人生前のめり♪

ナンシー

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115 日常(士道不覚悟)

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タカさんと晴和わたしが立ち寄ったアウトドアショップで、偶然、私の友人である美希とバッタリ出会いまして、はい。
美希は、スノーボード用のワックスを手に持っています。

美希「びっくり!めったに来ない場所で晴和はるなに会えるなんて(*^^*)」

ハル「あはは、私はチョクチョク来てるもん♪
 あ、今タカさんも一緒なんだけど、話する時間ある?」

美希「え、いいの?ご挨拶したい!
 わぁ…緊張する💦」

そんな風に言っているものの、美希の目は笑っている。恥ずかしいのは私の方ですよ~💦💦
それでも、ここで出会えたのは、タカさんから香山さんの話をしてもらう丁度いい機会です、はい♪

レジを済ませた美希を待ってから、タカさんを探す…と、横顔を見つけました。
近づきながら声を掛ける…あれ?誰か一緒にいるような…。

ハル「あ、タカさん!美希と偶然会いまして…あ…お友達ですか?」

タカ「美希さん?」

タカさんがハルの方に振り返るのと同時に、彼の後ろにいた男性もこちらを見た。
美希が私の後ろから挨拶をする。

美希「こんにちは、初めまして。」

初めて見る、背の高いその男性は、美希がタカさんに挨拶するのを、じっと見つめたまま動かない…動かない………
( ゚д゚)ハッ! もしかして…香山さん?



~~~~~



ハルさんが、僕の方を見てにっこり笑った(*^^*)
僕もにっこり笑い返した(•᎑•)
『タカさん、ここはさり気な~く、自然な感じにですよ♪』
『鋭意努力します!』
アイ・コンタクトである。

定型文のような『はじめまして』の挨拶を交わし、そこに香山を巻き込んだまでは良かった。隙を与えず、
「件の、スキー場で会ったのは彼(彼女)だ」と、畳み掛けるように紹介する。
美希さんが、目を輝かし香山を見上げたあと、慌てて頭を下げた。

美希「あ、あの時はお礼も言わず、大変失礼しました。本当にありがとうございました。」

香山「いえ、大したことはしていないので。」

美希「このあと、お茶でもいかがですか?もしお時間があれば、ですけれど…。あ、この前のお礼と言いますか…」

固まっている!と思った香山だが、スラリと返事をした。仕事をするときのように、スイッチを切り替えたのか?(๑òωó๑)💦

香山「本当に大したことはしていないので、礼など不要です。」

取り付く島もないのか…と、僕とハルさんは顔を見合わせる(´・︿・`)(·︿· `)

香山「…ですが、コーヒーでも、ご一緒させてください。よろしいでしょうか?」

美希「はい!喜んで!」

僕・ハル「「‼」」

どうした、香山!(@_@)
仕事以外では、同僚や部下でも女性と話をするのは苦手で黙ってスルーなのに。
進んでお茶の誘いにノルなんて、長い付き合いの僕もビックリだ。


買い物を済ませ、4人で近くのコーヒーショップへ。
僕とハルさんはちょっぴり遠慮したのだけれど、美希さんにも香山にも他意はないようで、普通に誘われて…ごく当たり前に4人で移動した。

改めて、軽く自己紹介。
その後の会話はスキーやスノボの話や、『命!』というポーズや掛け声の謎についての話(この話のときはハルさんのセンスに皆で笑わずにいられなかった)、僕とハルさんの今日のクライミングの話、好きな飲み物の話などしながら、ゆっくりした時間が流れた。

香山は、無表情に近い顔で、口数は少なかったけれど、笑顔で話す美希さんやハルさんから目を離すことなく、「はい、私は…」などとハキハキ相槌や返事をしていた。

あぁ、分かった。この香山の態度はただの仕事用じゃない。「上司対応バージョン」だ。
きちんと報告したり、相手(特に命令を告げる口元)を見たり、中隊長や大隊長と話す時の香山に近い…。
彼なりの、前向きな対応だ…(・・、)僕、ホロリ。

美希さんは、ハルさんから聞いていた通り、『おとなしめな性格で聞き上手』なのだろう。
僕やハルさんの話をニコニコと聞き、知らないことがあると控えめにだが、話の腰を折らないよう質問を挟む。
愛想のない四角四面な香山の態度を気にすることもなく、やはりニコニコしていた。


~~~


僕「じゃあ、またね。」

香山「お疲れ様でした。」

ハル「ありがとうございました。」

美希「楽しかったです、ありがとうございました。」

そんな風にして解散したその夜、隊舎で、僕は香山に話しかけた。

僕「今日の香山は、意外だったよ。いや、良い意味で前向きというか…」

香山はジロッと僕を見た。

香山「俺は一度逃げた。スキー場では不意討ちだったが…敵前逃亡したんだ。士道不覚悟とは、あのことだ。」

僕「うん?」

香山「もう二度と逃げない。そして今日、俺はやりきった。」

僕「う、うん。」

香山「大丈夫。敵は逃がさん。」

僕「え?!敵って美希さん?」

ニヤリと笑う香山…え?どういうこと?
美希さんのこと、上司ですらなくて敵と見なしてたの?だから目を逸らさなかったとか?
さすがは偵察隊スカウト٩(๑>∀<๑)۶…って、そうじゃない!
何故かあさっての方向に振り切れてるよ、香山!

僕はハルさんになんと報告すればいいのか?『偵察隊スカウトの香山がマジで殺る気ヤルキだから美希さんを逃がして!』とか?
いや、やる気ならいいのか?

香山の考えがわからず、オロオロしていたら、そこに須賀さんと杦本が顔を出した。

須賀「お?どうした香山。ご機嫌だな♪」

杦本「…そんなに浮かれて、良いことでもあったのか?」

工エエェェ(´д`)ェェエエ工?!

そ、そうなの?香山、浮かれてるだけ?
僕はその場に突っ伏した。
僕「長い付き合いだと思っていたけれど、まだまだだなぁ…。」

これ以降、香山に仕事以外で話のできる女性の友人ができたのは間違いない…はずだ。
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