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第86話 神秘のスカート
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地下八階層で俺たちが目にしたモンスターは剣を持った骸骨だった。
スケルトンというそのモンスターは俺に気付くとがしゃがしゃと音を立て近付いてくる。
ククリの言っていた通り動きはのろい。
剣を振り上げてくるが胴体ががら空きだった。
俺は妖刀ふたつなぎでスケルトンをなぎ払った。
骨が飛び散り本体ががしゃんとその場に崩れる。
そして持っていた剣ごと消滅した。
「うん、一対一ならまず負けないな」
「囲まれないように注意すれば平気ですね」
剣こそ怖いがそれさえ気をつければ敵ではない。
俺はフロアを探索しながら着実にスケルトンを倒していった。
二十分ほどかけフロアを歩き回った結果、防御力+2の安全靴とたいまつと防御力+10の神秘のスカートを手に入れた。
裸足だった俺はもちろん安全靴は履いたが神秘のスカートをどうするべきか悩んでいた。
「防御力+10ですよ。せっかく防具が手に入ったのになんで履かないんですか?」
ククリが訊いてくるが、
「女物だろこれ。さすがになぁ」
いくら誰も見ていないとはいえスカートを履くのはいささか抵抗がある。
「もったいないですよ。神秘のスカートは装備していると生命力が徐々に回復する効果もあるんですよ。履かないなんておかしいですっ」
「履いたら履いたでおかしな恰好になるだろうが」
「私は全然気にしません」
「俺が気にするんだよっ」
男の尊厳というか威厳というかブーメランパンツだけの方がスカートを履くよりまだいくらかマシなような気がするのだ。
「いいですかマツイさん」
とククリが人差し指をピンと突き出す。
「地上では男性がスカートを履く国もあるそうですよ。それに女装する男性も増えているそうです。だからマツイさんが恥ずかしがるようなことは何もないんです」
「本当かよ。適当言ってるんじゃないだろうな」
ダンジョンにいる妖精が地上のことをそんなに知っているとは思えないが。
「あっ、それともあれですか、マツイさんは男尊女卑なんですか?」
「はい?」
「そんな古くさ~い考えの持ち主なんですか?」
「いや、違うけど……」
多分。
「だったらスカートくらい履けるはずですよっ」
目に突き刺さるんじゃないかというくらいの勢いでククリは指をびしっと俺に向けた。
「お、おう……わかったよ。履けばいいんだろ」
ククリの迫力に気押されブーメランパンツの上からしぶしぶ神秘のスカートを履く。
「うーん……」
上半身裸で首からはお守りをぶら下げマントを羽織り、手には刀を頭には鉢巻きをそして下半身にはスカートを履いた筋骨隆々の男。
その姿は変質者以外の何ものでもないのだが、
「ほら、似合ってるじゃないですかっ」
とククリは手を叩いてほめてくれている。
俺がずれているのかククリがずれているのか、間違いなく後者だろうが仕方なしに俺はそのままの恰好でスケルトン狩りを始めることにした。
剣を持っているスケルトンに前後から挟まれないように通路の壁を背にしてにおい袋を開ける。
するとたちまちがしゃがしゃと骨がきしみこすれ合う音が聞こえてきた。
「よしっ」
顔を叩き気合いを入れると、
「始めるかっ」
俺は自分の恰好を一旦忘れて妖刀ふたつなぎを構えた。
スケルトンというそのモンスターは俺に気付くとがしゃがしゃと音を立て近付いてくる。
ククリの言っていた通り動きはのろい。
剣を振り上げてくるが胴体ががら空きだった。
俺は妖刀ふたつなぎでスケルトンをなぎ払った。
骨が飛び散り本体ががしゃんとその場に崩れる。
そして持っていた剣ごと消滅した。
「うん、一対一ならまず負けないな」
「囲まれないように注意すれば平気ですね」
剣こそ怖いがそれさえ気をつければ敵ではない。
俺はフロアを探索しながら着実にスケルトンを倒していった。
二十分ほどかけフロアを歩き回った結果、防御力+2の安全靴とたいまつと防御力+10の神秘のスカートを手に入れた。
裸足だった俺はもちろん安全靴は履いたが神秘のスカートをどうするべきか悩んでいた。
「防御力+10ですよ。せっかく防具が手に入ったのになんで履かないんですか?」
ククリが訊いてくるが、
「女物だろこれ。さすがになぁ」
いくら誰も見ていないとはいえスカートを履くのはいささか抵抗がある。
「もったいないですよ。神秘のスカートは装備していると生命力が徐々に回復する効果もあるんですよ。履かないなんておかしいですっ」
「履いたら履いたでおかしな恰好になるだろうが」
「私は全然気にしません」
「俺が気にするんだよっ」
男の尊厳というか威厳というかブーメランパンツだけの方がスカートを履くよりまだいくらかマシなような気がするのだ。
「いいですかマツイさん」
とククリが人差し指をピンと突き出す。
「地上では男性がスカートを履く国もあるそうですよ。それに女装する男性も増えているそうです。だからマツイさんが恥ずかしがるようなことは何もないんです」
「本当かよ。適当言ってるんじゃないだろうな」
ダンジョンにいる妖精が地上のことをそんなに知っているとは思えないが。
「あっ、それともあれですか、マツイさんは男尊女卑なんですか?」
「はい?」
「そんな古くさ~い考えの持ち主なんですか?」
「いや、違うけど……」
多分。
「だったらスカートくらい履けるはずですよっ」
目に突き刺さるんじゃないかというくらいの勢いでククリは指をびしっと俺に向けた。
「お、おう……わかったよ。履けばいいんだろ」
ククリの迫力に気押されブーメランパンツの上からしぶしぶ神秘のスカートを履く。
「うーん……」
上半身裸で首からはお守りをぶら下げマントを羽織り、手には刀を頭には鉢巻きをそして下半身にはスカートを履いた筋骨隆々の男。
その姿は変質者以外の何ものでもないのだが、
「ほら、似合ってるじゃないですかっ」
とククリは手を叩いてほめてくれている。
俺がずれているのかククリがずれているのか、間違いなく後者だろうが仕方なしに俺はそのままの恰好でスケルトン狩りを始めることにした。
剣を持っているスケルトンに前後から挟まれないように通路の壁を背にしてにおい袋を開ける。
するとたちまちがしゃがしゃと骨がきしみこすれ合う音が聞こえてきた。
「よしっ」
顔を叩き気合いを入れると、
「始めるかっ」
俺は自分の恰好を一旦忘れて妖刀ふたつなぎを構えた。
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