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第七章 青い炎のドラゴン! レベッカ究極進化
第55話 魔物と共存する村
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サイクロプスの鍛冶屋がいるという北の地方へ向けて、わたしたちは歩を進めている。
「てや! せい!」
旅のかたわら、わたしはフルーレンツさんから指導を受ける。
彼はスケルトンなので、疲労などは起こさない。
なので、格好のトレーニング相手なのだ。
『キャル! 息が上がってきてるよ!』
「うん! リミットが近いんだね?」
わたしは寝るとき以外、常にレベッカちゃんモードで過ごしている。戦闘時に、息切れを起こさないようにするためだ。
また変身時に、さらなるブーストがかかることもわかったし。
ならば常にレベッカちゃんを起動させて、いざというときにブーストをかけられるようにしておくべきだと考えた。
おかげで普通に憑依された状態でも、レベッカちゃんの力を発揮できる。
前髪のアホ毛が、常に燃え盛っているのが証拠だ。
レベッカちゃんの力を発揮するとき、常にフルパワーでいなければいけなかった。今では、魔力を二分消費するだけでいい。
「くっ!」
それでも、フルーレンツさんは強敵だ。
わたしの渾身の打撃に対しても、フルーレンツさんは流さずに受け止めてくれる。
コーラッセン流が、剛の剣術というのもあるだろう。
しかしフルーレンツさん自身も、「レベッカ殿の剣を真正面から受けなければ、この先の強敵とは渡り合えない」と語っていた。
「キャル殿、それまで」
単純な剣での勝負で、未だにわたしはフルーレンツさんから一本を取れない。
レベッカちゃんの魔力を使っても、互角とは言いがたかった。
さすが、勇者の父親というべきか。
「ありがとうございました」
身体の疲れを落とすため、簡易のお風呂を設置する。
「キャル殿、なぜ我をレベッカ殿に取り込ませなかった?」
「え?」
お風呂を沸かしているわたしに、フルーレンツさんが問いかけてきた。
「我をレベッカ殿が取り込めば、コーラッセン剣術を真髄まですべて習得できる。だが、あなたはそれをよしとしなかった」
「うーん。したくなかったから」
「なんと?」
「だってさ、それだともうあなたは、この世界に思い残すことが、なくなっちゃうじゃん」
成仏することは、いい。
アンデッドとして世界をさまようより、安住の地で安らかに眠るほうが、彼にとってもいいことなんだと思う。
それでも、わたしはまだフルーレンツさんと一緒にいたいと思った。
「フルーレンツさんが成仏したいなら、それでもいいんだよ。レベッカちゃんに食べてもらって、永遠に技術を継承していける。でも、なんか違うんだよなあ」
わたしは、フルーレンツさんはまだこの世界にい続けなければいけない予感がしている。
「ごめんね。わたしのわがままでさ。死にたいなら、いつでも言ってね」
「いや。我はあなたの従者。あなたの師。あなたから永久の眠りをたまわるまでは、あなたの手足となって活動をお約束する」
「ありがとう。でもさ、わたしはあなたを、体の良い壁役だとは思っていないから。そのへんは、安心して」
「ありがたき幸せ」
入浴の時間となった。
ヤトとリンタロー相手に組手をしていたクレアさんが、服を脱ぐ。
「あの魔剣、さらに強くなってる。こっちの妖刀を壊されかねないほど」
「いえいえ。その辺りは加減いたしますわ」
「加減は、しないで。そうじゃないと、この先では油断が命取りになるから」
ヤトも、プロだ。
自分の得物が危険にさらされる状況を、常に考えている。
「寒いでヤンス。早く入るでヤンスよ」
緊張感のないリンタローが、風魔法でかけ湯をして率先して湯に浸かった。
わたしたちも、続く。
中継地点の村を出て、数日が過ぎた。
そろそろ、まともな宿に泊まりたい。
翌朝、再び旅を開始した。
『キャル。そのサイクロプスってのは、アテにできるのかい?』
「たしか『プリンテス』ってサイクロプスを、紹介してくれるって」
ヘルムースさんからの紹介状を手に、わたしは雪の道を進む。
それにしても、雪山地帯なのに火山があるとは。
「豪雪地帯でも、ちゃんと山は活性化している」
「なぜかそこだけ、熱いらしいでヤンス」
「ウワサによると、ドラゴンが眠っているらしい」
ドラゴンか。いい素材になりそう。
「それに、雪山といえば!」
「いえば? お酒?」
リンタローがネタを振るなら、それだろう。
「まあ、酒もうますぎるでヤンスが」
「じゃあ、宿でお酒頼もうね」
「ありがとうでヤンス。じゃなくてでヤンスねえ!」
「雪山といえば、だね」
「温泉でヤンス!」
ああ、温泉かー。
そういえば旅の間、お風呂も簡単に済ませていたな。
鍛冶のことで頭が一杯のため、早く目的地に到着したかったからだ。
「お湯あみでしたら、ウッドゴーレムさんのお風呂も最高でしたわ」
クレアさんが、わたしをフォローしてくれる。
一応ゴーレム屋敷は引き連れていた。
フワルー先輩から習って、ゴレーム屋敷は作ってみたんだよな。お風呂付きの。
「ウッドゴーレムの木製フロも、ストーンゴーレムの岩風呂もまた格別でヤンした。ですが、温泉は、お湯自体に特別な効能があるんでヤンスよ」
故郷の、薬効風呂みたいなもんか。それなら、入ってみたい。
「わたしが沸かしたお風呂も、一応薬効があるタイプなんだよね。あれより、効果が高そう?」
「わかりかねるでヤンスが……おやおや」
北の街【ダクフィ】に到着した。
「魔物が、統治している」
この街は、魔物が人間と共存している。
魔物も魔族も、亜人種も、平等に商売や冒険をしていた。
ケンカをしている様子はない。
「珍しいでヤンスね。こんな街は、めったに見ないでヤンスよ」
「ウチも、あまり変わらない」
「ソレガシたちの住んでる東洋地帯は、魔族と言ったってあくまでも亜人種でヤンスよ。魔物との共存ってのは、見かけないでヤンスね」
ヤトとリンタローの話を聞いていると、東洋にも魔族と共存する地域があるみたいだけど。
「ヤトの妖刀も、魔物が打った感じ?」
「かもしれない。私たちは自分たちで打った刀に、魔族が魔力を注ぎ込む」
そうやって「わざと」、形を歪ませるのだという。
「この妖刀【怪滅竿《ケモノホロボシザヲ》】は、死んだ魔物の骨を金属と融合させて作っている。だから、死の香りが常に漂っているのかも」
ヤトが、釣り竿型の妖刀を掲げる。
「どこの骨を使ったの? アバラ?」
「指の爪」
どおりで、鋭いわけだ。
【雪見亭】にて宿を取る。
宿はカウンターもテーブルも、かなりの大きさだ。
「巨人でも、ここに来るんでヤンスか?」
「ああ。鉱山帰りの巨人が、利用するんですよ。さっきも一人、山から帰ってきたところでして」
レジ係の男性が、教えてくれる。彼は宿の主で、獣人だ。
「この時間なら、温泉が湧いております。どうぞ」
「ありがとうございます。みんな、ごはんの前に入ろう」
部屋に荷物を置いて、浴場へ。
「更衣室も、大きい」
ちびっこのヤトが、グギギと歯を食いしばる。
そんな、対抗意識を燃やさなくても。
「ささ、入るでヤンス」
旅の疲れを取るため、湯に浸かる。
「ふああああ」
あまりの気持ちよさに、思わずアクビが出た。
「気持ちいいですわ」
クリスさんも、湯の温かさに満足げだ。
「岩が邪魔でヤンスね」
「ああ、ごめんごめん」
リンタローが不満を述べると、岩が謝罪してどいた。
……っ?
「あれ、ここの岩って動くっけ? ゴーレムじゃあるまいし」
「岩じゃない。これは、魔物」
わたしたちは、湯からダッと上がった。
「待って待って。オイラは悪いサイクロプスじゃないよ!」
「悪いヤツは、みんなそう言うでヤンスよ!」
「誘拐犯の理屈!?」
湯に浸かっていた巨大な体を起こす。
三メートル近くは、あるんじゃなかろうか。
「オイラはゼゼリィ。サイクロプスだよ」
「てや! せい!」
旅のかたわら、わたしはフルーレンツさんから指導を受ける。
彼はスケルトンなので、疲労などは起こさない。
なので、格好のトレーニング相手なのだ。
『キャル! 息が上がってきてるよ!』
「うん! リミットが近いんだね?」
わたしは寝るとき以外、常にレベッカちゃんモードで過ごしている。戦闘時に、息切れを起こさないようにするためだ。
また変身時に、さらなるブーストがかかることもわかったし。
ならば常にレベッカちゃんを起動させて、いざというときにブーストをかけられるようにしておくべきだと考えた。
おかげで普通に憑依された状態でも、レベッカちゃんの力を発揮できる。
前髪のアホ毛が、常に燃え盛っているのが証拠だ。
レベッカちゃんの力を発揮するとき、常にフルパワーでいなければいけなかった。今では、魔力を二分消費するだけでいい。
「くっ!」
それでも、フルーレンツさんは強敵だ。
わたしの渾身の打撃に対しても、フルーレンツさんは流さずに受け止めてくれる。
コーラッセン流が、剛の剣術というのもあるだろう。
しかしフルーレンツさん自身も、「レベッカ殿の剣を真正面から受けなければ、この先の強敵とは渡り合えない」と語っていた。
「キャル殿、それまで」
単純な剣での勝負で、未だにわたしはフルーレンツさんから一本を取れない。
レベッカちゃんの魔力を使っても、互角とは言いがたかった。
さすが、勇者の父親というべきか。
「ありがとうございました」
身体の疲れを落とすため、簡易のお風呂を設置する。
「キャル殿、なぜ我をレベッカ殿に取り込ませなかった?」
「え?」
お風呂を沸かしているわたしに、フルーレンツさんが問いかけてきた。
「我をレベッカ殿が取り込めば、コーラッセン剣術を真髄まですべて習得できる。だが、あなたはそれをよしとしなかった」
「うーん。したくなかったから」
「なんと?」
「だってさ、それだともうあなたは、この世界に思い残すことが、なくなっちゃうじゃん」
成仏することは、いい。
アンデッドとして世界をさまようより、安住の地で安らかに眠るほうが、彼にとってもいいことなんだと思う。
それでも、わたしはまだフルーレンツさんと一緒にいたいと思った。
「フルーレンツさんが成仏したいなら、それでもいいんだよ。レベッカちゃんに食べてもらって、永遠に技術を継承していける。でも、なんか違うんだよなあ」
わたしは、フルーレンツさんはまだこの世界にい続けなければいけない予感がしている。
「ごめんね。わたしのわがままでさ。死にたいなら、いつでも言ってね」
「いや。我はあなたの従者。あなたの師。あなたから永久の眠りをたまわるまでは、あなたの手足となって活動をお約束する」
「ありがとう。でもさ、わたしはあなたを、体の良い壁役だとは思っていないから。そのへんは、安心して」
「ありがたき幸せ」
入浴の時間となった。
ヤトとリンタロー相手に組手をしていたクレアさんが、服を脱ぐ。
「あの魔剣、さらに強くなってる。こっちの妖刀を壊されかねないほど」
「いえいえ。その辺りは加減いたしますわ」
「加減は、しないで。そうじゃないと、この先では油断が命取りになるから」
ヤトも、プロだ。
自分の得物が危険にさらされる状況を、常に考えている。
「寒いでヤンス。早く入るでヤンスよ」
緊張感のないリンタローが、風魔法でかけ湯をして率先して湯に浸かった。
わたしたちも、続く。
中継地点の村を出て、数日が過ぎた。
そろそろ、まともな宿に泊まりたい。
翌朝、再び旅を開始した。
『キャル。そのサイクロプスってのは、アテにできるのかい?』
「たしか『プリンテス』ってサイクロプスを、紹介してくれるって」
ヘルムースさんからの紹介状を手に、わたしは雪の道を進む。
それにしても、雪山地帯なのに火山があるとは。
「豪雪地帯でも、ちゃんと山は活性化している」
「なぜかそこだけ、熱いらしいでヤンス」
「ウワサによると、ドラゴンが眠っているらしい」
ドラゴンか。いい素材になりそう。
「それに、雪山といえば!」
「いえば? お酒?」
リンタローがネタを振るなら、それだろう。
「まあ、酒もうますぎるでヤンスが」
「じゃあ、宿でお酒頼もうね」
「ありがとうでヤンス。じゃなくてでヤンスねえ!」
「雪山といえば、だね」
「温泉でヤンス!」
ああ、温泉かー。
そういえば旅の間、お風呂も簡単に済ませていたな。
鍛冶のことで頭が一杯のため、早く目的地に到着したかったからだ。
「お湯あみでしたら、ウッドゴーレムさんのお風呂も最高でしたわ」
クレアさんが、わたしをフォローしてくれる。
一応ゴーレム屋敷は引き連れていた。
フワルー先輩から習って、ゴレーム屋敷は作ってみたんだよな。お風呂付きの。
「ウッドゴーレムの木製フロも、ストーンゴーレムの岩風呂もまた格別でヤンした。ですが、温泉は、お湯自体に特別な効能があるんでヤンスよ」
故郷の、薬効風呂みたいなもんか。それなら、入ってみたい。
「わたしが沸かしたお風呂も、一応薬効があるタイプなんだよね。あれより、効果が高そう?」
「わかりかねるでヤンスが……おやおや」
北の街【ダクフィ】に到着した。
「魔物が、統治している」
この街は、魔物が人間と共存している。
魔物も魔族も、亜人種も、平等に商売や冒険をしていた。
ケンカをしている様子はない。
「珍しいでヤンスね。こんな街は、めったに見ないでヤンスよ」
「ウチも、あまり変わらない」
「ソレガシたちの住んでる東洋地帯は、魔族と言ったってあくまでも亜人種でヤンスよ。魔物との共存ってのは、見かけないでヤンスね」
ヤトとリンタローの話を聞いていると、東洋にも魔族と共存する地域があるみたいだけど。
「ヤトの妖刀も、魔物が打った感じ?」
「かもしれない。私たちは自分たちで打った刀に、魔族が魔力を注ぎ込む」
そうやって「わざと」、形を歪ませるのだという。
「この妖刀【怪滅竿《ケモノホロボシザヲ》】は、死んだ魔物の骨を金属と融合させて作っている。だから、死の香りが常に漂っているのかも」
ヤトが、釣り竿型の妖刀を掲げる。
「どこの骨を使ったの? アバラ?」
「指の爪」
どおりで、鋭いわけだ。
【雪見亭】にて宿を取る。
宿はカウンターもテーブルも、かなりの大きさだ。
「巨人でも、ここに来るんでヤンスか?」
「ああ。鉱山帰りの巨人が、利用するんですよ。さっきも一人、山から帰ってきたところでして」
レジ係の男性が、教えてくれる。彼は宿の主で、獣人だ。
「この時間なら、温泉が湧いております。どうぞ」
「ありがとうございます。みんな、ごはんの前に入ろう」
部屋に荷物を置いて、浴場へ。
「更衣室も、大きい」
ちびっこのヤトが、グギギと歯を食いしばる。
そんな、対抗意識を燃やさなくても。
「ささ、入るでヤンス」
旅の疲れを取るため、湯に浸かる。
「ふああああ」
あまりの気持ちよさに、思わずアクビが出た。
「気持ちいいですわ」
クリスさんも、湯の温かさに満足げだ。
「岩が邪魔でヤンスね」
「ああ、ごめんごめん」
リンタローが不満を述べると、岩が謝罪してどいた。
……っ?
「あれ、ここの岩って動くっけ? ゴーレムじゃあるまいし」
「岩じゃない。これは、魔物」
わたしたちは、湯からダッと上がった。
「待って待って。オイラは悪いサイクロプスじゃないよ!」
「悪いヤツは、みんなそう言うでヤンスよ!」
「誘拐犯の理屈!?」
湯に浸かっていた巨大な体を起こす。
三メートル近くは、あるんじゃなかろうか。
「オイラはゼゼリィ。サイクロプスだよ」
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