完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん

文字の大きさ
23 / 35

第二十一話 ドルイダスの神殿

しおりを挟む
翌朝、アドレーとマリアは2人でイデアルの巨木付近に立つ、ドルイダスの神殿へと出かける。

「まぁ、森の中はたいした魔物はおらんが、気を付けるんじゃよ。」

「はい、ありがとうございます。エーファさん。」

「じゃあ行ってくるよ婆さん。」

「こら!お姉さんじゃろ!」

「はい!お姉さま!」

アドレーがシャキッと背筋を伸ばして答える!

「ふぉ、ふぉ、マリアさん、わしゃ足が弱って同行出来ないが、一応これでもアドレーは剣がたつでの、安心して行っておいで。」

「はい、行ってきます。」

こうして2人は徒歩で森に入ると、獣道を進む。 

マリアは昨日、エーファから聞いた話をアドレーに伝えたかったが、あれは、マリアがシーヴァの子孫だったから、話をしてくれたのだろう……そう思うと、自分もドルイダスだと名乗る必要が出てくる……それは避けたいので、黙ってアドレーに付き従う。

どれくらい時間が経ったであろうか、突然視界が開け、空に突き刺さるような勢いで生えている巨木が見えてきた。 

「あ、あれがイデアルですか?」

「ああ、そうだ、私もここまで近くに来たのは初めてだが、本当に大きいな。」

「ええそうですね……あ!あそこに石積の建物があります。あれがドルイダスの遺跡ですね。」

「の様だな。イデアルの巨木に寄り添うように遺跡が建つ……とは聞いていたが、イデアルの木にのまれてないか?」

「そうですね、300年前からあるのでしたら、成長したイデアルにのみ込まれてしまっても不思議ではないかと……。」

遺跡はその半分程がイデアルに侵食されており、中に入れるか疑問があった。

「とにかく、遺跡の調査をしないとな。」

「はい。」

マリアがイデアルの巨木に近づくと、頭に声が響く

『やあ、よく来たね。マリア。』

『はい、イデアルさん、王子の手前、念話で失礼します。』

『ああ、構わないとも。君の事は枝を通してみていたよ。』

『そうなんですね。いつもマナを分けて頂いてありがとうございます。』

「お~い!マリア!ここから入れそうだぞ!」

「はい、ただいま行きます!」

『呼ばれてしまったので、失礼いたします。』

『ああ、構わないとも。』

マリアはアドレーに呼ばれて、遺跡の中へ入ると、中には壁画が溢れ、なにやら古代文字でかかれていた。 

「う~ん、全くわからない。」

「そうですね、私も読めそうにありません。」

「さて、どうしたものか……。」

「書き写して書庫で調べてはいかがですか?」

「そうだな。」

そんなことをしていると………。

『マリア、何者かがそちらに向かっているぞ。』
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約者の王子が危険すぎるから、奪おうと目論んでいた妹に譲ります

黒木 楓
恋愛
公爵令嬢ミレイユは第二王子フルディと婚約することが決まるも、フルディは危険だった。 フルディは自分の兄を失墜させる為なら手段を選ばず、その手段に迫ってくる女性を使う。 それによってミレイユは周囲から魅力がないと噂されるも、それは我慢できた。 危機を助けて警告するも自分が正しいと言い張るフルディ、そしてフルディを奪うと妹が告げたことで、ミレイユは限界がくる。 妹に賛同している両親、今まで助けることで最悪の事態を回避していたフルディ殿下のことなんて、もう知らない。 フルディ殿下が危険だと知って1人で生きる準備していたミレイユは、国を捨てることを決意した。

見た目が地味で聖女に相応しくないと言われ追放された私は、本来の見た目に戻り隣国の聖女となりました

黒木 楓
恋愛
 モルドーラ国には2人の聖女が居て、聖女の私シーファは先輩聖女サリナによって地味な見た目のままでいるよう命令されていた。  先輩に合わせるべきだと言われた私は力を抑えながら聖女活動をしていると、ある日国王に呼び出しを受けてしまう。  国王から「聖女は2人も必要ないようだ」と言われ、モルドーラ国は私を追い出すことに決めたらしい。   どうやらこれはサリナの計画通りのようで、私は国を出て住む場所を探そうとしていると、ゼスタと名乗る人に出会う。  ゼスタの提案を受けて聖女が居ない隣国の聖女になることを決めた私は、本来の見た目で本来の力を使うことを決意した。  その後、どうやら聖女を2人用意したのはモルドーラ国に危機が迫っていたからだと知るも、それに関しては残ったサリナがなんとかするでしょう。

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓
恋愛
 魔力が優れていた公爵令嬢の姉妹は、どちらかが次の聖女になることが決まっていた。  新たな聖女に妹のセローナが選ばれ、私シャロンは無能な姉だと貴族や王子達に蔑まれている。  傍に私が居たからこそセローナは活躍できているも、セローナは全て自分の手柄にしていた。  私の力によるものだとバレないよう、セローナは婚約者となった王子を利用して私を貶めてくる。  その結果――私は幽閉されることとなっていた。  幽閉されて数日後、ある魔道具が完成して、それによって真実が発覚する。  セローナが聖女に相応しくないと発覚するも、聖女の力を継承したから手遅れらしい。  幽閉しておいてセローナに協力して欲しいと私に貴族達が頼み始めるけど、協力する気は一切なかった。

お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ
恋愛
サイドル王国の子爵家の次女であるテレーズは、長女のマリアに婚約者のラゴウ伯爵を奪われた。 その後、テレーズは辺境伯カインとの婚約が成立するが、マリアやラゴウは所詮は地方領主だとしてバカにし続ける。 しかし、無知な彼らは知らなかったのだ。西の国境線を領地としている辺境伯カインの地位の高さを……。 貴族としての基本的な知識が不足している二人にテレーズは失笑するのだった。 そしてその無知さは取り返しのつかない事態を招くことになる──。

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓
恋愛
 子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。  激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。  婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。  婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。  翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました

おりあ
恋愛
 アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。 だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。  失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。  赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。 そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。  一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。  静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。 これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。

処理中です...