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本編
3 翌日
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翌日、気づくと一人、ベッドの上に寝ていた。
立ち上がろうとしたけれど、ふらついて背中から倒れ込んだ。
身体の感覚がおかしい。
下腹部に、鈍い痛み。
ああ、そうか。昨日…
お腹を押さえてため息を吐いた。
その喉もカラカラだった。
サイドテーブルに水差しがあったのでコップに注いで飲むと、少し気分がマシになった。
もう一度、少し慎重に立ち上がる。
今度は大丈夫だった。
閉まっていたカーテンを少し開けて外を覗くと、もう太陽は随分と高くまで上っていた。
お昼…くらい…?
空腹を感じて、少しふらつきながら服を着た。ドアを開けて廊下に出る。
まだ、この屋敷のどこに何があるのかよく分からない。昨日多少は案内してもらったのだけれど、何しろ大きなお屋敷だし、昨日は緊張していたから…。
ちょうど廊下を通りかかった侍女に、食堂の場所を訊ねた。
食堂まで食べに行くつもりだったけれど、何故だか部屋に持ってきてくれることになった。その方が楽なのは確かなので、お礼を言って一足先に部屋へと戻った。
まだ少し怠いので、ベッドに寝転んで食事がくるのを待つ。
ふと視界に入ったシワになったシーツに、昨夜のことを思い出す。昨日のあれが、夫婦の営みであることは、いくら知識がない私でも分かった。
あんな風にするんだ
少しだけ、ショックだった。
貴族同士の結婚だ。
そこまで夢を見てはいないつもりだった。
どうせ親に決められた相手。
そう思っていた筈なのに、知らぬ間に少し夢見てしまっていたようだった。
甘やかな言葉。
優しい手つき。
穏やかな瞳…。
私が好んで読んできた恋愛小説で、ヒロインがいつだって与えられてきたもの。
そういうの、なかったな…
胸にチクリと、小さな穴が開いた。
立ち上がろうとしたけれど、ふらついて背中から倒れ込んだ。
身体の感覚がおかしい。
下腹部に、鈍い痛み。
ああ、そうか。昨日…
お腹を押さえてため息を吐いた。
その喉もカラカラだった。
サイドテーブルに水差しがあったのでコップに注いで飲むと、少し気分がマシになった。
もう一度、少し慎重に立ち上がる。
今度は大丈夫だった。
閉まっていたカーテンを少し開けて外を覗くと、もう太陽は随分と高くまで上っていた。
お昼…くらい…?
空腹を感じて、少しふらつきながら服を着た。ドアを開けて廊下に出る。
まだ、この屋敷のどこに何があるのかよく分からない。昨日多少は案内してもらったのだけれど、何しろ大きなお屋敷だし、昨日は緊張していたから…。
ちょうど廊下を通りかかった侍女に、食堂の場所を訊ねた。
食堂まで食べに行くつもりだったけれど、何故だか部屋に持ってきてくれることになった。その方が楽なのは確かなので、お礼を言って一足先に部屋へと戻った。
まだ少し怠いので、ベッドに寝転んで食事がくるのを待つ。
ふと視界に入ったシワになったシーツに、昨夜のことを思い出す。昨日のあれが、夫婦の営みであることは、いくら知識がない私でも分かった。
あんな風にするんだ
少しだけ、ショックだった。
貴族同士の結婚だ。
そこまで夢を見てはいないつもりだった。
どうせ親に決められた相手。
そう思っていた筈なのに、知らぬ間に少し夢見てしまっていたようだった。
甘やかな言葉。
優しい手つき。
穏やかな瞳…。
私が好んで読んできた恋愛小説で、ヒロインがいつだって与えられてきたもの。
そういうの、なかったな…
胸にチクリと、小さな穴が開いた。
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