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駆け巡る普天率土の章
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「これなら良いかしら?」
《ふむ、良いでしょう。悪き者は去り、場は清められた。》
シャルロッテさんは腕輪の収納から取り出した、泉の中に編んだ籠を入れた。
籠の中には今年の収穫された初穂だろう物が見えた。
他には美しい布地やその他肉類が入っていて、籠を泉の中に入れた途端光になり、消えていった。
其れを見たシャルロッテさんは頷いて、一歩下がり、腕輪から取り出した装身具を着けて舞を踊り始めた。
シャンシャンと腕や足が動く度に鳴り、静かな泉に響いていた。
シャルロッテさんがまるでクルクルと止まらない踊りを見ながら、私は美しいなと思いながら、ユリウスに支えられて見ていた。
シャルロッテさんが一礼すると、大精霊が腕を振るとキラキラと地面に降り注いだ。
《私はそろそろ長きに眠りにつきたいが……すまない、この泉の修理をお願いしたい。》
「修理ですか?あの周辺の遺跡群ですか?」
《そうだ、特に失われた水晶が特にな……アレは変えが効かない》
「水晶?どういう物ですか?」
《淡いグリーンのクリスタルがが据えられている古代の魔道具だ、アレは古くに……から譲られたもの。》
クリスタルの魔道具?
どこかで見た気がする。
それに誰からと言っていたのだろうか?精霊がなにかモゾモゾと言っていたが聞き取れない。
私はユリウスの方へ見ると、少しめんどくさそうな表情を浮かべており、私は思わずユリウスの横腹を肘で軽くこづいた。
謎のMr.モントオール主催の仮面舞踏会の景品として其れがあるかも知れないと言う事をユリウスから話した。
「だが、既に移動されている可能性も勿論あるが、まだ残っていたら探してみようと思う。」
「ありがとうございます。掛かった費用は家でお支払いいたします。」
Mr.モントオールはあの国では大人で知らない人が居ないというくらい有名な人らしい。
しかしながら、謎の夜会を開くが、実際の姿を見た者は少なく、姿や顔は隠されており、他の客に紛れているらしい。
「こちらの方でも探してみますわ。」
シャルロッテさんは頷きながら、そう言って悩んでいる様だ。
広範囲によってかなり教団に荒らされている事で、修復にかなり歳月かかるとか資金からの事だろうか。
私はふと大精霊が口惜しそうに私の方を見て言った。
《古来本来ならば、演奏を聴きたいがこの状況だと仕方ないし、其処は了承しよう。》
「演奏?」
大精霊の方へシャルロッテさんは初めて聞いたのですけどと、言いながら焦っている様だ。
「それって奉納祭みたいってことかしら?」
実際には見ていないけど、聞いてはいる。
私は少しずつ、あの失われた影響により紛失した関係なのかとふと考えた。
《そうだ……伝説と同じくと伝えた方がわかりやすいか?》
「伝説?それって」
「初代のあの伝説ね!?」
シャルロッテさんはわくわくとしているのか、大精霊の方へとかなり詰め寄って鼻息荒く話しているようだ。
私はそれを眺めながらも、疲れとユリウスに支えられている安心感に包まれているからか、今頃になって目眩と魔力不足による疲れが襲って来て、ふらふらとしてきた。
意識が朦朧とする中、ユリウスの肩へと頭を寄せて、なんとか耐えていたがそれを感じ取ったのかユリウスが辛いなら寝て良いよと言ったのを最後に私は意識を手放した。
「ねぇ……可愛い事ね」
「……少しお前に似ている事が心配だ。」
「それは………だから仕方のない事でしょ。」
「だがな……」
どこか懐かしく、それでいて冷水の様に触ると冷たく感じる様な異質な気配がした感覚と声であり、目を開けようとしたが疲れているからか目を開けられない。
「……しかしながら、あのモノを復活させようなど。」
「そうねぇ……もうほとんど覚えているものなど居ないと私は認識していたのだけど?」
「……まだ残っていたならば抹消する様に仕向けるか?」
「そろそろ起きなさい。あなたはもう帰るべきよ?」
私はどうすれば良いのかわからなかった。
ここはどこだろうか?
というかこの人達は誰なのだろうか?
「俺達本体の考えだと理解できないからな。君に応じて下げている。番とはようやく合流できたか。さてはて、あいつは護れるだろうか?また失敗したら本当に凍結して我々の花園の方へ招こうか。」
「……今はまだ手を出さずに放っておきましょうよ。彼女が選んだ相手ですもの。諦めない心は評価しても良いわ。」
「……少しの間は取り上げるのを待とうか。また繰り返すのならば容赦しない。」
「そうよ、それにしましょ。あの方法は抹消した方が良いわ。狙われる原因になり得るでしょ?」
「そうだな……この方法は抹消しないとな。コードの実行を無効に認定する。アリサエール、来なさい」
「ハッ、どうしましょうか?」
「無効コードに認定にする。準備をしておけ。可哀想にフェティーラ、酷い事を。」
「断罪しますか?」
「いや、それは要らぬだろう。」
声の方へと目を開けたいが、まるで重い身体は自由にできない。
なにか私はその小さく聞こえた懐かしい声が遠くに感じて、意識を引っ張られた。
目を開けるとぐらぐらとする視界の中、心配そうな表情のユリウスの顔が目に入った。
気が付いたのか、顔を近づけた彼に少し唇を薄く重ねた事で彼の魔力が少しずつ入り込み、染み渡る。
唸る様に彼の声がして、離した彼の焦り声が少し変だなと感じた。
「心配した……うなされていた、それに君が……いや気のせいか」
「ねぇ……どうなったの?」
私はベッドから起きあがろうとしたが彼に止められる。
「もう少し寝ていて……無理は良く無い」
「う、うん。少しまだ眠いのよ」
目蓋は重く、目を開けられずに再び睡眠に引き寄せられた。
「無理はするなとあんなに言ったのだがな……」
そう言いながら私の手を握ってくれる彼の体温と感触や匂いに安心して私は意識を再び手放した。
土砂降りの中、墓を眺めている独りの孤独な少年の背中を私は眺めた。
誰だろうか。
ローブやフードでわからないけれど、彼の事が心配である。
「……様風邪をひかれます。お身体に……」
「……母様に会いたい」
私の背後にいるのか彼の保護者だろうか。
土砂降りの雨音が強く、名前だろうかなにかを言っていた声は聞こえなかった。
「……様も側できっと見守ってくださっておりますよ。」
私は近くに寄って眺めたいと思い、ずるずると重い身体で歩きながら少年へと手を伸ばしたが空を触る様に触れなかった。
「……そうかもな、少し……今ここにいた様な気がした。」
頭を撫でたいと触ると私は意識が引っ張られた。
目を開けると、さっぱりした気持ちで夢で何を見ていたがぼんやりしてて思い出せないけど、心の奥で燻っていたなにかがスッキリした気がしている。
「目覚めたか?」
「えぇ、なんか既視感があるわ。」
この感じは前にあった様な気がしてユリウスの方を見るとジト目で見られた。
「君が無茶しすぎなだけだ。」
「それは……申し訳ないわ。ユリウス、それでここは自宅よね?」
「そうだ、君が倒れた後ここに運んだ。向こうでも良かったが、君が中々起きないからな。それに……」
「ぇ、どうしたの?」
私はユリウスに謝った後彼がなにかジッと虚空を見ながら嫌そうな表情を浮かべた事に一抹の不安を感じた。
「あの後、使徒が来訪してな。あっちは今頃慌しいだろうからな。」
「使徒?」
「君が眠った後だったのだが、色々証拠の品が真っ白な砂へと変わってしまったんだ。そして同じ人だとは思えない……」
「人ではありませんからね……私はね。」
「チッ……来たか。」
「そういう所は似ているのが微笑ましいですね……」
急に現れたその声の方を向くと、確かに人とは思えないゆらりと、魔道具の光を浴びて、何色にも見えるオパールの様な色彩の瞳で、グリーンゴールドの様なまるで金属質の色彩の髪色は異質だ。
彼?の頭上には光輪が見えて、じっとを私を見ている彼は表情からはなにも読み取れないが、私を見る彼?は口を開いた。
「マスターからの伝言をお伝えします……彼女を失う様な事は二度と繰り返すな……以上になります。」
その言葉を伝えた瞬間、ユリウスの手が冷たいと彼の手が私の手へ触れた事で気がついた。
背筋に冷や水が触った様な気配のするあの不思議な感覚を思いだした。
「肝に銘じます……」
そう言った彼の苦いお茶を飲んだ後の様な表情は珍しく、そして彼は何者なのか私は不思議に思いながらもユリウスの手をそっと握った。
《ふむ、良いでしょう。悪き者は去り、場は清められた。》
シャルロッテさんは腕輪の収納から取り出した、泉の中に編んだ籠を入れた。
籠の中には今年の収穫された初穂だろう物が見えた。
他には美しい布地やその他肉類が入っていて、籠を泉の中に入れた途端光になり、消えていった。
其れを見たシャルロッテさんは頷いて、一歩下がり、腕輪から取り出した装身具を着けて舞を踊り始めた。
シャンシャンと腕や足が動く度に鳴り、静かな泉に響いていた。
シャルロッテさんがまるでクルクルと止まらない踊りを見ながら、私は美しいなと思いながら、ユリウスに支えられて見ていた。
シャルロッテさんが一礼すると、大精霊が腕を振るとキラキラと地面に降り注いだ。
《私はそろそろ長きに眠りにつきたいが……すまない、この泉の修理をお願いしたい。》
「修理ですか?あの周辺の遺跡群ですか?」
《そうだ、特に失われた水晶が特にな……アレは変えが効かない》
「水晶?どういう物ですか?」
《淡いグリーンのクリスタルがが据えられている古代の魔道具だ、アレは古くに……から譲られたもの。》
クリスタルの魔道具?
どこかで見た気がする。
それに誰からと言っていたのだろうか?精霊がなにかモゾモゾと言っていたが聞き取れない。
私はユリウスの方へ見ると、少しめんどくさそうな表情を浮かべており、私は思わずユリウスの横腹を肘で軽くこづいた。
謎のMr.モントオール主催の仮面舞踏会の景品として其れがあるかも知れないと言う事をユリウスから話した。
「だが、既に移動されている可能性も勿論あるが、まだ残っていたら探してみようと思う。」
「ありがとうございます。掛かった費用は家でお支払いいたします。」
Mr.モントオールはあの国では大人で知らない人が居ないというくらい有名な人らしい。
しかしながら、謎の夜会を開くが、実際の姿を見た者は少なく、姿や顔は隠されており、他の客に紛れているらしい。
「こちらの方でも探してみますわ。」
シャルロッテさんは頷きながら、そう言って悩んでいる様だ。
広範囲によってかなり教団に荒らされている事で、修復にかなり歳月かかるとか資金からの事だろうか。
私はふと大精霊が口惜しそうに私の方を見て言った。
《古来本来ならば、演奏を聴きたいがこの状況だと仕方ないし、其処は了承しよう。》
「演奏?」
大精霊の方へシャルロッテさんは初めて聞いたのですけどと、言いながら焦っている様だ。
「それって奉納祭みたいってことかしら?」
実際には見ていないけど、聞いてはいる。
私は少しずつ、あの失われた影響により紛失した関係なのかとふと考えた。
《そうだ……伝説と同じくと伝えた方がわかりやすいか?》
「伝説?それって」
「初代のあの伝説ね!?」
シャルロッテさんはわくわくとしているのか、大精霊の方へとかなり詰め寄って鼻息荒く話しているようだ。
私はそれを眺めながらも、疲れとユリウスに支えられている安心感に包まれているからか、今頃になって目眩と魔力不足による疲れが襲って来て、ふらふらとしてきた。
意識が朦朧とする中、ユリウスの肩へと頭を寄せて、なんとか耐えていたがそれを感じ取ったのかユリウスが辛いなら寝て良いよと言ったのを最後に私は意識を手放した。
「ねぇ……可愛い事ね」
「……少しお前に似ている事が心配だ。」
「それは………だから仕方のない事でしょ。」
「だがな……」
どこか懐かしく、それでいて冷水の様に触ると冷たく感じる様な異質な気配がした感覚と声であり、目を開けようとしたが疲れているからか目を開けられない。
「……しかしながら、あのモノを復活させようなど。」
「そうねぇ……もうほとんど覚えているものなど居ないと私は認識していたのだけど?」
「……まだ残っていたならば抹消する様に仕向けるか?」
「そろそろ起きなさい。あなたはもう帰るべきよ?」
私はどうすれば良いのかわからなかった。
ここはどこだろうか?
というかこの人達は誰なのだろうか?
「俺達本体の考えだと理解できないからな。君に応じて下げている。番とはようやく合流できたか。さてはて、あいつは護れるだろうか?また失敗したら本当に凍結して我々の花園の方へ招こうか。」
「……今はまだ手を出さずに放っておきましょうよ。彼女が選んだ相手ですもの。諦めない心は評価しても良いわ。」
「……少しの間は取り上げるのを待とうか。また繰り返すのならば容赦しない。」
「そうよ、それにしましょ。あの方法は抹消した方が良いわ。狙われる原因になり得るでしょ?」
「そうだな……この方法は抹消しないとな。コードの実行を無効に認定する。アリサエール、来なさい」
「ハッ、どうしましょうか?」
「無効コードに認定にする。準備をしておけ。可哀想にフェティーラ、酷い事を。」
「断罪しますか?」
「いや、それは要らぬだろう。」
声の方へと目を開けたいが、まるで重い身体は自由にできない。
なにか私はその小さく聞こえた懐かしい声が遠くに感じて、意識を引っ張られた。
目を開けるとぐらぐらとする視界の中、心配そうな表情のユリウスの顔が目に入った。
気が付いたのか、顔を近づけた彼に少し唇を薄く重ねた事で彼の魔力が少しずつ入り込み、染み渡る。
唸る様に彼の声がして、離した彼の焦り声が少し変だなと感じた。
「心配した……うなされていた、それに君が……いや気のせいか」
「ねぇ……どうなったの?」
私はベッドから起きあがろうとしたが彼に止められる。
「もう少し寝ていて……無理は良く無い」
「う、うん。少しまだ眠いのよ」
目蓋は重く、目を開けられずに再び睡眠に引き寄せられた。
「無理はするなとあんなに言ったのだがな……」
そう言いながら私の手を握ってくれる彼の体温と感触や匂いに安心して私は意識を再び手放した。
土砂降りの中、墓を眺めている独りの孤独な少年の背中を私は眺めた。
誰だろうか。
ローブやフードでわからないけれど、彼の事が心配である。
「……様風邪をひかれます。お身体に……」
「……母様に会いたい」
私の背後にいるのか彼の保護者だろうか。
土砂降りの雨音が強く、名前だろうかなにかを言っていた声は聞こえなかった。
「……様も側できっと見守ってくださっておりますよ。」
私は近くに寄って眺めたいと思い、ずるずると重い身体で歩きながら少年へと手を伸ばしたが空を触る様に触れなかった。
「……そうかもな、少し……今ここにいた様な気がした。」
頭を撫でたいと触ると私は意識が引っ張られた。
目を開けると、さっぱりした気持ちで夢で何を見ていたがぼんやりしてて思い出せないけど、心の奥で燻っていたなにかがスッキリした気がしている。
「目覚めたか?」
「えぇ、なんか既視感があるわ。」
この感じは前にあった様な気がしてユリウスの方を見るとジト目で見られた。
「君が無茶しすぎなだけだ。」
「それは……申し訳ないわ。ユリウス、それでここは自宅よね?」
「そうだ、君が倒れた後ここに運んだ。向こうでも良かったが、君が中々起きないからな。それに……」
「ぇ、どうしたの?」
私はユリウスに謝った後彼がなにかジッと虚空を見ながら嫌そうな表情を浮かべた事に一抹の不安を感じた。
「あの後、使徒が来訪してな。あっちは今頃慌しいだろうからな。」
「使徒?」
「君が眠った後だったのだが、色々証拠の品が真っ白な砂へと変わってしまったんだ。そして同じ人だとは思えない……」
「人ではありませんからね……私はね。」
「チッ……来たか。」
「そういう所は似ているのが微笑ましいですね……」
急に現れたその声の方を向くと、確かに人とは思えないゆらりと、魔道具の光を浴びて、何色にも見えるオパールの様な色彩の瞳で、グリーンゴールドの様なまるで金属質の色彩の髪色は異質だ。
彼?の頭上には光輪が見えて、じっとを私を見ている彼は表情からはなにも読み取れないが、私を見る彼?は口を開いた。
「マスターからの伝言をお伝えします……彼女を失う様な事は二度と繰り返すな……以上になります。」
その言葉を伝えた瞬間、ユリウスの手が冷たいと彼の手が私の手へ触れた事で気がついた。
背筋に冷や水が触った様な気配のするあの不思議な感覚を思いだした。
「肝に銘じます……」
そう言った彼の苦いお茶を飲んだ後の様な表情は珍しく、そして彼は何者なのか私は不思議に思いながらもユリウスの手をそっと握った。
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