【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

文字の大きさ
90 / 262
高校生編side晴人 好きな人が、自分を好きかもしれない。

74.好きの、その先は

しおりを挟む
今俺は、落ち着かない気持ちでカフェの椅子に腰掛けてる。

茶色を基調とした少し暗めの店内。
観葉植物とか、間接照明とか、英語の本とか。

この世のお洒落をかき集めたようなその空間は、働くスタッフまでも美形揃いだ。

しかも全員英語で会話してるの。


落ち着かない。
非常に落ち着かない。


どうして俺がこんな場違いな所にいるのか。
それは、例の計画の9個目の質問のせいだったりする。

取り敢えず、3~8個目までをダイジェストでお送りしたい。一問一答形式で。



『3.彼は貴方を危険から守ってくれる?』

朝、満員電車で壁ドン?ドアドン?して潰されないようにしてくれました。
それと、道を歩く時は必ず車道側を歩いてくれてる事に気が付きました。



『4.彼は貴方の悩みを真剣に聞いてくれる?』

使えなくなった剣道部の備品の話しをしたら、「自分のせいみたいな気にしかたはすんなよ?」と言ってくれました。
その上で、伝手をあたってみると約束してくれました。



『5.貴方が他人と話してる時の彼の反応は?』

これに関しては普通と言うか…俺の友人とは何故か常にバチバチしてるので、残念ながら良く分かりません。



『6.貴方が他人に触れてる時の彼の反応は?』

同上です。



『7.彼は貴方を思ってちゃんと叱ってくれる?』

今日返却された数学の小テストが赤点で、それがバレて怒られました。
再テストまで勉強を見てくれるそうです。
合格したら俺の好きなホットチョコレートを奢ってくれるらしいので頑張ります。



『8.彼は貴方の手作りの物を喜んでくれる?』

夜ご飯に俺が卵焼きを作ったら、彼が一人で全部完食していました。そう言えば前にもこんな事があった気がします。
ただ、無類の卵焼き好きの可能性も捨てきれません。







さぁ、ここまでの8問の結果、どう思う?

何かさ…正直良く分かんなくない?

兄弟みたいな扱いされてる気もしなくもない。

5個目と6個目に関しては判別不能だし。
全くあの二人は!
…って言うか蓮が啓太に突っかかるから!


やっぱりブルボンヌ先生の教えも、俺なんかじゃ上手く活かせないみたいだ。
残念です、先生…。



と、まぁこんな感じで俺の計画はほぼ頓挫しちゃってたんだけどさ。


『9.彼は貴方にバイト先(仕事先)をきちんと明かしてくれてる?』

って言うのを見て思った。


…そう言えばカフェでバイトしてるって聞いた事はあるけど、店の名前とか場所までは知らないなぁ。


「サッキーさ、蓮のバ先って行った事ある?」

あれ以来、良く俺と啓太に絡みに来る黒崎君に聞いてみる。

「あるよ!え、もしかして晴君ないの?」

コクンと頷くと、彼は仰天した。
因みに、お互いの呼び方が苗字から昇格したのはここ数日。

「マジか!じゃあ今日行ってみようよ!
暫く部活ないんでしょ?」


と、言う訳で放課後。

用事があるらしい啓太と別れて、俺は黒崎君の案内で蓮のバイト先に向かったのである。

「絶対サプライズがいい!!」と言う彼に負けて、蓮に内緒で。

「特進の先輩の紹介で始めたらしいよ。
英語で日常会話ができるのが採用条件なんだけど、高校生でも高時給で働けるんだって。」

その時点でちょっとヤバイ感じはしてた。

英語が必須のカフェって、どんなん?って。


まさか、こんなお洒落空間だとはーーー。
予想の遥か上をいってたよ…。


「切藤って今日います?俺ら友達なんですけど。」


店内のテーブルに案内されると、黒崎君は気軽な感じでスタッフに聞いた。

「いますよ。今あそこで接客中なので、終わったらここのオーダー取りに行くように言っときますね。」

言われた方を向くと、ウェイター姿の蓮がいた。

白シャツに黒のパンツ、腰には長い黒エプロン。

脚が長過ぎるな。
そしてめちゃめちゃカッコイイ!

これだけでも見に来て良かった!!


そんな浮かれた俺の目に入って来たのは、蓮がオーダーを取ってる相手。

大学生くらいの、スラリとした綺麗な女性だ。
ニットのワンピースから覗く脚を組み替えて、それが蓮の脚を掠める。

そんな彼女に、屈んで何かを話す蓮。

ピンクのネイルをした細い指が、蓮の腕に触れる。

サラサラの茶色いロングヘアを耳にかけて、上目遣いに蓮を見るその瞳には熱が篭っていて。

強請るように蓮の服の袖を引っ張ると、小首を傾げて何か言った。

それに、蓮が笑顔で答える。



その光景に、ツキンと胸が痛んだ。


「は、晴君!あれ接客だからね⁉︎
しょうがなくだから!!」

「…楽しそうだね。」

「あー…やべぇ。これ、俺ガチで怒られるやつじゃん。」

ボソリと言う黒崎君の声が、どこか遠くに聞こえる。


店内には他にも蓮に熱い視線を向ける女性客がいて、その人気ぶりを改めて感じた。

こう言う事、良くあるんだろうな。
しょうがないよね、カッコイイもん。


でもーー

だけどーー


俺以外に、笑いかけないで。



自分を納得させようとしたのに、ドロリとした感情が湧き上がって狼狽する。


蓮のモテっぷりを目にするのなんて慣れてるのに。


どうしてこんなに、酷く自分勝手な思いが出てくるんだろう。

こんなの、知られたくないーー。


「あ、俺帰ろうかな。忙しそうだし。
案内してくれたのにごめんね。」

精一杯の平気なふりで言った。

この場を去らないと、胸を塗りつぶしていく黒い感情が漏れてしまいそうで。

「待って待って!」

拗れるからって必死に言う黒崎君を残して、俺はドアへ向かう。


その時運悪く、新しいお客さんが入って来た。


「welco……はっ⁉︎」


あっ


こっちを向いた蓮と目が合った。


「あ、えっと、バイト頑張って?」


目を見開く蓮と、その腕を甘えた表情で突く女性から顔を背けてドアから滑り出た。




あまりにも不自然だったと思う。

でも、心の中のドロドロを隠せてればそれでいい。

黒崎君には申し訳ないけど、彼ならきっと「用事で帰った」とか上手く言ってくれるだろう。


明日蓮に会ったら「また今度行くね」って、笑って言えるようにしないとーー。







蓮が俺の事を好きかもしれない、なんて思って。

それを確かめたくて、やり方が分かんないからサイトを参考に計画なんかしちゃってさ。


正直、浮かれてたんだ。


「好き」の先にある「両思い」がキラキラして見えたから。

蓮も俺の事が好きだったら、どんなに幸せだろうって。



だけど、俺の「好き」の先にあるのはそんな綺麗な物とは程遠かった。

暗い、制御できない衝動。

自分勝手なこの気持ちを、蓮にぶつけてしまうかもしれない。


それが、堪らなく怖いーー。






「晴人君?」



暗く沈んでいく思考を、聞き覚えのある声が引き留めた。




●●●
3~8
そんな兄弟いる??笑

蓮のバ先は個人経営のカフェです。


晴人の恋愛力を鍛えるターン!
声の主は、誰でしょう。



































































しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ

MITARASI_
BL
I 彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。 「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。 揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。 不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。 すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。 切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。 Ⅱ 高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。  別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。  未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。  恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。  そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。  過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。  不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。  それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。  高校編のその先を描く大学生活編。  選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。 続編執筆中

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

処理中です...