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特訓の成果とカミラ
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別館に入ると、何も言わなくてもメイドさんたちがカミラの部屋へと通してくれた。
「失礼いたします」
メイドさんが扉を開けてくれたので私は部屋の中へと入る。
カミラは私の姿を見ると、目に見て喜び、すぐに近寄って来た。
そして、スカートを少し持ち上げて礼をする。
「こんにちは、お姉さま。お待ちしておりました」
あれ、なんか前に会った時と全然違う。
前は「お姉ちゃん」って呼んでくれたのに。……そっか、カミラも頑張ったんだ。
「こんにちは、カミラ。会えて嬉しいわ」
そう言って笑うと、カミラも笑った。
あー、本当にかわいい。このひと月の疲れが一気に吹っ飛んだ。
カミラに誘われてソファに並んで座ると、メイドさんがお茶を入れてくれた。
それを飲みながらカミラの話をと話をする。
「お姉さま、私、ずっとお会いしたかったです」
「ええ、私もよ」
令嬢らしく、令嬢らしく、と心の中で何回も繰り返す。
ちら、とアリアを見ると、無表情ではあったが、どこか満足げに見える。
「お姉さま、今日はこのご本を一緒に読みませんか?」
「もちろん、一緒に読みましょう」
以前とは違い今は私も本が読める。とはいってもまだゆっくりだけど。
カミラに教えてもらうようなことになったらどうしよう。
ドキドキしながらカミラと一緒に本を開いた。
「この本は前にお母様が持って来てくれたんです。お姉さまと一緒に読みたくて待っていたの」
やだー、かわいいぃぃぃ!
心の中で叫ぶ。だけど顔には出さない。ぐっと表情筋に力を入れてなんとか微笑むが、変な顔になっていたのか、視界の端で、アリアが微妙な顔をしているのが見えた。
……見なかったことにしよう。
「そうなの。待たせてしまってごめんなさいね。嬉しいわ」
ざっと本を眺めてみる。
よかった、これなら問題なく読めそう。子供向けの本でよかった。
ほっと息をついてカミラと一緒に読み進める。
ひと月でここまで読めるようになったのもアリアのおかげだ。
最初は絶対に無理だと思ったけど、書くのはともかく、読むのは大丈夫そうだ。
だけどひと月で読めるようになったのには理由がある。
まず、言葉自体は日本語と同じなこと。
そして、ひらがなやカタカナのように、一文字で一つの音を表す表音文字だったこと。
最後にアリアの厳しい指導だ。
それはそれは本っ当に厳しかった。丁寧な言葉と態度なのに有無言わせないアリア。何度心が折れそうになったことか……。
「お姉さま、これはなんと読むのですか?」
ページを指さして見上げてくるカミラ。
そのかわいさに悶えそうになりながらも、私はそこを見る。
ふむ、なるほど、分からん。
「カミラは何て読むと思うの?」
どうにか誤魔化そうと私が言うと、カミラは素直に考え始める。
私は助けを求めるようにアリアに視線を向けた。
アリア、どうしたらいいの?
アリアは状況がしっかり分かっているようで、何か言いたそうだが、カミラのメイドさんもいる手前、何も言えないようだ。
「……分かりません」
「そう。じゃあ次に会う時までの課題ね。読めるようになっていて」
ナイスアイデア!
苦し紛れだったけど結構いい感じじゃない? 私ナイス!
「はい、もっともっとお勉強します」
カミラはグッと両手を握って言った。
はい、私ももっと勉強します……。
妹のカミラに恥ずかしいところを見せるわけにはいかない。それにもっとこのファンタジー世界のことが知りたい。
テスト勉強すらしなかった私が、自ら勉強しようって思うなんて、妹と異世界パワーだな。
「お姉さまも頑張るから、一緒に頑張りましょう」
「はい!」
といってもこんな小さい内から勉強するなんて大変だな。
私が五歳の時なんて勉強したことなかったよ。
貴族だからか、この世界全体がそうなのか分からないけど、いきなりエレナに生まれなくて良かった。
こんな勉強ばかりの日々じゃ楽しくなさそうだし。
そう思って、気が付いた。
カミラも楽しくないんじゃない? 前回も今日も本を読んだだけだし、そんなの息抜きじゃない。勉強だ。
何かカミラが楽しめるようなことないかな。
部屋の中をきょろきょろしてみるが、おもちゃというおもちゃはない。
本はいっぱい並んでいるけど。
「カミラ、よかったらお散歩にでもいきませんか?」
今日は天気もいいし、外を歩けば気持ちがいいだろう。そう思って言ったことだったが、私の言葉にカミラは顔を曇らせた。
あれ、ダメだったかな。
「嫌ならいいのよ。困らせてごめんなさいね」
何も言わないカミラに私は先にそう言ったが、言ってから気が付いた。
今の言い方じゃまるで怒っているようじゃない?
やばい、と思ってカミラを見ると、案の定、カミラは涙目になっていた。
あああ、やらかした!
俯いて涙をこらえる姿に、私は罪悪感が込み上げてくる。
「ああ、ごめんなさい、違うのよ。責めたわけじゃないの」
泣かないでぇぇぇ。私も内心泣きそうになりながらカミラを慰める。
「ただ、今日は天気がいいから外に出たらカミラも気持ちいいかと思って……無理しなくていいのよ。本当にごめんなさい」
「わ、わたくしこそ申し訳ありません……」
カミラが涙を拭いながら小さな声でそう言うが、まだぐすぐすと泣いている。
アリアもカミラのメイドさんも困った表情を浮かべていて、頼りにはならなさそうだ。
カミラのメイドさんは慣れているかと思ったけど、そうも違うみたい。もしかしてカミラって普段は泣くことがないのかな?
まだ五歳なのに……。そう思うと何とも言えない感情が込み上げてきた。
「泣かないで、大丈夫だから」
私はカミラをそっと抱き締めてできるだけ優しい声を出した。
その背を撫でると、段々とカミラも落ち着いてくる。
泣き止んだカミラの目は真っ赤になっており、恥ずかしそうに頬を赤く染めた。
「ごめんなさいね、カミラ。今日はもうお暇しますわ。また来ますからゆっくり休んでちょうだい」
私がそう言うと、カミラは小さな声で「はい」と頷いた。
「失礼いたします」
メイドさんが扉を開けてくれたので私は部屋の中へと入る。
カミラは私の姿を見ると、目に見て喜び、すぐに近寄って来た。
そして、スカートを少し持ち上げて礼をする。
「こんにちは、お姉さま。お待ちしておりました」
あれ、なんか前に会った時と全然違う。
前は「お姉ちゃん」って呼んでくれたのに。……そっか、カミラも頑張ったんだ。
「こんにちは、カミラ。会えて嬉しいわ」
そう言って笑うと、カミラも笑った。
あー、本当にかわいい。このひと月の疲れが一気に吹っ飛んだ。
カミラに誘われてソファに並んで座ると、メイドさんがお茶を入れてくれた。
それを飲みながらカミラの話をと話をする。
「お姉さま、私、ずっとお会いしたかったです」
「ええ、私もよ」
令嬢らしく、令嬢らしく、と心の中で何回も繰り返す。
ちら、とアリアを見ると、無表情ではあったが、どこか満足げに見える。
「お姉さま、今日はこのご本を一緒に読みませんか?」
「もちろん、一緒に読みましょう」
以前とは違い今は私も本が読める。とはいってもまだゆっくりだけど。
カミラに教えてもらうようなことになったらどうしよう。
ドキドキしながらカミラと一緒に本を開いた。
「この本は前にお母様が持って来てくれたんです。お姉さまと一緒に読みたくて待っていたの」
やだー、かわいいぃぃぃ!
心の中で叫ぶ。だけど顔には出さない。ぐっと表情筋に力を入れてなんとか微笑むが、変な顔になっていたのか、視界の端で、アリアが微妙な顔をしているのが見えた。
……見なかったことにしよう。
「そうなの。待たせてしまってごめんなさいね。嬉しいわ」
ざっと本を眺めてみる。
よかった、これなら問題なく読めそう。子供向けの本でよかった。
ほっと息をついてカミラと一緒に読み進める。
ひと月でここまで読めるようになったのもアリアのおかげだ。
最初は絶対に無理だと思ったけど、書くのはともかく、読むのは大丈夫そうだ。
だけどひと月で読めるようになったのには理由がある。
まず、言葉自体は日本語と同じなこと。
そして、ひらがなやカタカナのように、一文字で一つの音を表す表音文字だったこと。
最後にアリアの厳しい指導だ。
それはそれは本っ当に厳しかった。丁寧な言葉と態度なのに有無言わせないアリア。何度心が折れそうになったことか……。
「お姉さま、これはなんと読むのですか?」
ページを指さして見上げてくるカミラ。
そのかわいさに悶えそうになりながらも、私はそこを見る。
ふむ、なるほど、分からん。
「カミラは何て読むと思うの?」
どうにか誤魔化そうと私が言うと、カミラは素直に考え始める。
私は助けを求めるようにアリアに視線を向けた。
アリア、どうしたらいいの?
アリアは状況がしっかり分かっているようで、何か言いたそうだが、カミラのメイドさんもいる手前、何も言えないようだ。
「……分かりません」
「そう。じゃあ次に会う時までの課題ね。読めるようになっていて」
ナイスアイデア!
苦し紛れだったけど結構いい感じじゃない? 私ナイス!
「はい、もっともっとお勉強します」
カミラはグッと両手を握って言った。
はい、私ももっと勉強します……。
妹のカミラに恥ずかしいところを見せるわけにはいかない。それにもっとこのファンタジー世界のことが知りたい。
テスト勉強すらしなかった私が、自ら勉強しようって思うなんて、妹と異世界パワーだな。
「お姉さまも頑張るから、一緒に頑張りましょう」
「はい!」
といってもこんな小さい内から勉強するなんて大変だな。
私が五歳の時なんて勉強したことなかったよ。
貴族だからか、この世界全体がそうなのか分からないけど、いきなりエレナに生まれなくて良かった。
こんな勉強ばかりの日々じゃ楽しくなさそうだし。
そう思って、気が付いた。
カミラも楽しくないんじゃない? 前回も今日も本を読んだだけだし、そんなの息抜きじゃない。勉強だ。
何かカミラが楽しめるようなことないかな。
部屋の中をきょろきょろしてみるが、おもちゃというおもちゃはない。
本はいっぱい並んでいるけど。
「カミラ、よかったらお散歩にでもいきませんか?」
今日は天気もいいし、外を歩けば気持ちがいいだろう。そう思って言ったことだったが、私の言葉にカミラは顔を曇らせた。
あれ、ダメだったかな。
「嫌ならいいのよ。困らせてごめんなさいね」
何も言わないカミラに私は先にそう言ったが、言ってから気が付いた。
今の言い方じゃまるで怒っているようじゃない?
やばい、と思ってカミラを見ると、案の定、カミラは涙目になっていた。
あああ、やらかした!
俯いて涙をこらえる姿に、私は罪悪感が込み上げてくる。
「ああ、ごめんなさい、違うのよ。責めたわけじゃないの」
泣かないでぇぇぇ。私も内心泣きそうになりながらカミラを慰める。
「ただ、今日は天気がいいから外に出たらカミラも気持ちいいかと思って……無理しなくていいのよ。本当にごめんなさい」
「わ、わたくしこそ申し訳ありません……」
カミラが涙を拭いながら小さな声でそう言うが、まだぐすぐすと泣いている。
アリアもカミラのメイドさんも困った表情を浮かべていて、頼りにはならなさそうだ。
カミラのメイドさんは慣れているかと思ったけど、そうも違うみたい。もしかしてカミラって普段は泣くことがないのかな?
まだ五歳なのに……。そう思うと何とも言えない感情が込み上げてきた。
「泣かないで、大丈夫だから」
私はカミラをそっと抱き締めてできるだけ優しい声を出した。
その背を撫でると、段々とカミラも落ち着いてくる。
泣き止んだカミラの目は真っ赤になっており、恥ずかしそうに頬を赤く染めた。
「ごめんなさいね、カミラ。今日はもうお暇しますわ。また来ますからゆっくり休んでちょうだい」
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