愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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駆け巡る普天率土の章

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舐められ、くすぐったい感覚に私はもう少し寝ていたかったが、目を開けた。

「………んっ、ぁ、おはよユリウス?」
「ん、おはよ」

目を開けると私の下半身を舐めている彼を見てしまい、これはえっちな夢なのかと目を擦ったがユリウスは変わらずいて、まるで普通なことの様に過ごしている。

「ちょっと……やめぁぁっ」
「今イッたか?気持ち良かったなら良い。」
「ユリウス、朝からなんでこんな事。」
「シア今何時頃だと思う?」
「え?まさか」

ビクビクとイッた後の快感に震えながら、私は当たって欲しくない予想が当たっていた。

「昼休み頃だろうな。今日の朝に二度起こしたけど、まだ寝たいのって……それはもう可愛い声で甘えてきたから寝かせた。」
「ええっ、それはもう……しょうがないわ。今日は休むわ。そうだ古城……」
「あぁ、呼鳥で送ってあるから、古城には行かなくて良い。」

ぎしっと彼が手を這わせてきて、その手つきに私は表情を歪めた。

「もう……昨日もしたし、もう良いでしょ?」
「もう少し足りないぐらいなんだけどな?」
「えぇ……」

バタンと彼にのしかかられて私は再びベッドの住人になってしまった。

なんてことだろうか。
そう考えているとユリウスがなに考えてるのかと俺を見ろと唸り声をしてきて私は半笑いしてごめんと良い付き合う事にした。









あれからそんなこんなで、日々は過ぎていき、彼が冒険者ギルドへと行き、共に行ける人を雇ったらしい。

「それでその人は?」
「女性で、婚約者等は居ないらしい。一応危険性がある事は伝えてある。その費用も彼の家に請求が行く様に伝えてある。一応冒険者はこの前雇えるのなら雇う費用も負担すると話したら言っていたからな。」
「どんな人?」
「竜人族ではないと聞いた。詳しくは遠出しているらしく戻らないらしい。」
「一人か。それでも居てくれて安心するわ。」
「受けられるクエストならなんでも受けるらしい。」

私はユリウスが少しその後なにかを言おうと私の目を少し見てからやめた。

「どうしたの?」
「いや……なんでもない。」

……今日のユリウスは変だ。
特に呼鳥の手紙を受け取って、執務室に行った後、まるで引き留める様に時々本当に行かないでくれと言いたげであるけれど、少ししてからグッと堪える様にため息をつく。

青い瞳と目が合い、視線は揺れている。まるで氷の様に冷たく沈んで、冬の海の様だった。

いつもなら微笑んでくれるのに。
そんなに、なにかあったのだろうか?

「……ユリウス」

私は近寄り、ソファーの隣に移動して腰掛けた。

明らかに彼の様子がおかしい。
なにかあったのだろうか?
具合が悪いのか?

彼の手を取り、触るとビグっと震えた彼の手はいつもの温かさだ。
私は彼のおでこに自身の額を近づけてぴたっとくっつけて熱を測る。

「……熱はない様ね、良かった。どこか具合悪いの?」
「いや、違う。心配かけて、すまないな。」

そう言いながら、鼻先を擦り付けてきて、口先が触れそうで触れないギリギリの所で彼が止まった。

「行きたくないって言った方が正しいかな……余り状況が混沌地味でいるからな。」
「どういうこと?」

私はそういうとチュッと軽く口先軽くつけるだけのキスをされた後、彼の顔が首へと傾けて下げていく。

「だがしかし、今更止められる事ではないからな……余り多くは語れないけど、俺から離れないでくれ。」

明日はとうとう向かう日だというのに、彼がそういう事を言った事で、不安になった。

「……もし危ないのなら……どうにか出来ないのかしら?応援を呼ぶとか。」
「出来ないな。建国祭に、式典等で神殿や国軍は忙しいだろう。それを差し止める程、危ないモノだという事を彼の貴族派の騎士排出一家代表となる彼の領地内部の事だとなるとな?こちらからは大事には出来ないし、表沙汰にも出来ないから出来る限りの支援はするり今回の事も表向きにはしないつもりだろう。」
「そうか………」
「余り雲行きが良くないという事は言える。」

ユリウスはだから私を引き留めたいという視線を向けてきているが、約束も既にしていて、冒険者も雇っているからか何も言わない。

ため息をついたユリウスの吐息がくすぐったく、身じろぎをしていていると舌が私の首筋を撫で始めた。

「明日早いんだから……また今度ね?」
「少し中に入れておいた方が良いんだろ?」
「それはそうだけど……」
「大丈夫、無理はさせないから。」

私は抱っこされ、ベッドへと運ばれていく事に苦笑していた。






「それで、この方が手紙で知らせていた方?本当に神力つか………えそうね。」
「……はぁ……使えないはずがないだろ。」
「それは言い過ぎ……ではないな。」

旅装のフードを脱いだ私の髪色を見て驚いた妹さんのシャルロッテは手紙で教えられていたそうだが、私と対面するまで信じて居なかったらしく、ケッセルリングの邸宅で私達は会った。

先程着いたばかりでまだ旅装ではあるが、これから向かう場所も考え、今も同じ服装である。

「それでこの人が冒険者?なんか……娼婦みたいね」

フンと後ろの鬼人族で、革鎧を着込んだ冒険者は鼻を鳴らした。

彼女が担当だと聞かされた時はなんで竜王国にいるのか謎だったがその人が帝国で出会ったウルという女性だった。

彼女は売られたはずだが……
冒険者となり、この国へときて、数奇の出会いの末に目の前にいるのは明白だ。

帝国出身者だからか、建国祭や式典などのイベントは興味ないから来てくれたのだろうけど。

「その人の方が胸が………痛いいい」
「兄様、変な事を言わないで貰えます?」

シャルロッテさんは自身の胸をチラリと眺めため息をついてから、兄の手をつねっていた。

私はそれを見ながらふふと笑いながら、これから起こる事に胸がざわざわとしていた。








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