツ・コーラッセンじゃと!?」
ドワーフのおじいさんが、カブトを落とす勢いでガイコツに駆け寄った。
「まさか、本当にフルーレンツ王子殿か!?」
「王子、か。かつて、そう呼ばれていたな」
「ば、ばかな。ありえんわい。あなたのいた王国は、このとおり滅びたと言うに」
否定しないフルーレンツに対し、ドワーフさんが腰を落とす。
「国が、そうか。そなたは、我を知っておるのか?」
「ワシを覚えてらっしゃらぬか。騎士団長イーシドロールの息子、ヘルムースでありますぞ!」
「おお、ヘルムースよ。そなた、こんなに大きくなったのか」
「覚えておらぬか。まあ、ムリもあるまい。こんな老いぼれに、なってしまっていてはのう」
ドワーフのヘルムースさんが、ドヨンとした顔に。
「我が国は滅びたと言うが、我の働きは、無意味だったわけだな」
「残念ながら」
剣士とドワーフの、二人だけで会話をしている。
そろそろ、事態を把握しておきたいんだけど。
「あのー。お知り合いでヤンスか?」
「この方は、ワシがガキの頃に栄えて追った国の、王子様じゃ!」
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