16 / 17
第一章
016 未来永劫─②
しおりを挟む
女性ははっと顔を上げた。目には涙が溜まり、少しでも動いたら流れてきそうだ。
「本当に、本当に、ごめんなさい。彼方君さえよければ、弁護士を立てて……」
「示談もしたくないんです。ある意味、払ってしまえばそちらはすべてを解決したと新しい人生を歩めますが、俺はそうじゃない。一生あなたたちには苦しんでほしいと願います」
「…………責任を持って、学生寮を出ることになったの。大学はこれからも通うけれど、彼方君がいる学科へは近づかないようにと約束させる」
「同じ大学なんで、会ってしまう可能性があります。でも他人のふりを貫いて下さい」
「絶対に、絶対に約束させます」
母親が謝ってばかりで、海人はこちらを見向きもしない。
「彼方君、あのね。なんの慰めにもならない言葉だけど……。うちの海人はね、彼方君のことを羨ましいって話したの。中学校を卒業したときの話。勉強もできてスポーツ万能で、黙っていても女の子たちが集まるようなあなたが。どうやって敵わないって」
「確かに、何の慰めにもならない言葉です。俺は自分のことをそんな風に思ったことは一度もありません」
最後に、海人の母親は深々と頭を下げ、息子の後を追った。
結局、海人とは一言も話さないままの別れとなった。
「待たせたな」
「待ってないよ。あれで良かったんだね」
「いきなりのことで頭が真っ白になったけど、思いつく方法で自分が後悔しない道を進んだ気がする」
「人を羨ましいと思う気持ちって、ときには攻撃的になる場合もある。とても怖い。最初から最後まで九条君のことはさっぱり理解できなかった」
「ああいう人種もいるってことだな。零もあいつに壁ドンしたり、俺には理解できない行動をとったりしてるよ」
「あはは。あれはちょっとこう、さまざまな話を冷静かつ温厚に話していただけだよ」
零の笑顔が怖かった。
海によって潮風の香りは違い、懐かしさと痛みを胸に秘めながら船に揺られている。
大学四年の卒業前──母から一本のメールが入った。
──一度、戻っておいで。
会いたいでもなく、戻っておいで。どんな意図が込められているのか考えても考えても答えは出なかった。
「懐かしいねえ」
零の呑気さを見ているといくらか心が和み、手を握り返した。
零には「ふたりで母に会ってほしい」と告げると、零は笑って頷いた。
彼もまた覚悟を受け持ってくれたのだ。罵倒される可能性が高いのに、ふたりで人生を歩むことを望み、それを証明しようとしている。砂糖をまぶした甘ったるさはないが、苦くても一緒に噛みしめてくれる。
スーツケースを下ろして島に降り立った。出迎えはない。遠くで子供の笑い声がする。そんな時代も、彼方自身にもあった。
零が率先して歩いていくので、彼方は後ろをついていく。
「家の場所、判るのか?」
「来るの三回目だよ? さすがにね」
「そっか。高校生のときも来てくれたんだったな」
「彼方がいなくてがっかりした。彼方のお母さんの料理も楽しみ」
「ああ。季節外れだけど、素麺を用意しておくってさ」
「あはは、僕大好きだよ」
進むたびに足が重くなっていく。対照的に、零は軽い。
懐かしい実家だ。庭は何かの芽が出ている。
零に背中を押され、インターホンを押した。
『はい』
『えーと……、俺です』
『どうぞ』
懐かしい母の声だ。勇気を振り絞り、ドアを開けた。
「………………どうも」
「おかえりなさい。零君も久しぶりね。さあ、どうぞ上がって」
「お邪魔します。お世話になります」
数年前と比べると、母は痩せこけているように見えた。笑顔を作っているが、痛々しい。後ろめたいものがあるから、そう見えているのかもしれない。
「部屋に零君の布団も一緒にあるから」
「ああ……ありがとう」
父の靴もある。弟の靴はない。
「お父さん、待ってるわよ。部屋へ行く前に顔を出して」
「行こ?」
立ち止まっていると、零に腕を引っ張られた。
リビングには、父らしき後ろ姿がある。白髪は増え、背中が少し丸くなった。
「ただいま」
「ああ、おかえり」
「お邪魔します。よろしくお願いします」
零は丁寧に頭を下げる。母に対する穏やかさとは異なり、ほんの少しだけ顔が強張ったように見えた。
「零君も、ゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます」
自室は何も変わっていなかった。直前まで空気を入れ替えてくれたのだろう。潮の香りがする。
「とりあえず、第一歩だね。弟君は?」
「さあ? 出かけてるんじゃないのか?」
下から母にご飯の時間だと呼ばれた。
彼方は鞄から小さな箱を取り出す。懐かしい、零と繋がり続けた珊瑚だ。
「これ、つけてもいいか?」
「持ってきたの? というか、持ってたんだ……」
中学生のときに交換した珊瑚の指輪。
「捨てるような男に見えるか? 命よりも大切なものだ」
「僕も持ってくればよかった」
「零…………」
あの頃より大きくなった身体を抱き寄せた。彼もまた成長し、変わっていく。けれど変わらないものも確かにあった。
「行こう」
テーブルには煮麺と寿司が用意されていた。
「たくさん食べてね。ビールは飲める?」
「いえ、お酒は……」
「それじゃあお茶にしましょうか。彼方も飲まない?」
「俺もお茶がいい」
席に座ると、父の視線は左手の薬指へ向いた。居心地が悪そうに目を泳がせる。
質問は母が主にして、それを彼方と零が答えた。
大学生活、寮、アルバイト。極限まで言わないのは、将来のことだ。彼方はあえてパンドラの箱を開けた。
「母さん、父さん。聞いてほしいことがある」
彼方はひと呼吸おいた。
「卒業したら、長崎で就職することになった」
「長崎? どうして?」
「去年の夏休みに、零の家へ行ったんだ。場所は長崎なんだけど、そこでイルカ島へ行って、いろんな刺激を受けた。もしかしたらこれからやりたいこともたくさんあるかもしれない。道が変わるかもしれない。でも今は長崎でやっていく気持ちが強い。零と一緒に」
「零君の仕事は?」
「僕はIT関係の仕事です。パソコンがあればどこでも仕事ができます。僕は僕の意思で、彼方君と長崎で暮らします」
「……就職が決まったのね。おめでとう」
しばらく沈黙が続いた。
先に口を開いたのは父だった。
「人と違う道を歩む覚悟はできているのか?」
「今までも犠牲は多かった。俺をひとりだけ酸素のない世界へ放り出して、周りはごく一般的な道を進む。でも神奈川へ行って判ったんだ。俺は思っているほど独りじゃなかった。味方になってくれる友人の方が、むしろ多かった。島での世界はちっぽけで、俺にはむしろここが歪な世界に見える」
「そうね。こんなに小さな島だもの。母さんは外の世界を知らない」
「俺はもっと知りたいし、零と歩む覚悟はとっくにできてる。正直言うと、勘当覚悟でここへ帰ってきた」
「本当に、本当に、ごめんなさい。彼方君さえよければ、弁護士を立てて……」
「示談もしたくないんです。ある意味、払ってしまえばそちらはすべてを解決したと新しい人生を歩めますが、俺はそうじゃない。一生あなたたちには苦しんでほしいと願います」
「…………責任を持って、学生寮を出ることになったの。大学はこれからも通うけれど、彼方君がいる学科へは近づかないようにと約束させる」
「同じ大学なんで、会ってしまう可能性があります。でも他人のふりを貫いて下さい」
「絶対に、絶対に約束させます」
母親が謝ってばかりで、海人はこちらを見向きもしない。
「彼方君、あのね。なんの慰めにもならない言葉だけど……。うちの海人はね、彼方君のことを羨ましいって話したの。中学校を卒業したときの話。勉強もできてスポーツ万能で、黙っていても女の子たちが集まるようなあなたが。どうやって敵わないって」
「確かに、何の慰めにもならない言葉です。俺は自分のことをそんな風に思ったことは一度もありません」
最後に、海人の母親は深々と頭を下げ、息子の後を追った。
結局、海人とは一言も話さないままの別れとなった。
「待たせたな」
「待ってないよ。あれで良かったんだね」
「いきなりのことで頭が真っ白になったけど、思いつく方法で自分が後悔しない道を進んだ気がする」
「人を羨ましいと思う気持ちって、ときには攻撃的になる場合もある。とても怖い。最初から最後まで九条君のことはさっぱり理解できなかった」
「ああいう人種もいるってことだな。零もあいつに壁ドンしたり、俺には理解できない行動をとったりしてるよ」
「あはは。あれはちょっとこう、さまざまな話を冷静かつ温厚に話していただけだよ」
零の笑顔が怖かった。
海によって潮風の香りは違い、懐かしさと痛みを胸に秘めながら船に揺られている。
大学四年の卒業前──母から一本のメールが入った。
──一度、戻っておいで。
会いたいでもなく、戻っておいで。どんな意図が込められているのか考えても考えても答えは出なかった。
「懐かしいねえ」
零の呑気さを見ているといくらか心が和み、手を握り返した。
零には「ふたりで母に会ってほしい」と告げると、零は笑って頷いた。
彼もまた覚悟を受け持ってくれたのだ。罵倒される可能性が高いのに、ふたりで人生を歩むことを望み、それを証明しようとしている。砂糖をまぶした甘ったるさはないが、苦くても一緒に噛みしめてくれる。
スーツケースを下ろして島に降り立った。出迎えはない。遠くで子供の笑い声がする。そんな時代も、彼方自身にもあった。
零が率先して歩いていくので、彼方は後ろをついていく。
「家の場所、判るのか?」
「来るの三回目だよ? さすがにね」
「そっか。高校生のときも来てくれたんだったな」
「彼方がいなくてがっかりした。彼方のお母さんの料理も楽しみ」
「ああ。季節外れだけど、素麺を用意しておくってさ」
「あはは、僕大好きだよ」
進むたびに足が重くなっていく。対照的に、零は軽い。
懐かしい実家だ。庭は何かの芽が出ている。
零に背中を押され、インターホンを押した。
『はい』
『えーと……、俺です』
『どうぞ』
懐かしい母の声だ。勇気を振り絞り、ドアを開けた。
「………………どうも」
「おかえりなさい。零君も久しぶりね。さあ、どうぞ上がって」
「お邪魔します。お世話になります」
数年前と比べると、母は痩せこけているように見えた。笑顔を作っているが、痛々しい。後ろめたいものがあるから、そう見えているのかもしれない。
「部屋に零君の布団も一緒にあるから」
「ああ……ありがとう」
父の靴もある。弟の靴はない。
「お父さん、待ってるわよ。部屋へ行く前に顔を出して」
「行こ?」
立ち止まっていると、零に腕を引っ張られた。
リビングには、父らしき後ろ姿がある。白髪は増え、背中が少し丸くなった。
「ただいま」
「ああ、おかえり」
「お邪魔します。よろしくお願いします」
零は丁寧に頭を下げる。母に対する穏やかさとは異なり、ほんの少しだけ顔が強張ったように見えた。
「零君も、ゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます」
自室は何も変わっていなかった。直前まで空気を入れ替えてくれたのだろう。潮の香りがする。
「とりあえず、第一歩だね。弟君は?」
「さあ? 出かけてるんじゃないのか?」
下から母にご飯の時間だと呼ばれた。
彼方は鞄から小さな箱を取り出す。懐かしい、零と繋がり続けた珊瑚だ。
「これ、つけてもいいか?」
「持ってきたの? というか、持ってたんだ……」
中学生のときに交換した珊瑚の指輪。
「捨てるような男に見えるか? 命よりも大切なものだ」
「僕も持ってくればよかった」
「零…………」
あの頃より大きくなった身体を抱き寄せた。彼もまた成長し、変わっていく。けれど変わらないものも確かにあった。
「行こう」
テーブルには煮麺と寿司が用意されていた。
「たくさん食べてね。ビールは飲める?」
「いえ、お酒は……」
「それじゃあお茶にしましょうか。彼方も飲まない?」
「俺もお茶がいい」
席に座ると、父の視線は左手の薬指へ向いた。居心地が悪そうに目を泳がせる。
質問は母が主にして、それを彼方と零が答えた。
大学生活、寮、アルバイト。極限まで言わないのは、将来のことだ。彼方はあえてパンドラの箱を開けた。
「母さん、父さん。聞いてほしいことがある」
彼方はひと呼吸おいた。
「卒業したら、長崎で就職することになった」
「長崎? どうして?」
「去年の夏休みに、零の家へ行ったんだ。場所は長崎なんだけど、そこでイルカ島へ行って、いろんな刺激を受けた。もしかしたらこれからやりたいこともたくさんあるかもしれない。道が変わるかもしれない。でも今は長崎でやっていく気持ちが強い。零と一緒に」
「零君の仕事は?」
「僕はIT関係の仕事です。パソコンがあればどこでも仕事ができます。僕は僕の意思で、彼方君と長崎で暮らします」
「……就職が決まったのね。おめでとう」
しばらく沈黙が続いた。
先に口を開いたのは父だった。
「人と違う道を歩む覚悟はできているのか?」
「今までも犠牲は多かった。俺をひとりだけ酸素のない世界へ放り出して、周りはごく一般的な道を進む。でも神奈川へ行って判ったんだ。俺は思っているほど独りじゃなかった。味方になってくれる友人の方が、むしろ多かった。島での世界はちっぽけで、俺にはむしろここが歪な世界に見える」
「そうね。こんなに小さな島だもの。母さんは外の世界を知らない」
「俺はもっと知りたいし、零と歩む覚悟はとっくにできてる。正直言うと、勘当覚悟でここへ帰ってきた」
20
あなたにおすすめの小説
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
龍の無垢、狼の執心~跡取り美少年は侠客の愛を知らない〜
中岡 始
BL
「辰巳会の次期跡取りは、俺の息子――辰巳悠真や」
大阪を拠点とする巨大極道組織・辰巳会。その跡取りとして名を告げられたのは、一見するとただの天然ボンボンにしか見えない、超絶美貌の若き御曹司だった。
しかも、現役大学生である。
「え、あの子で大丈夫なんか……?」
幹部たちの不安をよそに、悠真は「ふわふわ天然」な言動を繰り返しながらも、確実に辰巳会を掌握していく。
――誰もが気づかないうちに。
専属護衛として選ばれたのは、寡黙な武闘派No.1・久我陣。
「命に代えても、お守りします」
そう誓った陣だったが、悠真の"ただの跡取り"とは思えない鋭さに次第に気づき始める。
そして辰巳会の跡目争いが激化する中、敵対組織・六波羅会が悠真の命を狙い、抗争の火種が燻り始める――
「僕、舐められるの得意やねん」
敵の思惑をすべて見透かし、逆に追い詰める悠真の冷徹な手腕。
その圧倒的な"跡取り"としての覚醒を、誰よりも近くで見届けた陣は、次第に自分の心が揺れ動くのを感じていた。
それは忠誠か、それとも――
そして、悠真自身もまた「陣の存在が自分にとって何なのか」を考え始める。
「僕、陣さんおらんと困る。それって、好きってことちゃう?」
最強の天然跡取り × 一途な忠誠心を貫く武闘派護衛。
極道の世界で交差する、戦いと策謀、そして"特別"な感情。
これは、跡取りが"覚醒"し、そして"恋を知る"物語。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる