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特産のお茶
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お昼ご飯が終わるとお茶会の為に少し綺麗な服へと着替える。別にアリアに着せてもらわなくても自分で着られるけど、それはいけないようだ。クリスも私が終わるのを待って、その後にアリアに着せてもらうそう。まあさっきからアリアにばれないようにこそこそと少しずつ自分で着替えているけど。
「自分で着替えるのがいけないというのなら、どうして学校では全て自分でしないといけないのかしら?」
「学校に使用人を連れて行くことを考えると色々と問題がありますので。それに一人で何もできないといざという時に困るでしょう」
とは言っても洗濯まで自分でっていうのは少しやりすぎじゃないかと思うけど。
「ええ、そうね。だけど服なんかは自分で着た方が楽だわ」
私がそう言うと、アリアは手を一瞬だけ止めて私を見た。
「それは貴族として、貴婦人としてあるまじきことです」
はいはい。確かにお義母様が使用人の手を借りずに服を着替えているところは想像できない。だけどヘンドリックお兄様が使用人の手を借りて何かをしているところは見たことがない。着替えだって一人でしそうだ。というか実際しているだろう。
「殿方はそれが許されるの?」
「そうですね、職場に使用人がいないこともありますので」
なるほど。じゃあつまり私も就職したらいいのか。
そう言うとアリアは信じられないものを見たという風な目で私を見た。
「な、何よ」
私今は別に変なこと言ってないけど。……え、言ってないよね?
アリアは隠すこともなくため息を吐いた。
「エレナ様は卒業後、ラルフ様とご結婚されて家庭へと入られるのです。就職はしません」
……うん? 就職はしない? 結婚して家庭に入る? 何それ、結婚云々は置いといて、結婚したら就職できないの?
「結婚して、仕事に就けばいいんじゃないの?」
「奥様がお仕事に出られているところを見たことがございますか?」
お義母様が仕事に出る……確かにない。外に出るときと言えば大体お茶会だ。
「女性は結婚したら家を守り、殿方のお帰りを待つのが仕事です」
嘘でしょ……。え、だって誰かが言ってたじゃん。魔法学校で一番を取ったらいろんなところから引っ張りだこだって。それも結婚したら無関係ってこと?
あまりのショックに意味もなくクリスの方を見ると、クリスも頷いた。
「え、だけどお城で働いている方たちは……? お城で働ける使用人なんて貴族でしょう? 皆結婚していないというの?」
「結婚されている方もいらっしゃいます。子爵家や男爵家、伯爵家の一部は奥様もお仕事に出られておられます。が、そのようなお家は収入が低いところばかり。エレナ様が嫁がれるのは侯爵家。そんなこと無関係でございます」
最後の言葉がぐさっと刺さる。嘘でしょ……卒業したら仕事に就くものだと思っていた。家にずっといて、たまに外に出るのはお茶会、なんてそんな退屈な生活嫌だよ!
いや、でもラルフには良い感じに嫌われてるし、婚約は解消される予定だよね……。うん、私絶対結婚しない! どんなにいい人にプロポーズされても絶対に頷かない! と、口に出せるわけがないけど。
まあなるようになるか!
おめかしして外へ出ると、おばあ様は既に庭に出ていた。しまった! 先に出て待っていようと思っていたのに! おばあ様を待たせてしまった!
「遅くなってしまって申し訳ありません、おばあ様」
慌てて近付いてそう言うと、おばあ様はにこやかに笑った。
「良いのよ。わたくしが楽しみで待ちきれなかっただけだもの。ほら、三人とも座ってちょうだい」
おばあ様に席を進められて椅子へと腰かける。気温は高いけど、日陰なのでそこまで暑くはない。カミラは緊張した面持ちだ。お義母様以外とこうしてお茶会をすることが初めてのようだ。だけどおばあ様ってすごく優しい人だから初めてのお茶会の相手にはピッタリかもしれない。
私自身、初めてのお茶会の時は緊張したものだ。確かあれはクリスの家で開かれた会だった。初めてクリスに会った時はあまりにも現実味がなさ過ぎて幽霊かと思ったのだ。
正体は幽霊ではなく、ちょっと非常識なお嬢様だったわけだが。思い出すと笑いが込み上げてくる。
唇を噛んで堪えていると、机の上にお茶が置かれた。家で飲むのでも、学校で飲むのでもない香り。
「とてもいい香りですね」
クリスが言う。私もカップを持ち上げて鼻へと近づける。とても爽やかな香り。この土地で飲むのにふさわしい緑の香り。おばあ様は誇らしげに笑う。
「このお茶はこの辺りでしか作られていないのよ。王都では飲むこともないでしょう?」
一口飲んでみる。口いっぱいに広がる香りに言葉を失った。こんなに美味しいお茶を飲んだのは初めてだ。美味しい以外に言葉が出てこない。
クリスとカミラも気に入ったのか、とても柔らかい表情で飲んでいる。
「……こちらはどこで買うことができるのでしょうか?」
まだ用意できていないお義母様へのお土産。これだったら絶対に喜んでもらえると思う。
「あら、欲しいのだったらいくらでもあげるわよ。だけど、買いたいのなら後でおすすめのお店を教えてあげる」
「まあ、ありがとうございます」
お土産は自分で買わないと意味がないからね。まあ私が稼いだお金ではないんだけど。じゃあ後はお父様へのお土産だな。
「自分で着替えるのがいけないというのなら、どうして学校では全て自分でしないといけないのかしら?」
「学校に使用人を連れて行くことを考えると色々と問題がありますので。それに一人で何もできないといざという時に困るでしょう」
とは言っても洗濯まで自分でっていうのは少しやりすぎじゃないかと思うけど。
「ええ、そうね。だけど服なんかは自分で着た方が楽だわ」
私がそう言うと、アリアは手を一瞬だけ止めて私を見た。
「それは貴族として、貴婦人としてあるまじきことです」
はいはい。確かにお義母様が使用人の手を借りずに服を着替えているところは想像できない。だけどヘンドリックお兄様が使用人の手を借りて何かをしているところは見たことがない。着替えだって一人でしそうだ。というか実際しているだろう。
「殿方はそれが許されるの?」
「そうですね、職場に使用人がいないこともありますので」
なるほど。じゃあつまり私も就職したらいいのか。
そう言うとアリアは信じられないものを見たという風な目で私を見た。
「な、何よ」
私今は別に変なこと言ってないけど。……え、言ってないよね?
アリアは隠すこともなくため息を吐いた。
「エレナ様は卒業後、ラルフ様とご結婚されて家庭へと入られるのです。就職はしません」
……うん? 就職はしない? 結婚して家庭に入る? 何それ、結婚云々は置いといて、結婚したら就職できないの?
「結婚して、仕事に就けばいいんじゃないの?」
「奥様がお仕事に出られているところを見たことがございますか?」
お義母様が仕事に出る……確かにない。外に出るときと言えば大体お茶会だ。
「女性は結婚したら家を守り、殿方のお帰りを待つのが仕事です」
嘘でしょ……。え、だって誰かが言ってたじゃん。魔法学校で一番を取ったらいろんなところから引っ張りだこだって。それも結婚したら無関係ってこと?
あまりのショックに意味もなくクリスの方を見ると、クリスも頷いた。
「え、だけどお城で働いている方たちは……? お城で働ける使用人なんて貴族でしょう? 皆結婚していないというの?」
「結婚されている方もいらっしゃいます。子爵家や男爵家、伯爵家の一部は奥様もお仕事に出られておられます。が、そのようなお家は収入が低いところばかり。エレナ様が嫁がれるのは侯爵家。そんなこと無関係でございます」
最後の言葉がぐさっと刺さる。嘘でしょ……卒業したら仕事に就くものだと思っていた。家にずっといて、たまに外に出るのはお茶会、なんてそんな退屈な生活嫌だよ!
いや、でもラルフには良い感じに嫌われてるし、婚約は解消される予定だよね……。うん、私絶対結婚しない! どんなにいい人にプロポーズされても絶対に頷かない! と、口に出せるわけがないけど。
まあなるようになるか!
おめかしして外へ出ると、おばあ様は既に庭に出ていた。しまった! 先に出て待っていようと思っていたのに! おばあ様を待たせてしまった!
「遅くなってしまって申し訳ありません、おばあ様」
慌てて近付いてそう言うと、おばあ様はにこやかに笑った。
「良いのよ。わたくしが楽しみで待ちきれなかっただけだもの。ほら、三人とも座ってちょうだい」
おばあ様に席を進められて椅子へと腰かける。気温は高いけど、日陰なのでそこまで暑くはない。カミラは緊張した面持ちだ。お義母様以外とこうしてお茶会をすることが初めてのようだ。だけどおばあ様ってすごく優しい人だから初めてのお茶会の相手にはピッタリかもしれない。
私自身、初めてのお茶会の時は緊張したものだ。確かあれはクリスの家で開かれた会だった。初めてクリスに会った時はあまりにも現実味がなさ過ぎて幽霊かと思ったのだ。
正体は幽霊ではなく、ちょっと非常識なお嬢様だったわけだが。思い出すと笑いが込み上げてくる。
唇を噛んで堪えていると、机の上にお茶が置かれた。家で飲むのでも、学校で飲むのでもない香り。
「とてもいい香りですね」
クリスが言う。私もカップを持ち上げて鼻へと近づける。とても爽やかな香り。この土地で飲むのにふさわしい緑の香り。おばあ様は誇らしげに笑う。
「このお茶はこの辺りでしか作られていないのよ。王都では飲むこともないでしょう?」
一口飲んでみる。口いっぱいに広がる香りに言葉を失った。こんなに美味しいお茶を飲んだのは初めてだ。美味しい以外に言葉が出てこない。
クリスとカミラも気に入ったのか、とても柔らかい表情で飲んでいる。
「……こちらはどこで買うことができるのでしょうか?」
まだ用意できていないお義母様へのお土産。これだったら絶対に喜んでもらえると思う。
「あら、欲しいのだったらいくらでもあげるわよ。だけど、買いたいのなら後でおすすめのお店を教えてあげる」
「まあ、ありがとうございます」
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