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第159話 草ばかり

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地下一階層。

俺たちは勝手に逃げていくスライムを気にも留めずアイテムを手に入れていった。
そして十分ほど歩いただろうか、俺たちは二つのアイテムをみつけた。

それは薬草と布の袋だった。
俺は布の袋の中に持っていたカンフル剤と薬草を入れると肩にかけた。

「よし、もうこのフロアに用はないな。次行こうか」
「はいっ」
『オッケー』


◇ ◇ ◇


地下二階層。

ゴブリンが出てくるフロアだが例によって襲ってはこない。
俺たちは十五分ほどでフロアを探索し終えた。

「今回は草ばっかりみつかるな」
「そうですね」

地下二階層でみつけたアイテムは毒消し草と目覚まし草と満腹草の三つ。
毒消し草はその名の通り食べれば解毒効果が期待できる草で、目覚まし草と満腹草はそれぞれ食べると三日間は眠気と空腹に襲われなくなるという便利な草だ。

「スラ、腹は減ってないか?」
『全然大丈夫だよ。朝沢山カレー食べてきたからね』
「それはよかった」

毒消し草は俺の解毒魔法のキュアで充分代わりがきくからあとでスラのおやつにでもすればいいだろう。


◇ ◇ ◇


地下三階層はゾンビフロア。
これまでの経験上地下三階層はいいアイテムが出にくいことと恐怖を感じないゾンビたちを相手にするのが面倒だという理由からアイテム探しもそこそこに下へ降りる階段をみつけるとさっさとここを通過した。


◇ ◇ ◇


地下四階層はビーフロア。
俺の苦手な蜂型モンスターが出るフロアだが向こうが俺を怖がって勝手に逃げてくれるので俺はアイテム探しに専念できるというものだ。

「ククリ、この容器に入った青い液体はなんだ?」
宝箱から取り出した容器をククリに見せると、
「それはポーションという飲み物ですね」
ククリは答える。

「ただの飲み物じゃないんだろ」
「もちろんです。ポーションは生命力を少しだけ回復することが出来るアイテムです」
「え、それじゃあ薬草と同じじゃないか」
「そんなことないですよっ。薬草は食べ物でポーションは飲み物ですから全然別物ですよっ」
なぜかわからないがムキになって反論するククリ。

「まったくもう、マツイさんてば。まったくもう」
「わかったよ。変なこと言って悪かったよ」
ククリをなだめるとポーションも布の袋にそっと入れた。
これもあとでスラにあげればいいだろう。

このフロアではほかに混乱を治すワーム草と麻痺を治すムカデ草も手に入れることが出来た。
相変わらず草ばかりだがスラの腹の足しになると思えば無駄にはならないアイテムだから良しとしよう。


◇ ◇ ◇


地下五階層コボルトフロア。

ここまでと同じくコボルトたちも襲ってはこないので集中してアイテム収集に励む。

道中魔眼の透視能力で落とし穴を発見。
落とし穴の中には鋭くとがった青竹とそこに待ち構えるコボルトたちの姿が見えたが時間の無駄なのでやり過ごす。

十五分ほどフロアを歩き回った結果宝箱を四つみつけるも内二つは罠だったので捨て置き、残りの二つの宝箱からそれぞれ目覚まし草と薬草をゲットした。

「また草かよ……まいったな」

トウキョウダンジョンに潜って約一時間、俺は未だ全裸だった。
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