愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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駆け巡る普天率土の章

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「え、急にどうしたの?」

私は視線を上に向けると彼の青い瞳と目が合った。

「そいつの事、語るシアがなんかいつもより変な感じがしたからな。」
「そうかな?……」

ギグっと私は鋭い彼にびっくりしながらも、まるで本やゲームに居そうなイケメンではあったけど、でも一番好きなのはユリウスなのは不動なのだからとだんだんと考えていると、思考がふわふわしてきた。

「私が好きなのはね……ユリウスだよ。」

未だに慣れない。
沢山交わって……愛し合ってきたけれど、この身体を許して好きにして欲しいと思えるのは彼だけだ。

……少し行為多めなのは疲れるけれど。


洗い終えて立ちあがりお湯をかけようと、赤らんでいく顔の熱を隠そうと思い向かおうとするとがっしりと背後から抱きしめられた。

「なら良かった、安心した。」
「いつもしてるでしょ?私がしたいと思うのはユリウスだけなんだからね?」
「あぁ、ごめんな。少し不安に思ってしまった。」
「くっついたら泡がついちゃうでしょ。」

もうと少し私は怒りながらも、後ろからの温かな気配にホッとしていた。

おかしそうに笑う彼に、私は外してと言うと嫌そうな唸り声を出してから、背の首後ろにに軽く舐められ吸われた。

「ひゃぁ、んっユリウスっ」
「なに、これだけで感じた?」

離れていく気配に私は軽くもうと思いながら、お湯をかけて彼にも汲んでかけた。

さばっと洗いながすと、私をゆったりと眺めていた彼の手を掴み、湯船の方へといった。


「でも、途中で帰宅して大丈夫だったの?公務だったでしょ?」
「あぁ、友人だっからな。色々書簡やあいつ自身に伝えてあるから、体調不良という事で急いで帰宅した。元々出るつもりだったパーティーには出れたからそこからいつでも帰宅すれば終わりだったけどな……君が深く首を突っ込んだから、慌ただしくなったけれど。」
「っぁ……」

チクリと彼の手が背後から私の乳首を摘み爪を立てて弄り、私はピクッと揺れて、さぶと水音を立てた。

じわじわと彼に言葉と指で責められ始まり、私は股を擦り合わせてしまいそうになり、立ちあがろうと腰を浮かせるとガシッと彼にお腹辺りを抱え込まれ、引き寄せられた。

「もう……でたいのだけど?」
「後一つ伝えたく無いけど……伝えてないと知ったらアレらから怒られるのが嫌だからな……仕方なくだから。」
「どう言うこと?」

ギュッと腰が未着する程近くへと、くっついて耳元へ彼のぼそぼそと言う声と吐息がかかりくすぐったい。

「"私の友人も助けてくれ"と言われた。俺が急いでいたのもあって深くは聞いてないがな。」
「それを言っていたのは?」

誰なんだと私は顔を動かそうとしたが彼が私の耳を舐め始めてしまい、ビクビクとその感触に身を捩った。

「ユリウスっ……んんっぁ」
「大精霊だ……行くなよ。また同じ事になったら俺の身が持たん。それに、大精霊自身が助けられないのなら、更に厄介だ。」
「それは……わからないでしょ。大精霊は遠くへと余り長い事居られないかもしれないし。」
「行くつもりか?」

ギシッと更に強く肩や腰を抱えられて彼の熱い吐息がまた耳にかかりくすぐったい。

「そ、れぇはっ」

身を捩り、私は逃れようとしたが彼の力に敵わず、足を擦り付けて彼が火をつけた欲望が燃えている事は明白だった。

「だから嫌だったんだ。君は精霊に優しいからな。わかっていたけれどな。俺の気持ちを優先してくれないか?シア」
「んぐっ」
「優先してくれたら、外に出て遊びに行くのも良いから。」
「それはっ」

自由と精霊を天秤にかけられて、私は迷った。

愛している彼を優先するべきなのは大事であり、精霊の事は直接頼まれてもいない不明瞭な事だ。

私は少し内心モヤモヤしたまま、ユリウスの側にいる事を選択した。

「ユリウスと一緒にいらからっ、止めて」

舌先が耳の穴へとねちねちと入り込み、責められていて、私ははくはくと息をしながら、彼の片手が乳首をつねって身を捩った。
目からは少し涙が出て、私はヒクヒクとそれだけで達しそうになり、腰に当たる彼の逸物は硬くなっていた。

「ほんとか?なら行くなよ?」

唸り声を上げていた彼の声がして、舐めていた耳への接触が止まりホッとした。

「そうするからぁ」
「シア、ありがとう。」

ククッと、彼が笑っていたのを聞きながら湯船からざぶっと彼に抱えられて立ちあがり、ゆらりと運ばれていった。











私とユリウスでショッピングに出かけたりとまったりと街を楽しみ、熱い日々は苦手ですぐに涼やかな建物の中へと逃げてしまう。

「もうすぐ休みも終わるね……」
「あぁ、そしたらまた学生生活だな。」

手を繋ぎ、熱いけれど木陰にあるベンチに座り、街を眺めながらヒンヤリとしているシャーベットの飲み物を食べていた。

ぐったりとしていると、汗でくっついた髪の毛を横にかき分けてくれた。

「戻ろうか、家に。」
「ええ、あのさ、そろそろ外してくれない?」

私は魔力と神力を未だ封印されており、隣にいる彼が持つ鍵を勝手に探って使おうとした日もあったなと思い出した。
あの時は、すぐにバレてヒンヒンとなりながら激しく長く愛されてしばらく立てられなかった。
腰は痛いし、長期戦過ぎて、ユリウスから逃れようと近寄っただけでもビクッとしてベッドの下へと逃げてしまい、謝られたっけ。

「シア……仕方ないな。わかった解くけれど、逃げるなよ?」
「それは大丈夫よ、安心して。」

私は笑って、彼を引っ張って家に帰った。





ごとり。

古めかしい遺跡の中、一人の男が黒いローブのフードを被り、黒い禍々しい渦を巻いた棺桶をジッと見つめており、時折それを苦々しく見つめていたのが、意外であり、最近よく会う事になった幹部の一人は目を見張る。


「それでは……オアシスの方は失敗したのだな?」
「はい、大精霊排除によるリソース変換の儀は少量しか変換されず、必要量は採取できませんでした。幹部一名とその付き人二人にかけられていた《闇への誘い》の効果は途絶えました。」
「ならば……竜王国の南方にある《力の泉》を手に入れた方が賢明か。姫君がいる国だからか、潰されるかもしれんが。」
「それが……あの憎き金竜が姫君を囲っているらしく、暫くは現れないかと。」「タイミング良い。今のうちに変換の儀を進めておけ。泉にある遺跡破壊は進んだか?」
「はい、75%程は進みました。残りは中々強硬でして、予定していた残量より大幅に使用してしまいました。」
「仕方ない、旧時代の遺産だ。難しいのは従順に理解している。大精霊の方はどうだ?」
「前回のオアシスの大精霊の援助のせいで、予定していたより工程にズレが起きましたが、式典のある秋までには完全にリソース変換の儀は終わるとの現場検証しました。」
「それまでに、暁の巫女が来なければか。あの一家の一族を見張っておけ。」
「ハッ……しかし学園に潜ませておいた者はどれも捕まって自害しております。王宮の方もかなり難しく、時間が経てば見つかるのも……地方にいる方なら見張れますが……」
「新しい増援は?」
「それが……」


二人の男の会話は深夜になっても終わらず、そして今まさに少しずつ大精霊を苦しめていた。



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