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第2章
種族
しおりを挟むアレウスと出会うまで、私はウサギ獣人至上主義だった。付き合うなら絶対、ウサギ獣人!って思っていた。
…他の種族は、正直ちょっと下に見ていた。
だってウサギ獣人の耳は長くて立派で綺麗だし、地を踏みしめる脚力は素晴らしいし、小さな尻尾は可愛い。
気品と力強さと可愛さを合わせ持つ、最高の種族だと信じていたのだ。
そもそも、身体に羽とか鱗とか生えてるのなんて意味がわからない。
何の特徴も無いニンゲンは、みすぼらしいので問題外。
たとえ耳や尻尾が生えてたって、肉食系の獣人なんて野蛮で冗談じゃないと思ってた。
だって、生肉食べてたんでしょ?
まぁ、彼らは彼らで私たちの事を「元、餌の癖に」とか言ってるから、そこはお互い様なんだけど。
こういう主義主張は、別に珍しいものではない。
自分の種族が一番、ってやつだ。
だから未だに、純血種って多かったりする。私も、数代前に猫獣人の血が一回入ったらしいけど、それ以外はほぼ純血だし。
その事を誇りに思っていた。
でもアレウスに……アレウスの胸毛に出会って、私は目が覚めた。
種族が何かなんて、大した事じゃないんだって。
それよりもっとずっと、重要な事があるんだって。
そう、そんな事よりもっと大事な事。
胸毛に種族は関係無い。
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