最弱職外伝 〈貧弱の勇者は異世界で生き抗う〉

カタナヅキ

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エルフ王国

効率的

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「夜だけどそんなに暗くないな。暗視のスキルの効果もあるんだろうけど……」


ナオは「隠密」と「無音歩行」のスキルを駆使して移動を行う。何度か魔物が彼の姿を目撃したが、まるで何も見えないかの様に素通りし、自分が透明人間になったような気分にナオは陥っていた。


「ギギィッ……」
「あ、ゴブリンだ」
「ギイッ!?」


森の中を進むと緑色の皮膚と醜くも恐ろしい顔立ちの化物がナオの前に姿を現す。ナオは相手の存在を認識できるが、ゴブリンの方はナオの存在を確認できず、それでいながら声が聞こえてきたので戸惑いの表情を浮かべる。スキルの発動中でも流石に声を上げると気づかれるらしく、ナオは小石を取り出して指弾で撃ち抜く。


「ごめんね」
「ギィアッ!?」


初めて相対する魔物だが、オークよりも危険度が高いとは思えず、ナオはゴブリンの頭部に小石を撃ち込んで仕留める。単純に考えればナオの攻撃力は「300(今ので301になったが)」に対して指弾の熟練度は「10」つまり最大で「3000」の攻撃力に上昇している。


「これだけ上げれば十分だと思うけどな……いや、油断は禁物だな。王子だってきっと戦技が扱えるはず」


単純な能力値は王子の方が未だに上な事は間違いなく、更に戦技の熟練度も高ければ決してナオが有利とは限らない。それでも指弾の戦技を連射すれば勝てるのではないかと考えてしまう。


「指弾は本当に便利だな。相手に近づかなくてもいいし、狙撃のスキルを遣えば遠くの物でも撃ち抜けるし……んっ?」


ナオの気配感知に反応があり、近くの木陰から物音も聞こえてきた。姿は見えないが何かが存在する事は間違いなく、荒い鼻息も響く。即座に鼻息の正体を「オーク」だと判断したナオは小石を指に構えるが、位置的に相手の姿が見えない。


(姿が見えない限りは狙撃のスキルも使えないしな……あ、そうだ)


オークが隠れていると思われる樹木ではなく。その隣の樹木に向けてナオは弾丸を撃ち込み、小石は樹木に衝突した瞬間に「跳弾」と化して木陰に隠れているオークに衝突した。


「プギィイイッ!?」
「あれ、1発じゃ駄目だった!?」


辺り処が悪かったのか仕留めきれず、木陰から全身が赤色の体毛で覆われたオークが姿を現す。普通のオークよりも一回り程大きく、牙の数も多かった。その姿を目撃したナオは小石を構えるが、先に相手が動く。


「ブヒィッ!!」
「うわっ!?」


赤色の体毛のオークは樹木を削り取って作り出された思われる棍棒を振り下ろし、ナオは咄嗟に回避するが、棍棒は地面に叩きこまれた瞬間に派手な土煙が舞い上がる。もしも現在のナオが攻撃を受けていたら即死は免れず、彼は体勢を整えながらも両手で小石を打ち抜く。


「この!!」
「ブヒィッ!?」


連射の戦技で次々とオークに向けて弾丸を撃ち込むが、体毛が衝撃を吸収しているのか仕留めきれず、撃ち込んだ箇所に小石が減り込む程度で仕留めきれない。明らかに普通のオークとは格が違い、ナオは一か八かだが試していない戦技を使用する。


「貫通弾!!」
「ブフゥッ!?」


熟練度を最大限界値まで上昇させた時に覚えた戦技を発動させ、撃ち込まれた小石は高速回転しながらオークの腹部に衝突し、肉体を貫通して背中から飛び出す。その光景を確認したナオは冷や汗を流しながら血反吐を吐くオークに視線を向け、確実に仕留めたのかを確かめる。


「ブヒィイッ……!!」
「まだ生きてる……でも、もう終わりだな」


オークは腹部を抑えながら膝を付き、血を止めようとしているのだろうが背中と腹部から血があふれ、間違いなく内蔵もやられているだろう。それを確認したナオは止めを刺そうとした時、木陰から小さなオークが姿を現した。


「プギィッ……」
「ブヒッ!?プギイイイッ……!!」
「……子供?」


負傷したオークは木陰から現れた子供のオークに怒鳴り声をあげるが、オークは怯えた表情で木陰に身を隠し、その光景にナオは2体が親子である事に気付く。子供のオークに逃げるように親が腕を振り払うが、子供は恐怖で動けないように固まっていた。


「……やりにくいな」


ここで放置しても親のオークが死亡することは間違いなく、敢えて止めを刺す必要もない。子供のオークも襲い掛かる様子はなく、ナオはどうするべきか悩む。


「可哀そうだけど、別に助ける義理もないし、悪いけど行かせてもらうよ」
「プギィッ……!!」


ナオは負傷したオークに止めを刺さず、先に進む。その光景にオークは血を吐きながらも睨みつけ、棍棒を握りしめるが、もう戦う気力もないのか落としてしまう。


「……ああ、くそっ」


その姿にナオは頭を掻き、彼はステータス画面を開き、SPの残量とスキルの項目を確認し、大きなため息を吐き出す。


「まあ、実験は必要か……覚えておいて損はないだろうし」
「プギィッ……?」
「ブヒィッ?」


親のオークはナオの行動に疑問を抱いたように首を傾げるが、ナオはSPを消費して新しい魔法を習得し、オークに近付いた。
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