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第157話 ダンジョンついでにゴミ出し
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「じゃあ高木さん、ポチをよろしく」
「うん、任せて」
ここは高木さんが住むアパートの部屋の前。
仕事終わりの高木さんを待って俺はポチを預けに来たのだった。
そのポチはというともう慣れたものでとことこと勝手に奥の部屋に上がり込んでしまっている。
「ポチ、高木さんに迷惑かけるなよー」
「わんっ」
部屋の奥からポチの鳴き声が返ってきた。
「まったく、顔も見せやしない」
「ふふっ。仲いいね」
「今では高木さんのことを飼い主だと思ってるかも」
「大丈夫だよ。ポチはおりこうさんだから」
「だといいけど……」
ポチが高木さんになついているのは嬉しいが俺との別れをもう少しくらい惜しんでもいいんじゃないのか。
「ごめんね、本当は部屋に上がってもらってお茶くらい出したいんだけどこの前ゴジラくんが来た日の夜からずっと停電になっちゃってて……今もアロマキャンドル使ってるから部屋の中暗いでしょ」
高木さんは困り顔で部屋の中を振り返る。
「あ、ああ、そうなんだ……大変だね」
「ほんとそうなの。電信柱が折れたらしくてこのあたり一帯停電らしいよ」
「へ、へー……」
多分その停電は俺のせいだな。
ストーカーを撃退するときに調子に乗って近くの電信柱を破壊したのはやはりまずかったか。
ちなみに高木さんのストーカーは俺との一件以来姿を見せてはいない。
高木さんにもそれとなく訊いたが大丈夫そうだった。
少しの会話を交わしてから夜ということと高木さんへの罪悪感もあり俺はそうそうに退散することにした。
「えっと、今回の出張は多分長くなると思うけど」
「うん。何日でも平気だよ。ポチのことは気にしないで、仕事に専念してきていいよ」
「わかった、頑張ってくる」
奥さんに送り出される夫のような気分を勝手に一人で味わいながら俺は高木さんと別れた。
家に着いた俺はスラと一緒に夕ご飯のカレーライスを食べるとお風呂に入ってから早めにベッドにもぐりこんだ。
高木さんにも言ったが明日からのダンジョン探索は日数をかけて奥深くまで潜ってみようと思っている。
そのためにも、
「スラ、明日の朝ご飯もカレーだからな。いっぱい食べてからダンジョンに行くぞ」
『あたしカレー大好きー!』
同じ失敗を繰り返さないようにスラには満腹でいてもらわないとな。
ふかふかのクッションの上で目を閉じるスラ。
『マツイさんおやすみー』
「ああ、おやすみスラ」
俺は布団をかぶると眠りについた。
◇ ◇ ◇
翌朝。
昨日の残りのカレーライスを俺とスラでたいらげるとダンジョンに行く準備をする。
「マツイさん、それってゴミ袋?」
「ああ、ダンジョンに持っていこうと思ってな」
もちろん本当にダンジョンに持っていくつもりではなく未分別のゴミを一気に片付けるためだ。
俺は両手いっぱいにゴミ袋をかかえ庭に出る。
石階段を慎重に下り、写し鏡の門の前でゴミ袋を一旦置くと俺は服を脱いで全裸になった。
じーっとスラが見てくるのでゴミ袋でうまく股間を隠して鏡に近付く。
『地下何階層からスタートしますか?』
「もうこれいちいち訊かなくてもいいんだけどなぁ……地下一階層で」
オペレーターのような機械音に返事をすると、
『地下一階層ですね。それでは写し鏡の門を通ってください』
お決まりのセリフをはいた。
「はいよ。じゃあスラ行くか」
『行こ行こ』
俺はスラを足元に従え沢山のゴミ袋を持って写し鏡の門を通過した。
「うん、任せて」
ここは高木さんが住むアパートの部屋の前。
仕事終わりの高木さんを待って俺はポチを預けに来たのだった。
そのポチはというともう慣れたものでとことこと勝手に奥の部屋に上がり込んでしまっている。
「ポチ、高木さんに迷惑かけるなよー」
「わんっ」
部屋の奥からポチの鳴き声が返ってきた。
「まったく、顔も見せやしない」
「ふふっ。仲いいね」
「今では高木さんのことを飼い主だと思ってるかも」
「大丈夫だよ。ポチはおりこうさんだから」
「だといいけど……」
ポチが高木さんになついているのは嬉しいが俺との別れをもう少しくらい惜しんでもいいんじゃないのか。
「ごめんね、本当は部屋に上がってもらってお茶くらい出したいんだけどこの前ゴジラくんが来た日の夜からずっと停電になっちゃってて……今もアロマキャンドル使ってるから部屋の中暗いでしょ」
高木さんは困り顔で部屋の中を振り返る。
「あ、ああ、そうなんだ……大変だね」
「ほんとそうなの。電信柱が折れたらしくてこのあたり一帯停電らしいよ」
「へ、へー……」
多分その停電は俺のせいだな。
ストーカーを撃退するときに調子に乗って近くの電信柱を破壊したのはやはりまずかったか。
ちなみに高木さんのストーカーは俺との一件以来姿を見せてはいない。
高木さんにもそれとなく訊いたが大丈夫そうだった。
少しの会話を交わしてから夜ということと高木さんへの罪悪感もあり俺はそうそうに退散することにした。
「えっと、今回の出張は多分長くなると思うけど」
「うん。何日でも平気だよ。ポチのことは気にしないで、仕事に専念してきていいよ」
「わかった、頑張ってくる」
奥さんに送り出される夫のような気分を勝手に一人で味わいながら俺は高木さんと別れた。
家に着いた俺はスラと一緒に夕ご飯のカレーライスを食べるとお風呂に入ってから早めにベッドにもぐりこんだ。
高木さんにも言ったが明日からのダンジョン探索は日数をかけて奥深くまで潜ってみようと思っている。
そのためにも、
「スラ、明日の朝ご飯もカレーだからな。いっぱい食べてからダンジョンに行くぞ」
『あたしカレー大好きー!』
同じ失敗を繰り返さないようにスラには満腹でいてもらわないとな。
ふかふかのクッションの上で目を閉じるスラ。
『マツイさんおやすみー』
「ああ、おやすみスラ」
俺は布団をかぶると眠りについた。
◇ ◇ ◇
翌朝。
昨日の残りのカレーライスを俺とスラでたいらげるとダンジョンに行く準備をする。
「マツイさん、それってゴミ袋?」
「ああ、ダンジョンに持っていこうと思ってな」
もちろん本当にダンジョンに持っていくつもりではなく未分別のゴミを一気に片付けるためだ。
俺は両手いっぱいにゴミ袋をかかえ庭に出る。
石階段を慎重に下り、写し鏡の門の前でゴミ袋を一旦置くと俺は服を脱いで全裸になった。
じーっとスラが見てくるのでゴミ袋でうまく股間を隠して鏡に近付く。
『地下何階層からスタートしますか?』
「もうこれいちいち訊かなくてもいいんだけどなぁ……地下一階層で」
オペレーターのような機械音に返事をすると、
『地下一階層ですね。それでは写し鏡の門を通ってください』
お決まりのセリフをはいた。
「はいよ。じゃあスラ行くか」
『行こ行こ』
俺はスラを足元に従え沢山のゴミ袋を持って写し鏡の門を通過した。
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