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第四章 運命との決別
61、わたくし、森に向かいます
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「セドア共和国はなんと言ってきたんだ?」
ビクトル王子がクローディアに尋ねる。
「そうですわね。ローレンス王がいるのなら丁重にお迎えするといってきましたわ。」
「ふむ。では予言のような殲滅作戦にはならないのだろうか?」
「もし、本当にセドア共和国がローレンス王達を保護してくださったら争わずに済みます。」
ホクホク顔をクローディアを見てビクトル王子は首を傾げた。
「でも、私は安心できないな。」
「あら?そうですの?」
「ああ、いくらローレンス王達の王位を剥奪したとしても元王も色々使い道があると思うんだ。」
「使い道?ですの?」
「例えばだが、こちらから宣戦布告しなくてもあちらから宣戦布告される事もあるだろう?その時元王があちらにいたらどうなると思う?君は即位していないのだから簒奪者に祀り上げられるかもしれない。」
はぁ心配だとビクトル王子は最近のブームなのかクローディアをギュッと抱きしめた。
「ビクトル様、、。」
「私は運命は徹底的にその芽を摘まなければ一番近い未来で我慢すると考えているよ。」
「そうなのですね。」
「実際君以外の所に変化はあまりないだろう?」
「はい。」
「だから、戦争という大きな出来事を起こす前ならどちらからとかという小さな事は変えられるんじゃ無いかと思う。」
「、、、、わかりました。あの、わたくし、やはり例の森に向かおうと思いますの。」
「え?!なんでだい?」
「ビクトル様の言う通り、運命は似た出来事を起こすのでしょう?でしたらわたくしは存在自体が邪魔だと思います。わたくしが事が起こる場所に行けば何かしら違う事が起こるのでは無いかと思いますの。」
「成る程、君自身が変数という事が。」
「はい。」
「、、、、わかった。但し条件がある。私も勿論一緒に行くが護衛はシダールで固めさせてくれ。」
「はい。」
「そして、危険を感じたら君を連れ帰る。いいかい?何を見捨てても君は生きて帰らなければならない。何故なら君は王太子なのだから。」
「、、、はい。」
「アーベル!!」
「はい!」
「至急出掛ける準備をしてくれ。シダールの精鋭でいくぞ!」
「わかりました。機動性を確保する為に少数精鋭がいいですね。」
「ああ、そうしよう。」
ビクトル王子とアーベルが話している横でクローディアはバーナードに指示を出す。
「バーナード、貴方にわたくしがいない間の指揮権を移管します。必ず戻りますからこの国をよろしくね。」
「クローディア様、、、。わかりました。誠心誠意努めさせていただきます。」
そういうとバーナードは深く深く頭を下げた。
クローディアとビクトル王子は更に相談して二人がこの王宮を離れる事は内密とする事にした。やはり王の不在に王太子まで居なくなるのは不味いということになったのだ。
二人とアーベルそしてシダールの特務組織五名で国境の森に向かうことになった。誰にもバレないように夜も更けた頃非常用の出入り口から出発するクローディア達を見送るものはバーナードただ一人だった。
「では、言ってくるわ。バーナード。」
「はい、皆には少し体調を崩されたと説明いたします。」
「そうね。よろしく頼むわ。」
「お、お気をつけて!!」
「ええ、必ず戻ります!!」
それだけ言うとクローディアはビクトル王子が既に跨っている馬に近づいた。そして、片手を上げるとビクトル王子の前に引っ張り上げられてストンと座った。
馬車では追いつけないが少数の早馬なら間に合うかもしれないのだ。
「行くぞ!!」
「「「「「は!」」」」」
ビクトル王子の掛け声で闇世の中七頭の馬が王宮から駆け出して行ったのだった。その後姿をバーナードはいつまでも見送っていた。
「ビクトル様!この方達は?」
揺れる馬の上でクローディアは後ろのビクトル王子に話しかけた。何故なら今一緒に出発した面々は見た事が無かったのだ。クローディアはいつもの護衛がともに行くと思っていた。
ビクトル王子は巧みに馬を操りながらも簡潔に答えた。
「こういう時の為の部下達だ。皆荒事にも策謀にも優れている。皆には今回は私よりも君を優先して守る様に指示を出しているから君は素直に守られてくれ。そうすれば彼らはどんな事があっても君を必ず王宮に連れ帰る事が出来る者達なんだ。」
「、、わかりましたわ。」
そうしてクローディア達は二日の遅れを取り戻すべく夜通し馬を走らせた。
ビクトル王子がクローディアに尋ねる。
「そうですわね。ローレンス王がいるのなら丁重にお迎えするといってきましたわ。」
「ふむ。では予言のような殲滅作戦にはならないのだろうか?」
「もし、本当にセドア共和国がローレンス王達を保護してくださったら争わずに済みます。」
ホクホク顔をクローディアを見てビクトル王子は首を傾げた。
「でも、私は安心できないな。」
「あら?そうですの?」
「ああ、いくらローレンス王達の王位を剥奪したとしても元王も色々使い道があると思うんだ。」
「使い道?ですの?」
「例えばだが、こちらから宣戦布告しなくてもあちらから宣戦布告される事もあるだろう?その時元王があちらにいたらどうなると思う?君は即位していないのだから簒奪者に祀り上げられるかもしれない。」
はぁ心配だとビクトル王子は最近のブームなのかクローディアをギュッと抱きしめた。
「ビクトル様、、。」
「私は運命は徹底的にその芽を摘まなければ一番近い未来で我慢すると考えているよ。」
「そうなのですね。」
「実際君以外の所に変化はあまりないだろう?」
「はい。」
「だから、戦争という大きな出来事を起こす前ならどちらからとかという小さな事は変えられるんじゃ無いかと思う。」
「、、、、わかりました。あの、わたくし、やはり例の森に向かおうと思いますの。」
「え?!なんでだい?」
「ビクトル様の言う通り、運命は似た出来事を起こすのでしょう?でしたらわたくしは存在自体が邪魔だと思います。わたくしが事が起こる場所に行けば何かしら違う事が起こるのでは無いかと思いますの。」
「成る程、君自身が変数という事が。」
「はい。」
「、、、、わかった。但し条件がある。私も勿論一緒に行くが護衛はシダールで固めさせてくれ。」
「はい。」
「そして、危険を感じたら君を連れ帰る。いいかい?何を見捨てても君は生きて帰らなければならない。何故なら君は王太子なのだから。」
「、、、はい。」
「アーベル!!」
「はい!」
「至急出掛ける準備をしてくれ。シダールの精鋭でいくぞ!」
「わかりました。機動性を確保する為に少数精鋭がいいですね。」
「ああ、そうしよう。」
ビクトル王子とアーベルが話している横でクローディアはバーナードに指示を出す。
「バーナード、貴方にわたくしがいない間の指揮権を移管します。必ず戻りますからこの国をよろしくね。」
「クローディア様、、、。わかりました。誠心誠意努めさせていただきます。」
そういうとバーナードは深く深く頭を下げた。
クローディアとビクトル王子は更に相談して二人がこの王宮を離れる事は内密とする事にした。やはり王の不在に王太子まで居なくなるのは不味いということになったのだ。
二人とアーベルそしてシダールの特務組織五名で国境の森に向かうことになった。誰にもバレないように夜も更けた頃非常用の出入り口から出発するクローディア達を見送るものはバーナードただ一人だった。
「では、言ってくるわ。バーナード。」
「はい、皆には少し体調を崩されたと説明いたします。」
「そうね。よろしく頼むわ。」
「お、お気をつけて!!」
「ええ、必ず戻ります!!」
それだけ言うとクローディアはビクトル王子が既に跨っている馬に近づいた。そして、片手を上げるとビクトル王子の前に引っ張り上げられてストンと座った。
馬車では追いつけないが少数の早馬なら間に合うかもしれないのだ。
「行くぞ!!」
「「「「「は!」」」」」
ビクトル王子の掛け声で闇世の中七頭の馬が王宮から駆け出して行ったのだった。その後姿をバーナードはいつまでも見送っていた。
「ビクトル様!この方達は?」
揺れる馬の上でクローディアは後ろのビクトル王子に話しかけた。何故なら今一緒に出発した面々は見た事が無かったのだ。クローディアはいつもの護衛がともに行くと思っていた。
ビクトル王子は巧みに馬を操りながらも簡潔に答えた。
「こういう時の為の部下達だ。皆荒事にも策謀にも優れている。皆には今回は私よりも君を優先して守る様に指示を出しているから君は素直に守られてくれ。そうすれば彼らはどんな事があっても君を必ず王宮に連れ帰る事が出来る者達なんだ。」
「、、わかりましたわ。」
そうしてクローディア達は二日の遅れを取り戻すべく夜通し馬を走らせた。
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