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令嬢の生活
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お説教が終わると、お義母様は私に椅子を勧めてくれた。向かい合って座るとすぐにお茶が出てくる。お義母様の所のメイドさんは書類仕事もしてメイド仕事もできてとても優秀だ。お茶も美味しい。
「おかえりなさい、エレナ。学校はどうでしたか?」
先ほどとは一変、とても優しい笑顔を浮かべたお義母様に私も、叱られたことなど忘れて頬が緩んだ。
「ただいま帰りました。学校はとても楽しかったです。聞いてください、お義母様。わたくし、休暇前の試験で一番でしたのよ!」
試験の順位発表の時のカイの悔しそうな顔が脳裏によぎる。皇子を差し置いて一位をとるのか、という声も聞こえてきたがそれは関係ない。実力は実力だ。お父様もお兄様もヨハンも、誰も私に皇子よりもいい成績をとるな、なんて言わなかった。
別にカイだって怒ってはなかった。だって悔しそうな顔をした後に爽やかな笑顔で「頑張ったんだけどエレナには負けたな」って言ってきたし。こうして私は再び模様入りのリボンを付ける権利を手に入れたのだ。
「まあ、すごいわね。ヘンドリックは首席で卒業、クルトもエレナも一番。親として誇らしいわ」
「クルトお兄様も! そうなのですか! では兄妹でおそろいなのですね」
といっても制服姿のクルトお兄様に会うことはほとんどない。朝練の時はいつも訓練着だし、校内で会うことなんて一週間に一度くらいだ。どうも行動範囲がかぶっていないようで。でも同じ模様のリボンとネクタイは嬉しい。
お義母様にクルトお兄様と朝練をしていて、騎士科の先輩方と仲良くなったことや、クラスの他の子とも話すようになり、友達が増えたことを話す。次々と学校での話をする私を見てお義母様はふふっと笑った。
「旦那様がエレナは学校に入ると少し厳しい立場になるかもしれないとおっしゃっていたので心配していましたが、楽しそうでよかったわ」
「お父様が……ええ、そうですね、少し厳しい立場ではあるのかもしれません」
主に私がカイと仲が良いことが原因だ。さらにヘンドリックお兄様の卒業パーティーの時の陛下からカイを頼む、と言われたことも今では皆知っているので、妬みや僻みなどいろいろだ。
「ですが、それにとらわれない方もいらっしゃるので、楽しく過ごせていますわ。今のところ危険なことなどはありませんし、殿下とも少し距離を置こうと話してきたところですの」
「そうなのね。エレナが楽しいのならわたくしは口を出しません。お昼ご飯はまだでしょう。またお夕飯の時にお話しましょう」
「はい、楽しみにしております」
そうだった、晩御飯は皆で食べれるんだ。
「ああ、お義母様、わたくしにお料理をする許可をいただけませんか? ちゃんと料理長の言うことは聞きますので」
ヘンドリックお兄様と約束したので晩御飯に唐揚げを作らないといけないのだ。お義母様は少し考えていたが頷いた。
「危険がないのでしたら許可します。ただし怪我をするようなことがあれば許可は取り下げますからね」
「はい、ありがとうございます」
よっし! 許可貰った! じゃあ早速味噌を作ってみないと。お義母様に挨拶をして部屋を出ようとすると、お義母様はため息を吐いてメイドさんの一人に私を部屋まで送るように指示を出した。
……忘れていた。一人で帰ったらまた怒られるところだった。
「エレナ様、この後はどうなされますか?
昼食が終わると同時にアリアが聞いて来た。今は十三時。特にすることはない。
「とりあえずカミラのところへ行くわ。さっき約束したの。それからクルトお兄様と剣のお稽古して、その後は厨房に行きたいわ」
「厨房、ですか……」
怪訝そうな顔で私を見るアリアに私は堂々と頷く。
「もちろん、お義母様の許可は頂いてまいりましたわ。わたくし故郷の味が食べたいのです」
「許可をもらっているならまあ……」と頷いたアリアを見て、私は立ち上がった。早速カミラの所へ行こう。
「アリア、カミラの所へ着いてきてちょうだい。少しの間話をすると思うからその間はヘンドリックお兄様のお部屋を整えていてもいいわ。部屋を出るときは呼ぶから迎えに来てちょうだい」
できるだけアリアの仕事が進むように指示を出すとアリアはふふっと笑った。
「やはり叱られましたか」
全てお見通しである。学校での生活は一人でできるようになるということが課題なんだろうけど、私からしてみると一人の方が楽なのでちょっとよくない。教えられたことが半分くらい吹き飛んでいそうだ。
何も言わないで扉の方へ向かうとアリアは素早く開けてくれて、とりあえずアリアを側から離さなかったら大きな失敗はしないだろうと思った。
「ヘンドリックお兄様付きの使用人はいるのかしら?」
「いえ、今はいないと思いますが」
「だったら帰って来るまでに決めて置いてちょうだい」
「かしこまりました」
別にヘンドリックお兄様のことを思っての行動じゃない。ただこのままだとアリアがとられそうだと思ったのだ。どうもお兄様はアリアを気に入っている気がする。わざわざ私付きのアリアに部屋を整えるように指示をするくらいなのだから。
前はお兄様の所にいたみたいだけど今は私のなんだから! 例えヘンドリックお兄様であってもアリアは渡しませんよ! 絶対に!!
「おかえりなさい、エレナ。学校はどうでしたか?」
先ほどとは一変、とても優しい笑顔を浮かべたお義母様に私も、叱られたことなど忘れて頬が緩んだ。
「ただいま帰りました。学校はとても楽しかったです。聞いてください、お義母様。わたくし、休暇前の試験で一番でしたのよ!」
試験の順位発表の時のカイの悔しそうな顔が脳裏によぎる。皇子を差し置いて一位をとるのか、という声も聞こえてきたがそれは関係ない。実力は実力だ。お父様もお兄様もヨハンも、誰も私に皇子よりもいい成績をとるな、なんて言わなかった。
別にカイだって怒ってはなかった。だって悔しそうな顔をした後に爽やかな笑顔で「頑張ったんだけどエレナには負けたな」って言ってきたし。こうして私は再び模様入りのリボンを付ける権利を手に入れたのだ。
「まあ、すごいわね。ヘンドリックは首席で卒業、クルトもエレナも一番。親として誇らしいわ」
「クルトお兄様も! そうなのですか! では兄妹でおそろいなのですね」
といっても制服姿のクルトお兄様に会うことはほとんどない。朝練の時はいつも訓練着だし、校内で会うことなんて一週間に一度くらいだ。どうも行動範囲がかぶっていないようで。でも同じ模様のリボンとネクタイは嬉しい。
お義母様にクルトお兄様と朝練をしていて、騎士科の先輩方と仲良くなったことや、クラスの他の子とも話すようになり、友達が増えたことを話す。次々と学校での話をする私を見てお義母様はふふっと笑った。
「旦那様がエレナは学校に入ると少し厳しい立場になるかもしれないとおっしゃっていたので心配していましたが、楽しそうでよかったわ」
「お父様が……ええ、そうですね、少し厳しい立場ではあるのかもしれません」
主に私がカイと仲が良いことが原因だ。さらにヘンドリックお兄様の卒業パーティーの時の陛下からカイを頼む、と言われたことも今では皆知っているので、妬みや僻みなどいろいろだ。
「ですが、それにとらわれない方もいらっしゃるので、楽しく過ごせていますわ。今のところ危険なことなどはありませんし、殿下とも少し距離を置こうと話してきたところですの」
「そうなのね。エレナが楽しいのならわたくしは口を出しません。お昼ご飯はまだでしょう。またお夕飯の時にお話しましょう」
「はい、楽しみにしております」
そうだった、晩御飯は皆で食べれるんだ。
「ああ、お義母様、わたくしにお料理をする許可をいただけませんか? ちゃんと料理長の言うことは聞きますので」
ヘンドリックお兄様と約束したので晩御飯に唐揚げを作らないといけないのだ。お義母様は少し考えていたが頷いた。
「危険がないのでしたら許可します。ただし怪我をするようなことがあれば許可は取り下げますからね」
「はい、ありがとうございます」
よっし! 許可貰った! じゃあ早速味噌を作ってみないと。お義母様に挨拶をして部屋を出ようとすると、お義母様はため息を吐いてメイドさんの一人に私を部屋まで送るように指示を出した。
……忘れていた。一人で帰ったらまた怒られるところだった。
「エレナ様、この後はどうなされますか?
昼食が終わると同時にアリアが聞いて来た。今は十三時。特にすることはない。
「とりあえずカミラのところへ行くわ。さっき約束したの。それからクルトお兄様と剣のお稽古して、その後は厨房に行きたいわ」
「厨房、ですか……」
怪訝そうな顔で私を見るアリアに私は堂々と頷く。
「もちろん、お義母様の許可は頂いてまいりましたわ。わたくし故郷の味が食べたいのです」
「許可をもらっているならまあ……」と頷いたアリアを見て、私は立ち上がった。早速カミラの所へ行こう。
「アリア、カミラの所へ着いてきてちょうだい。少しの間話をすると思うからその間はヘンドリックお兄様のお部屋を整えていてもいいわ。部屋を出るときは呼ぶから迎えに来てちょうだい」
できるだけアリアの仕事が進むように指示を出すとアリアはふふっと笑った。
「やはり叱られましたか」
全てお見通しである。学校での生活は一人でできるようになるということが課題なんだろうけど、私からしてみると一人の方が楽なのでちょっとよくない。教えられたことが半分くらい吹き飛んでいそうだ。
何も言わないで扉の方へ向かうとアリアは素早く開けてくれて、とりあえずアリアを側から離さなかったら大きな失敗はしないだろうと思った。
「ヘンドリックお兄様付きの使用人はいるのかしら?」
「いえ、今はいないと思いますが」
「だったら帰って来るまでに決めて置いてちょうだい」
「かしこまりました」
別にヘンドリックお兄様のことを思っての行動じゃない。ただこのままだとアリアがとられそうだと思ったのだ。どうもお兄様はアリアを気に入っている気がする。わざわざ私付きのアリアに部屋を整えるように指示をするくらいなのだから。
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