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露店の食べ物
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少し歩くと何個かの露店が見えて来た。クリスは食べ物と見るや、すぐにお店へと引き寄せられている。
「おじさん、それ四つちょうだい! あ、そっちも。あと、それとそれと……」
すごい勢いで注文していくクリスを、二人がポカンとした顔で見ている。その顔が全く同じで、つい笑ってしまった。そんな私を、不思議そうに見上げてくる二人。
「お腹空いてない? もしよかったら一緒に食べましょう」
クリスもそのつもりだろうし、到底二人で食べきれる量じゃないし。
そう思いながらほくほく顔で、両手いっぱいに食べ物を抱えて戻ってくるクリスを見る。
「案内させてばかりで悪いけれど、どこか食べれそうないい場所は知らないかしら?」
「わたし知ってるよ!」
妹がこれまた元気よく手を上げてくれる。
「あら、じゃあ案内よろしくね。そこで食べましょう」
話は決まった。歩き出そうとすると、お姉ちゃんがおどおどと小さな声で言った。
「一緒に食べてもいいんですか?」
「なんで?」
クリスが不思議そうに首を傾げた。お姉ちゃんは妹の手をぎゅっと握ったまま動かない。
遠慮しているのかな? なんて思ったけど、どうもそんな感じではない。
「お姉ちゃんたち、お貴族様ですよね? お貴族様と普通にお話しするのも、一緒に何か食べるのも絶対にあり得ないって叔母さんが言っていました」
その叔母さんがどういう話の流れでそう言ったのかは知らないけど、確かに普通の貴族だったらそんなこと絶対に許さないだろう。
平民が食事マナーを身につけているとは思えない。それ以前にメイドや執事と同じ机に座ることすらないのだ。例え彼らが貴族であっても。それを考えると平民と同じ食卓に、なんて論外だろう。
だけど私もクリスも普通の貴族ではないのだ。そんなこと全く気にならない。それに、例えこの子達がどんなに汚い食べ方をしても、子供なんてそんなものだと知っている。
「あら、そんなことわたくし達は気にしないわ。他の貴族がどうかは知らないけれど、わたくしはあなた達と一緒に食べたいの」
同意を求めてクリスを見ると、クリスもうんうんを頷いた。
「私も気にしないよ。いいから一緒に食べようよ。お腹空いて倒れそうだよ」
「ほら、クリスが倒れてしまう前に案内をしてちょうだい」
クリスと私の言葉にお姉ちゃんは小さく頷いて、歩き始めた。
「こっちです」
小さな歩幅に合わせて歩いていると周りの細かいところまで目に入ってくる。貴族街と比べるとあまり綺麗ではないけど、だけどこの街並みはとてもファンタジー感があってちょっとテンションが上がる。
少し歩くと開けた場所に出た。いくつものテーブルとベンチが並んでいて、食べ物を広げている人たちもいる。皆一様に楽しそうな表情だ。
……あたたかい場所だな。
「少し人が多いですけど、ここでどうでしょう?」
「ええ、いい場所ね。ここで食べましょう」
私がそう言うと、クリスはさっさと空いているテーブルへと行き、さっき買った食べ物を広げ始めた。
……私が言うのもなんだけど、生粋のお嬢様のクリスは不衛生だとは思わないのかな。こんな吹きさらしでおせじにも綺麗とは言えないのに。
じっとクリスを眺めてみるが、全く気にした様子はない。どころか楽しそうだ。
まあいいか。私もピクニック気分で楽しいし。
クリスの隣に座って、二人にも座るように促すと、妹は嬉しそうに、お姉ちゃんは少し遠慮がちに座った。
こうして向かい合って座ると、二人の顔が良く見える。あの私を誘拐した人にはあまり似ているとは思えない。母親になのかもしれない。とても可愛らしい顔立ちだ。
「いただきましょう」
手を合わせて白いパンのような物をとる。いつもだったらかじりつくなんてできないけど……。
アリアの目がないことをいいことに、がぶっとかじりつく。中からはお肉が出て来た。
うわ、めっちゃおいしい。洋風の肉まんみたいな感じだ。あまりの美味しさに無心で二口目を食べ、そこで気が付いた。
「あ、ごめんなさい。あなた達も食べてちょうだい」
二人とも食べ物に手を付けず、私とクリスをじっと見ていたのだ。私の言葉にお姉ちゃんが遠慮がちに手を伸ばして、自分の分と妹の分を二つ手に取った。この年で遠慮をするなんて感心。私がこのくらいの時なんて何も考えていなかったに違いない。よく覚えていないけど。
「下町の食べ物は美味しいね」
少ししてクリスが満足げにそう言った。私も同意するように頷く。
家や学校で食べるご飯も美味しいのは美味しい。だけど上品な食べ物ばかりで、上品な味ばかりなのだ。このジャンキーさが恋しくなる時だって少なくはない。まあ唐揚げとかは自分で作って食べてるけど。
それでもお店の味は自分では出せないよね。
「これがお家でも食べられたら嬉しいわね」
「ほんとに」
なんてクリスと話していると、「あの」と小さな声が横から聞こえ、私たちは会話を止めて、そちらへと視線を向けた。
「おじさん、それ四つちょうだい! あ、そっちも。あと、それとそれと……」
すごい勢いで注文していくクリスを、二人がポカンとした顔で見ている。その顔が全く同じで、つい笑ってしまった。そんな私を、不思議そうに見上げてくる二人。
「お腹空いてない? もしよかったら一緒に食べましょう」
クリスもそのつもりだろうし、到底二人で食べきれる量じゃないし。
そう思いながらほくほく顔で、両手いっぱいに食べ物を抱えて戻ってくるクリスを見る。
「案内させてばかりで悪いけれど、どこか食べれそうないい場所は知らないかしら?」
「わたし知ってるよ!」
妹がこれまた元気よく手を上げてくれる。
「あら、じゃあ案内よろしくね。そこで食べましょう」
話は決まった。歩き出そうとすると、お姉ちゃんがおどおどと小さな声で言った。
「一緒に食べてもいいんですか?」
「なんで?」
クリスが不思議そうに首を傾げた。お姉ちゃんは妹の手をぎゅっと握ったまま動かない。
遠慮しているのかな? なんて思ったけど、どうもそんな感じではない。
「お姉ちゃんたち、お貴族様ですよね? お貴族様と普通にお話しするのも、一緒に何か食べるのも絶対にあり得ないって叔母さんが言っていました」
その叔母さんがどういう話の流れでそう言ったのかは知らないけど、確かに普通の貴族だったらそんなこと絶対に許さないだろう。
平民が食事マナーを身につけているとは思えない。それ以前にメイドや執事と同じ机に座ることすらないのだ。例え彼らが貴族であっても。それを考えると平民と同じ食卓に、なんて論外だろう。
だけど私もクリスも普通の貴族ではないのだ。そんなこと全く気にならない。それに、例えこの子達がどんなに汚い食べ方をしても、子供なんてそんなものだと知っている。
「あら、そんなことわたくし達は気にしないわ。他の貴族がどうかは知らないけれど、わたくしはあなた達と一緒に食べたいの」
同意を求めてクリスを見ると、クリスもうんうんを頷いた。
「私も気にしないよ。いいから一緒に食べようよ。お腹空いて倒れそうだよ」
「ほら、クリスが倒れてしまう前に案内をしてちょうだい」
クリスと私の言葉にお姉ちゃんは小さく頷いて、歩き始めた。
「こっちです」
小さな歩幅に合わせて歩いていると周りの細かいところまで目に入ってくる。貴族街と比べるとあまり綺麗ではないけど、だけどこの街並みはとてもファンタジー感があってちょっとテンションが上がる。
少し歩くと開けた場所に出た。いくつものテーブルとベンチが並んでいて、食べ物を広げている人たちもいる。皆一様に楽しそうな表情だ。
……あたたかい場所だな。
「少し人が多いですけど、ここでどうでしょう?」
「ええ、いい場所ね。ここで食べましょう」
私がそう言うと、クリスはさっさと空いているテーブルへと行き、さっき買った食べ物を広げ始めた。
……私が言うのもなんだけど、生粋のお嬢様のクリスは不衛生だとは思わないのかな。こんな吹きさらしでおせじにも綺麗とは言えないのに。
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こうして向かい合って座ると、二人の顔が良く見える。あの私を誘拐した人にはあまり似ているとは思えない。母親になのかもしれない。とても可愛らしい顔立ちだ。
「いただきましょう」
手を合わせて白いパンのような物をとる。いつもだったらかじりつくなんてできないけど……。
アリアの目がないことをいいことに、がぶっとかじりつく。中からはお肉が出て来た。
うわ、めっちゃおいしい。洋風の肉まんみたいな感じだ。あまりの美味しさに無心で二口目を食べ、そこで気が付いた。
「あ、ごめんなさい。あなた達も食べてちょうだい」
二人とも食べ物に手を付けず、私とクリスをじっと見ていたのだ。私の言葉にお姉ちゃんが遠慮がちに手を伸ばして、自分の分と妹の分を二つ手に取った。この年で遠慮をするなんて感心。私がこのくらいの時なんて何も考えていなかったに違いない。よく覚えていないけど。
「下町の食べ物は美味しいね」
少ししてクリスが満足げにそう言った。私も同意するように頷く。
家や学校で食べるご飯も美味しいのは美味しい。だけど上品な食べ物ばかりで、上品な味ばかりなのだ。このジャンキーさが恋しくなる時だって少なくはない。まあ唐揚げとかは自分で作って食べてるけど。
それでもお店の味は自分では出せないよね。
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