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第一章
015 未来永劫─①
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夏は過ぎ、あっという間に次の夏を連れて、彼方は大学三年へと上がった。
この時期になれば、就活も視野に入れて動かなければならない。就職のほかに、大学院へ行きもっと海洋について学ぶ道もある。
「彼方は残る? 就職?」
「就職は希望してるけど、いきなり水族館で就職は厳しい。道がない」
「倍率も高いらしいもんね。ほかで働きながら水族館の募集中があったら面接を受けて、そっちの仕事に行く方向がいいんじゃないの?」
「だな。零は?」
「パソコンがあればなんとかなる。どこでもついていくから、心配しなくていいよ。就職決めたら、早めに住むところ決めないとね」
零に悩みはない。とても心強かった。
「……なんか、お酒臭くない?」
「外からか?」
二階からどすん、と物音がし、続けて笑い声も聞こえた。
次々に生徒が出てきたのは、海人の部屋からだった。
「よお、お前たちも飲む?」
生徒の一人は片手にはビール缶を持っていて、ふたりは顔をしかめながら、
「何やってんだよ。そもそも学生寮ではアルコール禁止だ」
「今日、秋子さんいねえし」
「そんなの理由にならない」
彼方が立ち上がると、彼はたじろいで一歩後ろへ下がった。
階段から因縁のある相手が降りてきた。顔は赤く膨れ、足取りが異常じみている。一本のビールだけでああなるとは思えない。
ほかの生徒たちは不穏な空気を察して、口を閉ざしたままだ。
「彼方、部屋へ戻ろう」
僕らには関係ない、と零は微笑み、椅子から立ち上がった。
「そいつと部屋でやりまくってんだろ」
血の気が引いた。胸に圧迫感があり、呼吸を何度繰り返しても足りない。
零は関係ない──その一言を叫べばいいだけなのに、それすら声を奪われていく。
「知ってるか? そいつらデキてるんだぜ。倉本は中学の頃、男とキスして異常者だって精神科の医者まで呼ばれてるんだよ」
げらげらとあざ笑う声は、蓋をした心には届かなかった。
何もかも終わりだ──拳を作ったとき、
「お前、サイッテーだな」
傍観していた瀬戸は濁りきった太い声で言い放った。
信じられないものを見ている──彼方は強い衝撃で、言葉も出なかった。
「人の趣味趣向は本人が言うならともかく、他人が言うべきことじゃねえんだよ」
「九条ってアホだけどそこまでアホとは思わなかったわ」
「人としてやべえよ、お前」
「つーか倉本の言うとおり、寮はアルコール禁止だぞ。秋子さんにチクるから覚悟しておけよ」
瀬戸は彼方の前に来て、肩に手を置いた。
「お前はもう寝ろ。何も考えるな」
「ありがとう。俺は大丈夫だ。じゃあ、おやすみ」
瀬戸に感謝を伝え、零と目配せして食堂を出た。
途中で真っ赤だった顔が真っ青になった海人の横を通るが、彼方も零もいない者として扱った。
部屋の前まで来ると、
「おやすみ」
「うん。また明日ね」
普段と同じの零に拍子抜けしながらも、自室へと入った。
鏡を見るが、映る顔はとくに何も変わっていない。いつもの夜で、いつもの顔だ。
零もおじさんも言っていた。中学のときと同じようにはならないと。大人になると、見えなかった世界が見え、知らない世界に寛容さが生まれる。
「年齢って、年だけじゃないんだな」
ここでは皆が庇ってくれた。零も瀬戸も、ほとんど話したことのない人も。
「うっ…………、……っ…………」
今になって涙が溢れる。これは安堵の涙だ。そしてありがとうの涙。
ベッドに置いてある端末に、零からメールが届いていた。
──ね? 昔のようにはならないでしょ?
──ああ、本当だな。いつも側にいてくれて、ありがとう。
──どういたしまして。
翌日、秋子は戻ってきた。昨日のアルコールの件は口にしないが、いつもよりもまとう空気がぴりついている。食堂内も、少しだけビールの匂いがした。
「おはよう。今日はコーンスープだよ。僕、大好き」
頭に寝癖をつけたまま、零はのほほんと目尻を下げる。
「ああ、俺も好きだ。莉緒さんが出してくれたコーンスープを思い出す。いつも朝食に出てたよな」
「うん。オニオンスープとか、コーンスープとかね。」
零はいつもと変わらない。昨日の出来事は記憶からなくなったわけではないのに、ほかの生徒も同じだ。ちらちらとこちらを気にする者もいるが、同情とも差別とも違う。目が合うと、いつもより少し大きめの声で「おはよう」が飛んでくる。彼方も普段より明るめの声で答えた。単純にこれは「優しさ」だ。真夏に暖かい空気が流れている。
おかしな点をあげるとすれば、朝食をとるメンバーの中に九条海人がいないこと。朝食を抜かない彼からすれば珍しいことだ。
朝食を終えたあとは午前中からアルバイトだ。昨年と同様にプールの監視員である。
簡単なサンドイッチを作って寮を出た。毎年、太陽はアスファルトと人間含む生物を執拗に痛めつけてくる。星になる前に作ったアイスティーを飲んだ。ほんのりと茶葉の味を感じた気がした。
──迎えに行ってもいい?
アルバイトが終わって端末を覗くと、メールが一通入っていた。零からだ。迎えに行ってもいいか、という内容だった。
「もしもし? 仕事中だった。今、どこ?」
『プール前のカフェだよ。すぐ着くから』
急いで着替えを済ませて更衣室から出ると、同じ大学生のアルバイトがお疲れ様と声をかけてきた。
「急ぎか?」
「人を待たせてるんだ」
「彼女?」
「恋人」
「へあ!?」
同僚は変な声を出した。遠くで羨ましいなど聞こえてくるが、それどころではない。
「っ…………零!」
零は階段に座り、棒アイスを食べている。
「お疲れ様。食べる?」
「ああ……ありがとう」
零と同じ、真っ白な棒アイスだ。食べながら歩いていくと、少しだけ塩味を感じた気がした。
「…………これ、塩入ってる?」
「え? もしかして味判る?」
「少しだけしょっぱさを感じた気がしたんだけど」
「すごいすごい! 塩ミルクアイスだよ。徐々に治ってきてるねえ」
「お前のおかげだ」
唐突に零が止まった。彼の視線の先を追うと、そこには九条海人がいた。
「九条…………」
独り言のような呼びかけに、海人は振り返る。同時に隣にいた女性もこちらを見た。
記憶がある。彼女は海人の母親だ。
母親は彼方を見て、信じられないものを見るかのように驚愕している。
「彼方君よね? 随分大きくなって……びっくりしたわ」
「どうも」
「このたびは……うちの海人が迷惑をかけてごめんなさい」
「学生寮でお酒を飲んだことですか?」
「それもあるけども……ええと……ごめんね。驚きすぎちゃってうまく話せないわ。あなたに暴言を吐いたってことも他の生徒さんから聞いて……」
内容が内容なだけに、うまく説明できないのだろう。彼女は手振りを交えて、言葉を選んでいる。
「謝罪は結構です。もし本人から謝られても、俺は簡単に許すなんてできませんから。今回の件だけじゃなく、中学生の頃から続いているんです。俺と海人は、悪い意味でずっと繋がり続けてきた。断ち切りたいとも思うし、切ってしまえばなかったことにされそうで、それはそれで俺が苦しむと思います」
この時期になれば、就活も視野に入れて動かなければならない。就職のほかに、大学院へ行きもっと海洋について学ぶ道もある。
「彼方は残る? 就職?」
「就職は希望してるけど、いきなり水族館で就職は厳しい。道がない」
「倍率も高いらしいもんね。ほかで働きながら水族館の募集中があったら面接を受けて、そっちの仕事に行く方向がいいんじゃないの?」
「だな。零は?」
「パソコンがあればなんとかなる。どこでもついていくから、心配しなくていいよ。就職決めたら、早めに住むところ決めないとね」
零に悩みはない。とても心強かった。
「……なんか、お酒臭くない?」
「外からか?」
二階からどすん、と物音がし、続けて笑い声も聞こえた。
次々に生徒が出てきたのは、海人の部屋からだった。
「よお、お前たちも飲む?」
生徒の一人は片手にはビール缶を持っていて、ふたりは顔をしかめながら、
「何やってんだよ。そもそも学生寮ではアルコール禁止だ」
「今日、秋子さんいねえし」
「そんなの理由にならない」
彼方が立ち上がると、彼はたじろいで一歩後ろへ下がった。
階段から因縁のある相手が降りてきた。顔は赤く膨れ、足取りが異常じみている。一本のビールだけでああなるとは思えない。
ほかの生徒たちは不穏な空気を察して、口を閉ざしたままだ。
「彼方、部屋へ戻ろう」
僕らには関係ない、と零は微笑み、椅子から立ち上がった。
「そいつと部屋でやりまくってんだろ」
血の気が引いた。胸に圧迫感があり、呼吸を何度繰り返しても足りない。
零は関係ない──その一言を叫べばいいだけなのに、それすら声を奪われていく。
「知ってるか? そいつらデキてるんだぜ。倉本は中学の頃、男とキスして異常者だって精神科の医者まで呼ばれてるんだよ」
げらげらとあざ笑う声は、蓋をした心には届かなかった。
何もかも終わりだ──拳を作ったとき、
「お前、サイッテーだな」
傍観していた瀬戸は濁りきった太い声で言い放った。
信じられないものを見ている──彼方は強い衝撃で、言葉も出なかった。
「人の趣味趣向は本人が言うならともかく、他人が言うべきことじゃねえんだよ」
「九条ってアホだけどそこまでアホとは思わなかったわ」
「人としてやべえよ、お前」
「つーか倉本の言うとおり、寮はアルコール禁止だぞ。秋子さんにチクるから覚悟しておけよ」
瀬戸は彼方の前に来て、肩に手を置いた。
「お前はもう寝ろ。何も考えるな」
「ありがとう。俺は大丈夫だ。じゃあ、おやすみ」
瀬戸に感謝を伝え、零と目配せして食堂を出た。
途中で真っ赤だった顔が真っ青になった海人の横を通るが、彼方も零もいない者として扱った。
部屋の前まで来ると、
「おやすみ」
「うん。また明日ね」
普段と同じの零に拍子抜けしながらも、自室へと入った。
鏡を見るが、映る顔はとくに何も変わっていない。いつもの夜で、いつもの顔だ。
零もおじさんも言っていた。中学のときと同じようにはならないと。大人になると、見えなかった世界が見え、知らない世界に寛容さが生まれる。
「年齢って、年だけじゃないんだな」
ここでは皆が庇ってくれた。零も瀬戸も、ほとんど話したことのない人も。
「うっ…………、……っ…………」
今になって涙が溢れる。これは安堵の涙だ。そしてありがとうの涙。
ベッドに置いてある端末に、零からメールが届いていた。
──ね? 昔のようにはならないでしょ?
──ああ、本当だな。いつも側にいてくれて、ありがとう。
──どういたしまして。
翌日、秋子は戻ってきた。昨日のアルコールの件は口にしないが、いつもよりもまとう空気がぴりついている。食堂内も、少しだけビールの匂いがした。
「おはよう。今日はコーンスープだよ。僕、大好き」
頭に寝癖をつけたまま、零はのほほんと目尻を下げる。
「ああ、俺も好きだ。莉緒さんが出してくれたコーンスープを思い出す。いつも朝食に出てたよな」
「うん。オニオンスープとか、コーンスープとかね。」
零はいつもと変わらない。昨日の出来事は記憶からなくなったわけではないのに、ほかの生徒も同じだ。ちらちらとこちらを気にする者もいるが、同情とも差別とも違う。目が合うと、いつもより少し大きめの声で「おはよう」が飛んでくる。彼方も普段より明るめの声で答えた。単純にこれは「優しさ」だ。真夏に暖かい空気が流れている。
おかしな点をあげるとすれば、朝食をとるメンバーの中に九条海人がいないこと。朝食を抜かない彼からすれば珍しいことだ。
朝食を終えたあとは午前中からアルバイトだ。昨年と同様にプールの監視員である。
簡単なサンドイッチを作って寮を出た。毎年、太陽はアスファルトと人間含む生物を執拗に痛めつけてくる。星になる前に作ったアイスティーを飲んだ。ほんのりと茶葉の味を感じた気がした。
──迎えに行ってもいい?
アルバイトが終わって端末を覗くと、メールが一通入っていた。零からだ。迎えに行ってもいいか、という内容だった。
「もしもし? 仕事中だった。今、どこ?」
『プール前のカフェだよ。すぐ着くから』
急いで着替えを済ませて更衣室から出ると、同じ大学生のアルバイトがお疲れ様と声をかけてきた。
「急ぎか?」
「人を待たせてるんだ」
「彼女?」
「恋人」
「へあ!?」
同僚は変な声を出した。遠くで羨ましいなど聞こえてくるが、それどころではない。
「っ…………零!」
零は階段に座り、棒アイスを食べている。
「お疲れ様。食べる?」
「ああ……ありがとう」
零と同じ、真っ白な棒アイスだ。食べながら歩いていくと、少しだけ塩味を感じた気がした。
「…………これ、塩入ってる?」
「え? もしかして味判る?」
「少しだけしょっぱさを感じた気がしたんだけど」
「すごいすごい! 塩ミルクアイスだよ。徐々に治ってきてるねえ」
「お前のおかげだ」
唐突に零が止まった。彼の視線の先を追うと、そこには九条海人がいた。
「九条…………」
独り言のような呼びかけに、海人は振り返る。同時に隣にいた女性もこちらを見た。
記憶がある。彼女は海人の母親だ。
母親は彼方を見て、信じられないものを見るかのように驚愕している。
「彼方君よね? 随分大きくなって……びっくりしたわ」
「どうも」
「このたびは……うちの海人が迷惑をかけてごめんなさい」
「学生寮でお酒を飲んだことですか?」
「それもあるけども……ええと……ごめんね。驚きすぎちゃってうまく話せないわ。あなたに暴言を吐いたってことも他の生徒さんから聞いて……」
内容が内容なだけに、うまく説明できないのだろう。彼女は手振りを交えて、言葉を選んでいる。
「謝罪は結構です。もし本人から謝られても、俺は簡単に許すなんてできませんから。今回の件だけじゃなく、中学生の頃から続いているんです。俺と海人は、悪い意味でずっと繋がり続けてきた。断ち切りたいとも思うし、切ってしまえばなかったことにされそうで、それはそれで俺が苦しむと思います」
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