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露店
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「お姉さま、お茶会は午後からですよね? 午前はどうなさいますか?」
朝食が終わると、カミラが私へとそう聞いた。午前中の予定は特に何も決まっていない。だけどせっかくここまで来たのだ。屋敷の中に閉じこもっていたって楽しくはない。
「そうね、せっかくだから近くの村まで行ってみようかしら」
どうせ一緒に行くだろうと思ってクリスを見ながらそう言うと、クリスも私の視線に気が付き、大きく頷いた。じっとしているのが苦手なクリスはすぐにでも出ようといった表情を見せる。
「カミラも一緒にどうかしら?」
「ぜひご一緒させてくださいませ!」
嬉しそうにそう言うカミラ。とても可愛い。となると、フロレンツにも声をかけてみようかな。皆が一緒に行って、自分だけ声をかけてもらえないなんてとても悲しいもん。と思っていると、先にクリスがフロレンツの方へと向かい、少し話して私へと大きく丸を作って見せてくれた。
……本当に早くい行きたいんだな。
「じゃあ準備ができたら外に出てきてね」
カミラは頷いて準備をしに部屋へと向かう。私とクリスは特に準備と言う準備もなく、直接外へと向かった。起きた時に降っていた雨はもう既に上がっている。葉っぱについている水滴が日差しを反射してキラリと光った。
少しするとフロレンツとカミラが外に出て来た。フロレンツはしっかりと四人乗れる馬車も用意してもらったようだ。あそこに見える距離の村だから歩いて行けばいいかなとか思っていたが、さすがにそう言うわけにはいかないようだ。
馬車はガラガラとゆっくり進み、五分足らずで止まった。……うん、やっぱり余裕で歩ける距離だよ。歩いたって十五分くらいでしょ。と言うときっとアリアは良い顔をしないだろうけど。まあカミラもフロレンツもいるしね。私とクリスだけだったら歩きでもいいけど。
村は来る途中に泊まったところよりも栄えていた。村と言うか町だ。建物の量やお店の量が違う。この道沿いは見える限り両端に露店が出ている。というか……。
「なんかすっごいいい匂いしない?」
そう、それだ。すっごいいい匂いがする。ついさっき朝ごはんを食べたばっかりだと言うのにお腹が鳴ってしまいそうだ。
「ここの串焼きは美味しいんだよ」
フロレンツが横からそう言う。
串焼き。それはぜひとも食べたい。私がそれを口に出す前にクリスが急に足を速めた。おそらく串焼きのお店を探しているのだろう。その様子を見ていると、どこかから、くぅ、と小さな音が聞こえて来た。音の方向にはカミラ。
「あの、その、これは違うのです。決してお腹が空いたわけでは……」
真っ赤になってそう言うカミラがとても可愛くて、私は思わず頬が緩んだ。
「大丈夫よ、カミラ。わたくしもお腹がなりそうですもの」
食いしん坊娘が三人。カミラは恥ずかしそうに俯いた。
早く串焼きを食べたいけど、他のお店も気になるから、とクリスが先に行かないようにそう言って、ゆっくり色々見て回る。どうも細かい装飾品が多い。それとガラス製品。この辺りでは手の器用な職人さんが多いのかもしれない。
あれもいい、これもいい、と気になるものがたくさん。カミラはお義母様へのお土産に櫛を買っている。ああ、お土産か。すっかり忘れていた。
「お姉さま、お父様は何が喜ばれるでしょう?」
お父様の喜ぶもの。分からない。
「カミラが選んだものなら何でも喜ぶわよ」
なんてそんなことを言っておく。まあ間違ってはいないだろう。自分の娘が一生懸命選んだものが嬉しくないわけがない。
……さて、私はお土産どうしようか。
「クリスはヨハン様に何かお土産買うの?」
「うん? 兄様?」
お店を見ているクリスにそう聞くと、クリスは少し考えて、そこにあったものを手に取った。
「これでいいでしょ。これください」
小さなガラス玉。いろいろな色が入っていてとても綺麗だ。とても綺麗だけど今絶対適当に選んだ。目についたものを適当に手に取っていた。
……ヨハンには黙っておこう。
見なかったことにして別のお店を覗く。あ、これいいじゃん。ヘンドリックお兄様は絶対これだよ。綺麗に並んだ透明なペン。ガラスペンだ。この世界にもあったんだ。少なくとも王都では見たことがない。
「お嬢ちゃん、これが気になるかい? これはつい最近作ったばかりの物で、今日から売り始めたんだ。ここにインクを付けるとほら、ペンになるのさ」
お店のおじさんが実演販売をしてくれる。ガラスペンなんて愛玲奈の時も使ったことがない。すごい長く書けるって聞いたけど実際どうなんだろう。
「お嬢ちゃんもやってみるかい、ほら」
「ありがとうございます」
差し出されたペンを受け取って、これまた差し出された紙にペン先を滑らせる。くるくると線を引くが、一向にインクが途切れる気配がない。
すごい……!
「おじさん、これを二つ、いえ、四つくださいませ」
「おう、色は何色がいいかい?」
機嫌が良さそうにあるだけのガラスペンを並べてくれるおじさん。青と、紫と、黄色と、オレンジ。四つ選ぶと、おじさんは丁寧に包装してくれた。後ろにいたアリアが代金を出す。結構お高めだけどこれくらいお父様も許してくれるよね。普段使うことないし。
これでヘンドリックお兄様へのお土産はオッケー。次はクルトお兄様だな。クルトお兄様は……何にしよう。
朝食が終わると、カミラが私へとそう聞いた。午前中の予定は特に何も決まっていない。だけどせっかくここまで来たのだ。屋敷の中に閉じこもっていたって楽しくはない。
「そうね、せっかくだから近くの村まで行ってみようかしら」
どうせ一緒に行くだろうと思ってクリスを見ながらそう言うと、クリスも私の視線に気が付き、大きく頷いた。じっとしているのが苦手なクリスはすぐにでも出ようといった表情を見せる。
「カミラも一緒にどうかしら?」
「ぜひご一緒させてくださいませ!」
嬉しそうにそう言うカミラ。とても可愛い。となると、フロレンツにも声をかけてみようかな。皆が一緒に行って、自分だけ声をかけてもらえないなんてとても悲しいもん。と思っていると、先にクリスがフロレンツの方へと向かい、少し話して私へと大きく丸を作って見せてくれた。
……本当に早くい行きたいんだな。
「じゃあ準備ができたら外に出てきてね」
カミラは頷いて準備をしに部屋へと向かう。私とクリスは特に準備と言う準備もなく、直接外へと向かった。起きた時に降っていた雨はもう既に上がっている。葉っぱについている水滴が日差しを反射してキラリと光った。
少しするとフロレンツとカミラが外に出て来た。フロレンツはしっかりと四人乗れる馬車も用意してもらったようだ。あそこに見える距離の村だから歩いて行けばいいかなとか思っていたが、さすがにそう言うわけにはいかないようだ。
馬車はガラガラとゆっくり進み、五分足らずで止まった。……うん、やっぱり余裕で歩ける距離だよ。歩いたって十五分くらいでしょ。と言うときっとアリアは良い顔をしないだろうけど。まあカミラもフロレンツもいるしね。私とクリスだけだったら歩きでもいいけど。
村は来る途中に泊まったところよりも栄えていた。村と言うか町だ。建物の量やお店の量が違う。この道沿いは見える限り両端に露店が出ている。というか……。
「なんかすっごいいい匂いしない?」
そう、それだ。すっごいいい匂いがする。ついさっき朝ごはんを食べたばっかりだと言うのにお腹が鳴ってしまいそうだ。
「ここの串焼きは美味しいんだよ」
フロレンツが横からそう言う。
串焼き。それはぜひとも食べたい。私がそれを口に出す前にクリスが急に足を速めた。おそらく串焼きのお店を探しているのだろう。その様子を見ていると、どこかから、くぅ、と小さな音が聞こえて来た。音の方向にはカミラ。
「あの、その、これは違うのです。決してお腹が空いたわけでは……」
真っ赤になってそう言うカミラがとても可愛くて、私は思わず頬が緩んだ。
「大丈夫よ、カミラ。わたくしもお腹がなりそうですもの」
食いしん坊娘が三人。カミラは恥ずかしそうに俯いた。
早く串焼きを食べたいけど、他のお店も気になるから、とクリスが先に行かないようにそう言って、ゆっくり色々見て回る。どうも細かい装飾品が多い。それとガラス製品。この辺りでは手の器用な職人さんが多いのかもしれない。
あれもいい、これもいい、と気になるものがたくさん。カミラはお義母様へのお土産に櫛を買っている。ああ、お土産か。すっかり忘れていた。
「お姉さま、お父様は何が喜ばれるでしょう?」
お父様の喜ぶもの。分からない。
「カミラが選んだものなら何でも喜ぶわよ」
なんてそんなことを言っておく。まあ間違ってはいないだろう。自分の娘が一生懸命選んだものが嬉しくないわけがない。
……さて、私はお土産どうしようか。
「クリスはヨハン様に何かお土産買うの?」
「うん? 兄様?」
お店を見ているクリスにそう聞くと、クリスは少し考えて、そこにあったものを手に取った。
「これでいいでしょ。これください」
小さなガラス玉。いろいろな色が入っていてとても綺麗だ。とても綺麗だけど今絶対適当に選んだ。目についたものを適当に手に取っていた。
……ヨハンには黙っておこう。
見なかったことにして別のお店を覗く。あ、これいいじゃん。ヘンドリックお兄様は絶対これだよ。綺麗に並んだ透明なペン。ガラスペンだ。この世界にもあったんだ。少なくとも王都では見たことがない。
「お嬢ちゃん、これが気になるかい? これはつい最近作ったばかりの物で、今日から売り始めたんだ。ここにインクを付けるとほら、ペンになるのさ」
お店のおじさんが実演販売をしてくれる。ガラスペンなんて愛玲奈の時も使ったことがない。すごい長く書けるって聞いたけど実際どうなんだろう。
「お嬢ちゃんもやってみるかい、ほら」
「ありがとうございます」
差し出されたペンを受け取って、これまた差し出された紙にペン先を滑らせる。くるくると線を引くが、一向にインクが途切れる気配がない。
すごい……!
「おじさん、これを二つ、いえ、四つくださいませ」
「おう、色は何色がいいかい?」
機嫌が良さそうにあるだけのガラスペンを並べてくれるおじさん。青と、紫と、黄色と、オレンジ。四つ選ぶと、おじさんは丁寧に包装してくれた。後ろにいたアリアが代金を出す。結構お高めだけどこれくらいお父様も許してくれるよね。普段使うことないし。
これでヘンドリックお兄様へのお土産はオッケー。次はクルトお兄様だな。クルトお兄様は……何にしよう。
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